第21回 フランス代表のワールドカップ展望(1)
従来の共同開催と異なる組み合わせ方法

 9月にスタートしたこのサイトも多くの読者からの支援によって成長してきた。いくつかいただいたお便りの中で来年のワールドカップの展望について意見を聞かせてほしい、という声があった。2回にわたって読者の方からのリクエストにお応えすることにしよう。

■3回目の共同開催と独特の組み合わせ方法

 結論から言うと、フランスにとってはかなり厳しい組み合わせである。これは今回の共同開催が前回優勝国フランスに与えた試練であると言えよう。サッカーの国際大会で共同開催となるのは今回が3回目。最初は2000年のアフリカ選手権(ガーナ、ナイジェリア)、そして2回目は2000年の欧州選手権(ベルギー、オランダ)である。
 組み合わせの方法という観点で今回のワールドカップが今までの2つの大会と大きく異なる点は2点、「グループリーグでの結果に関わらず決勝トーナメントを行う国は決まっている」という点と、「同一グループリーグから決勝トーナメントに進出した国同士は勝ち進めば準決勝で対戦する」という点である。

■課題を残したアフリカ選手権、課題をクリアした欧州選手権

 まず、「グループリーグでの結果に関わらず決勝トーナメントを行う国は決まっている」ということに関しては参加チームが計画を立てる上で、非常に楽になる。アフリカ選手権ではグループリーグの段階では同一国内で行われたが、決勝トーナメントに入ってからはナイジェリアとガーナを往来するチームがあり、疲労の問題に加え、大会運営上の課題となった。アフリカ選手権終了後、グループリーグ、決勝トーナメントとも2か国にまたがって行われる欧州選手権の運営について疑問を呈する声もあった。アフリカ選手権の開催国であるナイジェリアとガーナは隣国ではなく、両国間の移動は空路に限られていたが、ベルギーとオランダは隣国であり、移動距離も短く、選手や関係者の負担は少なく、隣国同士での共同開催がなしえた「理想的な本来あるべき姿」を実現したのである。

■リスクを回避した今回のワールドカップ

 しかしながら、今回の韓国と日本については距離的にはナイジェリアとガーナの関係に近く、アフリカ選手権の反省から、両国間を行き来することがあらかじめわかるような組み合わせとなったのであろう。グループリーグの順位によって海峡を渡るか否かが決まるのではなく、あらかじめ決勝トーナメントを戦う国(ブロック)が決まっているわけである。その結果、グループリーグで戦った国同士が同じブロックに入り、勝ち進めば決勝ではなく準決勝で再び対戦する、という過去にあまり例のないトーナメント表になっている。
 共同開催する両国には申し訳ないが、両国の地理的な隔たりによってスポーツのトーナメントとして本来あるべき姿でないのは残念である。また、前回のワールドカップや欧州選手権同様、グループリーグでの結果に関わらず、決勝トーナメントで戦うチームの所属するグループは決まっており、決勝トーナメント1回戦は2つのグループがセットとなり、たすきがけで対戦する。例えば日本の所属するグループHの1位はグループCの2位と対戦し、グループHの2位はグループCの1位と対戦する。しかし、グループリーグで1位であろうと2位であろうと決勝トーナメントを行う場所は国レベルまでは変わらず、日本や韓国の場合欧米の諸都市と異なり、都市によって住民の国籍の比率が大きく異なる、ということも少ない。したがって、グループリーグで2位にとどまると国境をまたがなくてはならない、あるいはグ
ループリーグで1位をとらないと自国の同朋の多く住む都市での熱狂的な応援が期待できない、というようなケースはない。フランスの誇る研究者であるロジェ・カイヨワが「遊びと人間」の中で表したスポーツの持つ「偶然」という要素が薄くなっているのである。
 このようなトーナメントの組み合わせが純粋にスポーツとしての興味をそぐだけではなく、フランスにとって厳しい組み合わせになっている。組み合わせから見たフランス代表の展望、という点については「来年のことを話すと鬼が笑う」と日本では言うそうなので、年が改まってから解説したい。

 読者の皆様、よいお年をお迎えください。(続く)

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