第119回 スロベニア、マルタと連戦(4)
スロベニアに大勝、天王山を制す

■ジャック・サンティーニ監督の緊張高まるスロベニア戦

 早くも天王山を迎えた欧州選手権予選のグループ1。第1シードのフランスが第2シードのスロベニアをスタッド・ド・フランスに迎える。今年になって強豪国相手にいい試合ができないフランスにとってはそろそろファンの信頼を回復したいところである。
 ジャック・サンティーニ監督にとっても就任3戦目でようやくホームゲーム。しかもスタッド・ド・フランスで国内デビューを飾ることからその緊張も尋常ではないであろう。

■リヨン時代にチャンピオンズリーグ予備戦で敗退

 実はこの対戦はサンティーニ監督にとってその緊張をますます高める要素がある。スロベニアは1998年7月に旧ユーゴスラビア代表のシュレチコ・カタネツが代表監督に就任し、第117回で紹介した2000年欧州選手権、2002年ワールドカップと2大会連続して予選突破を果たしたが、今回のワールドカップ終了後カタネツ監督が辞任する。代わって新監督に就任したのがボハル・プラシニカルである。プラシニカルは国内の強豪チームのマリボルの監督を兼任している。マリボルについては日本の皆さんならかつてベガルタ仙台に所属したアンテ・シムンサの前所属チームあるいはかつてガンバ大阪で活躍したアミール・カーリッチが現在所属しているチームとしてよくご存知のことであろう。
 しかし、サンティーニにとってマリボルは悪夢のチームなのである。サンティーニは代表監督に就任するまで2年間リヨンの監督を務めており、それ以前はリヨンのテクニカルディレクターとして監督のベルナール・ラコンブを補佐し、1998-99シーズンにはリーグ3位となり、本連載第115回で紹介したチャンピオンズリーグ複数チーム出場という恩恵を受け、予備戦の3回戦から出場する。リヨンがチャンピオンズリーグに出場するのは前身のチャンピオンズカップを含めてこのときが最初である。さて、トニー・バレル、ソニー・アンデルセン、ピエール・レーグルなどを補強し、満を持して臨んだ予備戦の相手はスロベニアのハリボルである。当時はまだスロベニアのサッカーが欧州内でも認識されていなかった時代であるが、リヨンはマリボルに0-1、0-2と連敗し、欧州チャンピオンへの道を閉ざされたのである。結局UEFAカップに回りHJKヘルシンキ、セルチック・グラスゴーを破りベスト32に進出し、ベルダー・ブレーメンに敗れる。UFFAカップでの活躍を考えればマリボルに勝てばチャンピオンズリーグの本選出場となっていただけに、サンティーニは悔しい思いをしたであろう。一方のプラシニカル監督は「アウエーのフランス戦は引き分けを狙う」と公言し、明らかにグループ1位を狙っている。

■注目のセンターバックにウィリアム・ガラスがデビュー

 そのような特別な感情を持つサンティーニがスターティングメンバーを発表する。GKはワールドカップ以来の出場となるファビアン・バルテス、注目のセンターバックは代表100試合を迎えるマルセル・デサイー、チェルシーでデサイーとコンビを組むウィリアム・ガラス、DFの右サイドはリリアン・テュラム、左サイドはミカエル・シルベストル、守備的MFはクロード・マケレレ、パトリック・ビエイラ、攻撃的MFは中央にジネディーヌ・ジダン、左右にスティーブ・マルレ、シルバン・ビルトール、ワントップのFWにティエリー・アンリという布陣である。フランスリーグ所属の若手を抜擢しているサンティーニであるが、先発全員が国外のクラブに所属し、そのうち8人がイングランドのプレミアリーグの所属ということになった。

■サンティーニの国内デビューを祝福する大勝

 試合は新生サンティーニ・フランスのデビューを祝福するような華々しいものになった。まず10分にはビエイラがアーセナルの同僚アンリとワンツーを決め左足でシュートし先制点。34分にはビルトールからマルレにセンタリングし、マルレが追加点。後半に入り、64分にはマルレがこの試合2点目となるゴールを決める。マルレにとって代表で1試合2点は初めてのことである。79分にはビルトールがすばらしいドリブルを見せ4点目。ようやく4点差がついたところでサンティーニは選手交代を告げる。まずはマルレに代わってシドニー・ゴブー。ようやくフランスリーグ所属の選手がピッチに姿を現す。そしてテュラムに代わりビシャンテ・リザラズ。ゴブーは試合に出場した5分後に代表初ゴールを決め、5-0とスコアは半年前のスコットランド戦に並ぶ。試合終了間際にはブルーノ・シェルーもビルトールに代わって投入され、国内デビューを飾る。
 天王山、新チームの国内デビュー、サンティーニのリヨン時代のマリボル戦敗北、という不安な要素はあったが、終わってみれば5-0という対象。「ポルトガルが見えた」と喜んでも決して早くはないだろう。(続く)

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