第22回 フランス代表のワールドカップ展望(2)
最大の難所、決勝トーナメント1回戦

 読者の皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

■4×8か、8×4か

 さて、前回紹介した「今回のトーナメントの組み合わせ」の構造とフランスが所属するグループに関連するチームを勘案し、「フランスにとってはかなり厳しい組み合わせ」について今回は解説することにしよう。
 まず、注意しなくてはならないのは、「決勝トーナメント1回戦は2つのグループがセットとなり、たすきがけで対戦する」と言う点である。出場32か国が4か国ずつ8つのグループに分かれているが、実際には8か国ずつの4つのグループと考えたほうがよく、グループCとHのうちから2チームがベスト8に進出する、と考えるのが妥当であろう。このように考えると「グループリーグ突破の確率」という評価尺度ではなく、グループリーグを突破し、決勝トーナメント1回戦を勝ち抜いた段階の「ベスト8進出の確率」をベースに物事を考えたほうがよさそうである。

■強豪ぞろいのグループFとその優位性

 さて、フランスの所属するグループAで決勝トーナメントに進出すると海峡を渡り、日本の大分あるいは新潟で1回戦を戦うことになる。そしてグループAのたすきがけのペアとなるのはグループFである。グループFはアルゼンチン、イングランド、ナイジェリア、スウェーデンという強豪ぞろいであり、日本でグループリーグを戦う。
 フランスの過去の対戦成績をひもとくと、アルゼンチンとは2勝3分4敗、イングランドとは6勝5分16敗、スウェーデンとは7勝4分4敗、ナイジェリアとは対戦歴がない。アルゼンチン、イングランド、スウェーデンとは過去のワールドカップ、欧州選手権の本大会において対戦したが、勝ち星はない。
 グループAとFの8チームの中で上位2チームに入る、という「ベスト8進出の確率」は数学的にはグループAの4チームの中で上位2チームに入る、という「グループリーグ突破の確率」の半分のはずであるが、グループFの面々を見れば、半分以下であるということは自明であろう。
 しかも前回優勝国ということで開幕戦を戦うフランスが所属していることからグループAの方がグループFよりも試合の日程が早く、グループAの最終戦は6月11日、そしてグループFの最終戦は翌日の12日である。すなわち、決勝トーナメントまでの休息日はグループAの方が一日多いが、グループFのチームはグループAの順位を意識しながら戦うことができる。

■グループリーグにおける「駆け引き」

 賢明な読者の方ならば2000年欧州選手権のグループリーグの最終戦でフランスがオランダと対戦したことをご記憶であろう。すでに決勝トーナメントを決めていたフランスはオランダに勝つとグループ1位となり、決勝トーナメントをオランダで戦うことになるため、メンバーを落としてオランダに敗れ、ベルギーのフランス語圏であるブルージュで決勝トーナメントを戦うことを選択した。
 このような「駆け引き」は今までの国際大会では珍しいことではないが、グループFの最終戦はグループAで一つ頭抜けた存在であるフランスとの決勝トーナメント1回戦での対戦を回避するという駆け引きが行われるであろう。また、フランスもグループリーグを1位で通過すると決勝トーナメントを中3日で新潟で戦うことになるが、2位にとどまれば中4日で韓国に近い大分で戦うこともできる。フランスのグループリーグ最終戦は強豪デンマークであり、欧州選手権のオランダ戦と同じような展開になるかもしれない。
 また、グループAの各チームはグループリーグと決勝トーナメントの間の休息日が一日多いが、韓国から日本に渡らなくてはならない。決勝トーナメント1回戦の相手を選ぶことができず、グループリーグと決勝トーナメントの環境が大きく異なる、ということはフランスの所属するグループAにとっては大きなハンディキャップである。そしてフランスを日本で待ち受けるのはいずれも劣らぬ強豪ぞろい、大分あるいは新潟でフランスの連覇の夢が崩れてしまう可能性はかなり高いのではないだろうか。

■厳しい組み合わせを克服して優勝した欧州選手権

 しかし、フランスは2000年の欧州選手権で「厳しい組み合わせ」を克服してきた。フランスはUEFAの会議で主張が通らず、予選のグループ4では第二シードに甘んじる。しかし、第一シードのロシアをかわして1位となり、本大会出場を果たす。そして本大会でも出場16か国中11番目とランキングされて、第三シードとなり、デンマーク、チェコ、オランダと言う強豪ぞろいのグループに放り込まれる。しかし、グループリーグでは「駆け引き」の結果オランダに次ぐ2位となり、見事優勝したのである。
 いろはかるたの最後は「京の夢、大坂の夢」。夢の中ではいろいろなことが実現できる。ロッテルダムの夢が横浜の夢となることを期待したい。(この項、終わり)

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