第545回 2005-06リーグカップ(1)
ニースとナンシーが決勝に進出

■有力チームが早期に敗退したリーグカップ

 フランス国内の三大タイトルはリーグ、カップ、そしてリーグカップとあるが、通常はリーグカップ、リーグ、カップの順番に栄冠に輝くチームがきまっていく。これは秋のリーグカップ、年の瀬のリーグ、そして新春のカップと風物詩になっている日本と同様である。ところが、前回の本連載で紹介したとおり今年は4月15日にリーグの覇者が決定してしまった。
 リーグカップの優勝チームは翌季のUEFAカップへの出場権が与えられ、リーグカップの優勝チームが欧州切符を一番乗りという年も少なくないが、今年は欧州行きの切符もリヨンが早々と手に入れてしまった。
 さらに有力チーム、人気チームが続々と序盤で敗退してしまった。まず、1部リーグのチームにとって初戦となる10月に行われたベスト16決定戦ではリーグ戦で優勝したリヨン、年明けから快進撃をすることになったレンヌ、人気チームのマルセイユが姿を消す。年末に行われたベスト8決定戦ではリヨンを追い、欧州カップでも好調なリール、そしてカップ戦に強いパリサンジェルマンが敗退してしまう。新春の準々決勝ではリヨンに唯一追いつくことのできる可能性を持ったボルドーも敗れ、ベスト4はルマン、ニース、ナンシー、モナコという顔ぶれとなった。

■90回目の地中海ダービーとなったモナコ-ニース戦

 準決勝は2月7日にモナコ-ニース戦、2月8日にナンシー-ルマン戦の2試合が行われた。モナコとニースは地中海ダービーとなった。両チームの対戦はこれが90試合目となる。モナコのルイ2世スタジアムは1万7000人の観客で埋まる。しかしこのほとんどはニースからやってきたファンである。同じ観光地のチームであるがファンの気質は全く異なる。さらに、モナコは古豪ニースが2002年に1部に復帰して以来、このモナコでの対戦ではよい成績を残すことができず、今季も昨年9月25日に対戦しスコアレスドロー、ニースの1部復帰以来の通算成績は2分2敗と本拠地で勝ったことがない。片やニースは丁度アフリカ選手権が終盤を迎え、コートジボワール代表のバカリー・コネとセネガル代表のスーレイマン・カマラという攻撃の中心を欠く陣容である。

■名将フレデリック・アントネッティの采配が成功

 しかしニースのイレブンを率いるのは日本の皆様ならばよくご存知のフレデリック・アントネッティ、かつてガンバ大阪を率いた名将である。日本ではフランス人監督というとフィリップ・トルシエ、かつてモナコを指揮したアルセーヌ・ベンゲルを想起される方が多いと思われるが、フランスではむしろアントネッティの方が評価も高く、実績もある。
 そしてアントネッティがこれまでの評価にたがわぬ見事な采配を見せ、ニースのイレブンが多くのファンの期待に応えることになった。試合は両チームとも高いレベルのプレーを見せながら、無得点が続く。カップ戦であるため、同点の場合は延長戦となる。したがって選手の交代についても保守的になりがちだが、アントネッティは惜しげもなく選手交代、81分にカードを使い切る。そして88分には71分にピッチに入ったエデルソンと81分にピッチに入ったセバスチャン・ルデがゴールを生み出す。ルデのクロスをエデルソンが見事なヘッドで決勝点、初の決勝進出を決めた。

■今季昇格組の対決はナンシーがルマンを圧倒

 その翌日にはナンシーとルマンという今季1部に昇格したチーム同士がナンシーのマルセル・ピコ競技場で対戦した。ナンシーはセネガル代表のパペ・ディアハテ、ルマンはギニア代表のイスマエル・バングラ、コートジボワール代表のヌディリ・ロマリッチを欠き、さらに日本の松井大輔も負傷で欠くという苦しい布陣。戦力に勝るナンシーが地元での利もあってルマンを圧倒した。前半ほぼ完全に試合を支配したナンシーはハーフタイムの直前に先制点、後半も69分に追加点をあげて決勝進出を決める。
 ナンシーは1982年のリーグカップでも決勝に進出したことがあるが、当時のリーグカップはステータスも認められておらず、実際には1995年以降のみを対象として論じるならば、初の決勝進出となる。そして1部に昇格したばかりのチームの決勝進出は1995年のバスティア、2002年のロリアン、そして2005年のカーンに続く4回目のことなのである。(この項、続く)

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