第2021回 パリサンジェルマン、2年連続三冠 (1)
マルセイユと10年ぶりにフランスカップ決勝で対決

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■ファン待望のパリサンジェルマンとマルセイユの決勝対決

 本連載はフランスリーグの最終結果について紹介してきたが、前回は圧倒的な強さを誇ったパリサンジェルマンについて取り上げた。フランスのサッカーシーズンの最後を飾るのがフランスカップ決勝である。
 フランスカップについては準決勝の模様を本連載第2009回から第2012回にかけて紹介してきたが、パリサンジェルマンとマルセイユがファイナリストとなった。三冠を狙うパリサンジェルマンに対し、パリサンジェルマンの最大のライバルであり、これまでにフランスカップで最多10回の優勝を誇るマルセイユ、ファンにとっては願ってもみない顔合わせとなった。

■1989年を最後に優勝がない最多優勝を誇るマルセイユ

 今回がフランスカップ98回目の決勝となるが、優勝回数でマルセイユに次ぐ記録を持っているのが9回のパリサンジェルマンである。パリサンジェルマンが勝利すれば優勝回数でマルセイユと並び、2年連続に国内三冠を達成する。マルセイユはジャン・ピエール・パパンのハットトリックでモナコに勝利した1989年を最後にフランスカップ優勝から遠ざかっており、マルセイユにとって最も長い間獲得していないタイトルとなった。マルセイユは現在フランスカップの決勝で3連敗中である。マルセイユが10回目の優勝を決めたときはまだ優勝2回だったパリサンジェルマンはその後優勝を重ね、カップ戦のスペシャリストという異名を持つにいたった。
 パリサンジェルマンはこれまでに決勝進出13回、対するマルセイユも決勝進出18回と数多くの決勝進出を果たしているが、決勝で両雄が戦ったのは今からちょうど10年前の2006年だけである。その時の模様は本連載第549回と第550回で紹介しているが、このときはパリサンジェルマンが2-1と勝利しているが、ライバル対決ということもあり、試合開始前からの警備が大きな話題になった。

■欧州選手権を控える警備陣にとっても重要な一戦

 今回もライバル対決で、両チームのサポーターが過激な行動に出るということが予想されることに加え、昨年秋の同時多発テロを受けてテロ勢力がこの試合を狙うことは十分に想定される。なぜならば、パリとマルセイユはフランスだけではなく欧州全体を見ても最もイスラム系の住民が多い都市の1つだからである。さらに、6月10日から今年のフランス、いや欧州での最大のスポーツイベントであるサッカーの欧州選手権が始まる。当然テロリストの標的になることは想定しなくてはならない。昨年11月以降このスタッド・ド・フランスでサッカーの試合が行われたのは3月29日のロシア戦と、4月23日のリーグカップの決勝だけであり、このフランスカップがスタッド・ド・フランスで行われる本番前最後のサッカーの試合であり、警備陣にとっても勝負の一戦である。

■この試合でチームを去る両チームの主力選手

 そして文字通りこれがシーズン最終戦となったパリサンジェルマンとマルセイユであるが、両チームの主力選手がこの試合を最後にチームを離れる。
 まず、パリサンジェルマンのズラタン・イブラヒモビッチについては改めてここで紹介する必要もないが、今季のパリサンジェルマンの快進撃を支えた。今季はリーグ戦で38得点をあげた以外に、チャンピオンズリーグ、フランスカップ、リーグカップでも得点を重ね、実に50試合出場で48得点をあげている。
 一方のマルセイユは、ミヒー・バチュアイが今季はリーグ戦で17得点をあげ、パリサンジェルマンの選手以外では最多の得点をあげているが、シーズン終了後に移籍することが確実視されている。またGKのスティーブ・マンダンダも2007年から9シーズン、マルセイユのゴールを守り、フランスリーグ優勝1回、リーグカップ優勝3回というタイトルを獲得したが、唯一手にしていないのがこのフランスカップである。様々な思いが交錯する中で5月21日21時、今季最後の試合がキックオフされたのである。(続く)

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