第285回 フランスカップ本格化(6)
フランスカップの醍醐味、ダービーマッチ

■近くて遠い相手とのダービーマッチ

 フランスカップはその都度組み合わせ抽選を行っていくので、抽選結果も大会を盛り上げる重要な要素である。第282回から第285回で紹介したように強豪チーム同士の対戦も注目を集めるが、その一方で、本拠地の近いチーム同士の「ダービーマッチ」も地元ファンの注目を集める。フランスカップでのダービーはリーグ戦のダービーに加えた面白さがある。両チームが地理的には近いが、所属しているリーグが異なる場合、この両チームは「近くて遠い相手」となる。特に下位のリーグに所属するチームにとっては近隣の上位チームはジャイアントキリングのこの上ない相手となる。また、近隣のチームと言うことで下位のチームで育った選手が上位のチームで活躍するケース、逆に上位のチームで戦力外となって下位のチームでアマチュア生活を送っているようなケースもあり、選手個人のドラマと言う点でも興味は尽きない。
 このように1部リーグのチームに下位のリーグに所属する近隣のチームが挑戦するダービーマッチが、ベスト16決定戦にも存在した。ナントとフォントネイ・ルコント(CFAリーグ)、リヨンとブール・ペロナ(ナショナルリーグ)、ボルドーとバイヨンヌ(CFAリーグ)の3試合である。

■南太平洋まで遠征したフォントネイ・ルコント、ニオールで沈む

 フォントネイ・ルコントはナントのあるロワーヌ・アトランティック県の隣県であるバンデ県にあるチームである。フォントネイ・ルコントは人口1万5000人の社会党政権の都市であるが、バンデ県からも資金的援助を受けている。県からの資金援助については議論となっているが、今年は7回戦では南太平洋はニューカレドニアのヌーメアまで遠征したが、公的資金無しにはこの遠征もままならなかった。3年前の2001年にはベスト8決定戦まで進出し、リヨンとPK戦で対決して敗れている。ナントとの戦いは抽選の結果、フォントネイ・ルコントのホームゲームとなったが、収容人員の関係からニオールで試合を行うことになった。フランスカップもこの段階になると下位チームのホームスタジアムでは収容人員などを定めている大会規定を満たすことができず本拠地以外でホームゲームを行うこともしばしばある。
 ナントは全力を上げてくるフォントネイ・ルコント相手に苦戦を強いられる。実はナントはリーグカップでも準決勝に進出しており、フォントネイ・ルコント戦の直後にオセールとの準決勝が待っている。リーグカップもフランスカップでは大会の格は違うが、優勝すればUEFAカップに出場できる、という点では同等であり、ナントは目の前のフランスカップに集中しきれていなかった。しかしナントが60分にようやく先制点を決めてから立て続けに得点を奪い、南太平洋まで及んだフォントネイ・ルコントの夢はニオールで終わったのである。

■フランスカップのスペシャリスト、ブール・ペロナ

 ブール・ペロナもまたリヨンのあるローヌ県の隣県であるアイン県にあるチームである。アイン県の県庁所在地のブールアンブレスはフランスで最高級と言われているブレス鶏の産地として有名である。かたやリヨンはフランスの食の都であり、鶏の都のチームが食の都のチームと対戦する。生産地と消費地の戦いとなったが、ブール・ペロナの本拠地である市営競技場の収容人員はわずか3500人と言うことから、フォントネイ・ルコント同様に地元でのホームゲームを断念し、電車で1時間のリヨンのジェルランでの試合を選択する。やはり生産地と消費地の経済力の差が如実に表れていると言えよう。実は両チームは6年前の1998年にも準々決勝で対戦し、リヨンで行われた試合ではリヨンが1-0と辛勝している。ブール・ペロナはフランスカップのスペシャリスト、すなわちジャイアントキリングを得意としているチームである。リヨンに準決勝進出を阻まれた1998年はモンペリエ、メッスと1部リーグに所属していたチームを連破している。昨年もベスト32決定戦でストラスブールを破っており、リーグ2連覇中のリヨンとは言え、油断できない相手である。

■リヨン貫禄勝ち、食の都が鶏の都を下す

 土曜日の午後、ジェルランにはブール・ペロナからのファンがたくさん集まった。6年前は準々決勝での対戦と言うことで2万5000人がリヨンに駆けつけたが、今回は1万5000人と数は少ないが、ジャイアントキリングを期待する気持ちは変わらない。ブール・ペロナの主将のダビッド・クルシはかつて5年間リヨンに所属したことがある。リヨンはこの試合でリーグ連覇中の貫禄を見せつける。前半こそシドニー・ゴブーの1得点だけだったが、後半は大量4得点、結果的には5-0と大勝する。
 ダービーマッチ3試合のうち、ブール・ペロナ、フォントネイ・ルコントは本拠地以外でのホームゲームで涙を飲んだが、唯一ホームゲームを本拠地で行ったバイヨンヌはまたもやジャイアントキリングでフランス中を驚かせたのである。(続く)

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