第2156回 スペインと親善試合(3)
ビデオ判定に泣いたフランス

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■レイモン・コパに万雷の拍手

 20世紀末から20世紀初めにかけて頂点に立ったフランス、2010年代初めに王座に君臨したスペインの戦い、35回目の対戦となるがフランスにとってはベルギー(73試合)、イタリア、スイス(ともに38試合)に次いで4番目に対戦の多い国である。試合は3月3日に亡くなったばかりのレイモン・コパに対するオマージュで始まった。ゴール裏は青白赤に彩られた中に「KOPA」の文字が浮かび上がるコレオグラフィーが登場した。1分間の黙祷をするのではなく、選手、観客が拍手でコパの死を悼んだ。そしてこの拍手は2月に亡くなったフランスサッカー協会の元副会長であったジャン・ベルベックにも捧げられたのである。

■キリアン・ムバッペ、聖地での初ゴールを逃す

 青いユニフォームのフランスが先にチャンスをつかむ。代表初先発であり、キリアン・ムバッペがクロスボールに合わせてシュート、しかしスペインのGKダビド・デヘアに阻まれ、初先発で初ゴールはならなかった。さらにフランスは11分にはアントワン・グリエズマンの蹴ったCKにローラン・コシエルニーのヘディングシュートがゴールを襲うが、そこにいたのがジェラール・ピケである。ピケがクリアし、コシエルニーの代表通算2得点目はならなかった。
 フランスが攻めたのはここまでであった。その後は白いユニフォームのスペインが試合を支配することになる。コシエルニーは得点こそ挙げることができなかったが、この試合で守備の中心となり、重要な役割を果たすことになる。
 この試合でGKとしてファビアン・バルテスの出場回数の87試合に並ぶウーゴ・ロリスは28分にはアンドレア・イニエスタのシュートを好セーブ、主将として記録を更新し続ける62試合目のキャプテンマークを付けたGKは欠かせない人材である。

■アントワン・グリエズマンのゴールはビデオ判定で覆り、ノーゴール

 この試合はスタッド・ド・フランスが完成したときにはまだ生まれていなかったムバッペの初先発、GKとしてファビアン・バルテスの出場回数に並んだロリスの2人が選手として注目を集めたが、フランスで初めてビデオ判定が導入された試合となった。ビデオ判定は昨年の9月にイタリア-フランス戦で試験的に実施され、昨年の暮れには日本で行われたクラブワールドカップでも導入されたことから日本の皆様もよくご存じであろう。
 イタリア-フランス戦の際はさほど問題にはならなかったが、この試合ではビデオ判定が物議を醸すこととなった。
 スペインのパスに圧倒された45分間を無失点で乗り切ったフランスは、後半開始時にティエムエ・バカヨコを投入し、代表デビューとなる。フランスはスペインゴール前の空中戦にクリストフ・ジャレが競り勝ち、アントワン・グリエズマンがヘディングでシュートを決める。一旦はゴールをドイツ人主審のフェリックス・ツバイヤー氏が認め、8万の三色旗がたなびいたが、スペインがレイバン・クルザワのオフサイドをアピール、ツバイヤー主審はビデオ判定を要求する。このビデオ判定はオフサイドとなり、フランスの先制点はテレビモニターの向こうで取り消されてしまう。
 そして68分に代表デビュー戦となったバカヨコはペナルティエリア内でボールをジェラール・デウロフェウに奪われ、デウロフェウと交錯したコシエルニーが反則を取られてPKとなる。この時フランスは抗議したものの、ビデオ判定にはならず、ダビド・シウバがPKを成功させる。好守を続けてきたコシエルニー、ロリス、痛恨の失点である。

■オフサイドの判定がビデオ判定で覆り、ジェラール・デウロフェウが追加点

 さらにビデオ判定がフランスを突き落す。77分にはジョルディ・アルバのクロスをデウロフェウがサミュエル・ウムティティの裏で受けてシュート、ゴールネットを揺らすがオフサイドの判定。しかし今度もまたビデオ判定となり、オフサイドの判定が覆り、スペインは追加点を決める。
 結局ビデオ判定でフランスは得点が取り消され、スペインは得点が認められ、スペインが2-0と勝利したが、ビデオ判定の在り方が議論される試合となったのである。(この項、終わり)

このページの先頭へ戻る

月間バックナンバー

  • RSS Feed
  • Supported by Everplus