第2154回 スペインと親善試合(1)
新時代を感じさせるキリアン・ムバッペとウーゴ・ロリス

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■スタッド・ド・フランスの開業時には生まれていなかったキリアン・ムバッペ

 3月25日のアウエーでのルクセンブルク戦、PKで失点しながらも3-1と勝利した。格下の相手に内容としては満足できなかったが、キリアン・ムバッペとバンジャマン・マンディが代表にデビューした。そして真価が問われるのは28日にスタッド・ド・フランスで行われるスペインとの親善試合である。スタッド・ド・フランスは1998年1月28日に最初の試合を行ったが、その時の相手はスペインであり、ジネディーヌ・ジダンのゴールでフランスが1-0と勝利している。この時の結果が異なっていれば、フランス代表のその後の歴史は大きく変わっていたかもしれない。そしてそのスタッド・ド・フランスが誕生した時にまだこの世に生を受けていなかったムバッペが出場するとなれば、新たな1ページがこのフランスサッカーの聖地に加わることになる。

■通算出場試合数がファビアン・バルテスに並ぶウーゴ・ロリス

 そしてもう一つの歴史は主将でGKのウーゴ・ロリスの出場である。1998年のスタッド・ド・フランスでの最初の試合でゴールを守っていたのがファビアン・バルテスである。今回のスペイン戦でロリスが出場するならば、通算出場試合数が87試合となり、バルテスに並び、GKとして最多出場となる。ロリスは2008年2月にフランス代表に初招集される。この時もスペインとの親善試合であったがロリスに出場機会はなく、ロリスの代表デビューはそれから半年以上たった11月のパラグアイとの親善試合であった。スタッド・ド・フランスで行われたこの試合では無失点に抑えてデビューしている。この当時はフランス代表の正GKはスティーブ・マンダンダであり、その次にロリスが試合に出場したのは半年以上たった2009年6月のトルコとの親善試合であった。ロリスが評価を高めたのは2009年11月のアイルランドとのワールドカップ出場をかけたプレーオフである。このプレーオフはティエリー・アンリのハンドばかりが強調されるが、このプレーオフにおけるロリスのプレーはまさにサッカーの神様が降臨した。敵地ダブリンでの1-0の勝利はロリスのスーパーセーブのおかげであるといえるだろう。

■2010年から主将を務めるロリス

 そして2010年の南アフリカでの悲しい敗退の後、ローラン・ブラン監督に指名され、2010年11月17日のウェンブリーのイングランド戦で初めて主将を任された。それ以来主将としてチームの精神的支柱となった。ブラン監督を継いだディディエ・デシャン監督はキャプテンシーを重視する監督であり、23歳で主将に指名されたロリスは30歳の現在までキャプテンマークを腕に巻き、そして所属するイングランドのトッテナム・ホットスパーでも主将を務めているのである。
 ただ、フランス代表が苦難の道を歩んでいた時代でもあり、勝率、平均失点、完封試合数など、数字的にみるとロリスはバルテスには及ばない。しかし、昨年の欧州選手権では準優勝、決勝戦のポルトガルのエデルのシュートは痛恨の1点となったが、準決勝のドイツ戦での活躍は忘れられない。1998年ワールドカップと2000年欧州選手権の連覇時のGKであるバルテスとロリスが出場試合数で並ぶことはフランスサッカーの新たな時代の到来を意味しているであろう。

■復活の兆しを見せるスペイン

 バルテスがゴールを守っていたフランスは1998年のワールドカップと2000年の欧州選手権を連覇し、今回対戦するスペインは2008年の欧州選手権、2010年のワールドカップ、さらに2012年の欧州選手権と3連覇している。しかし、スペインはその後停滞し、2014年のブラジルワールドカップではグループリーグで敗退、2016年の欧州選手権でも決勝トーナメント1回戦で姿を消し、現在の世界ランキングは10位にとどまり、フランスの6位を下回っている。2018年のワールドカップ予選ではイタリアと同じグループGに組み込まれたが、アウエーのトリノで行われたイタリア戦は終盤にPKで追いつかれたが、引き分けに持ち込み、それ以外の5試合はすべて勝利している。現在イタリアと並んで5勝1分と復活の兆しを見せており、フランス戦は真価が問われるのである。(続く)

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