第281回 フランスカップ本格化(2)
ディディエ・デシャンの故郷が金星

■昨年は1部リーグの8チームがジャイアントキリング

 前回の本連載でベスト32決定戦はジャイアントキリングが起こりやすいと紹介したが、今年のベスト32決定戦ではどのようなサプライズがあったのだろうか。1部リーグ20チームのうち1部チーム同士の対戦は4試合。実に豪華なベスト32決定戦となったが、残り12チームは下位チームの挑戦を受けることになる。シーズン中断中のミニキャンプを終えたばかり、そしてリーグ再開前で照準が定まらない1部リーグのチームと、年に1度のビッグチャンスということで町じゅうが盛り上がる下位チーム、ジャイアントキリングが起こる条件は整っている。昨年の場合、実に1部リーグの8チームが下位のリーグに所属するチームに敗れている。
 下位リーグのチームの挑戦をうける1部リーグのチームは12チームあるが、このうち2部リーグのチームと対戦するのは5チーム、3部リーグに相当するナショナルリーグのクラブとの対戦するのは1チーム、そしてアマチュアであるCFAリーグ以下のチームと対戦するのは6チームとなった。

■ディディエ・デシャンがかつて在籍したバイヨンヌ

 結論からいうと12チームのうち4チームがジャイアントキリングに遭遇した。まず、2部リーグとの対戦のなかった土曜日の夜はガンガンがバイヨンヌにPK戦の末に敗れた。バイヨンヌは4部リーグに相当するCFAリーグに所属するアマチュアチームであるが、かつてディディエ・デシャンが所属していたチームであると言うことは本連載の読者の方であればよくご存知であろう。したがってガンガンを迎えるスタジアムもディディエ・デシャン競技場と改称されている。さらにメンバーには5人の元プロ選手を擁しており、8000人の地元ファンが押し寄せた。

■延長後半まで続いたゴールの応酬、PK戦でバイヨンヌに凱歌

 最初のゴールは8分のガンガンのムムニ・ダガノ、かつて日本の鈴木隆行とベルギーのゲンクで欧州屈指の攻撃力を誇るペアを組んだことから日本のファンの皆さんはよくご存知であろう。ところがバイヨンヌは地元ファンの大声援を受けて26分、40分と連続ゴールで逆転、リードの中でハーフタイムを迎える。後半に入って55分にダガノのヘッドでガンガンが追いつくものの、65分にバイヨンヌが勝ち越し点をあげる。しかし、ガンガンのダガノはハットトリックを76分に達成し、3-3の同点に追いつき、規定の90分は終了する。延長に入っても前半は無得点、後半に入りドラマが起こる。まずは試合終了の4分前、すなわち116分にガンガンの途中交代選手のニコラ・グーセが勝ち越し点、ここで勝負あったかと思われたが、119分、延長前半にピッチに入ってきたばかりのフランク・イスティロルが同点ゴールを決め、4-4となる。かつてボルドー、メッスに所属しチャンピオンズリーグやUEFAカップへの出場経験もある30歳の元プロ選手がヒーローとなり、試合はPK戦になる。バイヨンヌは全員が成功させ、元フランス代表主将の名を冠したスタジアムは歓喜につつまれたのである。

■2部リーグ勢との対戦で負け越した1部リーグ勢

 そして、日曜日の夜は2部リーグの4チームが1部リーグに挑戦する番である。2部のトロワがパリサンジェルマンに敗れたことは前回の本連載で紹介したが、4試合とも1部リーグのチームは苦戦した。1部のレンヌはアンジェと対戦し、120分無得点でPK戦となり、PK戦で5-4という薄氷の勝利であった。そしてバスティアとアジャクシオというコルス島が誇る1部リーグのチームは2部リーグのチームに揃って敗れた。バスティアはブザンソンに0-2と敗退し、アジャクシオはホームで戦うと言うアドバンテージを得ながら、グーニョンに0-2と敗れ、コルス島にフランスカップを持ち帰る夢は消えてしまった。
 さらに天候不順のため、13日に日程が延期されたナンシー-リール戦もPK戦になり、2部のナンシーがリールを破り、この結果1部リーグのチームは2部リーグのチームに負け越しという結果になった。
 ベスト32決定戦で2部以下のチームに敗れたのが4チームというのは、昨年の半数であり、過去のデータを見る限り平均的な数字である。そして1部同士の戦いで4チームが姿を消しており、12チームがベスト16決定戦に進出する。そしてこの組み合わせ抽選会ではベスト32決定戦で繰り広げられたドラマに匹敵するカードが生まれたのである。(続く)

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