第2764回 2020-21ヨーロッパリーグ(4) ACミランに1勝1分、決勝トーナメントに王手をかけたリール

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■下剋上となったグループH

 リールは、第4シードでありながら、ヨーロッパリーグのグループリーグの第1節で第2シードのスパルタ・プラハ(チェコ)にアウエーで勝利、第2節では第1シードのセルチック・グラスゴー(スコットランド)にホームで引き分ける。グループHは序盤戦を終えて、首位は第3シードのACミラン(イタリア)、2位にリールと下剋上の様相を呈し、中盤戦でこの2チームが対戦した。

■好調同士の一戦を制したユスフ・ヤズジュのハットトリック

 11月5日の第3節、まずはミラノで対戦した。ACミランは新型コロナウイルスの感染拡大による中断をはさみ、3月から24試合連続で負けなし、19勝5分という驚異的な成績を残しており、1990年代の全盛期を彷彿させる。一方のリールも過去11試合負けなしでリーグ戦では2位、好調同士の対戦となる。
 ACミランの1トップはパリサンジェルマンでも活躍したズラタン・イブラヒモビッチ、リールはジョナサン・デイビッド、両チームは2006-07シーズンのグループリーグでも対戦、この時のリールはホームで引き分け、ミラノで勝利している。
 先制点の多いACミランであるが、この試合で先に得点をあげたのはリールであった。20分にユスフ・ヤズジュがペナルティエリア内の空中戦で押され、ファウルを受け、PKを得る。これをヤズジュ自身が決めて先行する。試合はACミランが優勢に進め、リールのゴールを襲うが、リールのマイク・マイニャンがセーブを連発、リールが1点リードで後半を迎えた。
 後半開始時に2人の選手交代をしたACミランであるが、リールが追加点をあげた。55分に左サイドからのパスをヤズジュが決める。そして驚きの追加点の余韻の冷めやらぬ中で、58分にもヤズジュが得点をあげ、ハットトリック達成で3-0と差を広げる。リールは80分にもジョナタン・バンバがあわや4点目というシーンも演出する。終始押され気味のリールであったが、終わってみれば3-0という予想外のスコアで勝利、グループHで首位に立ったのである。フランス勢は欧州カップでのミラノでの試合でACミランに対し2勝4分10敗となったが、その2勝はいずれもリールがあげているのである。

■またもホームで勝てなかったリール、引き分けで首位キープ

 後半戦最初の試合となる第4節、リールは無人のピエール・モーロワ競技場にACミランを迎える。リールが第4シードとなっているのは過去の欧州カップでの成績が振るわないからである。特にホームゲームでの戦績が悪く、2010年を最後に13試合連続で勝ち星から見放されている。ACミランはイブラヒモビッチをメンバーから外すが、3週間前の試合同様、試合を支配する。前半はリールの守備陣がよく持ちこたえ、両チーム無得点で折り返す。
 ところが後半開始早々、リールはボールを奪われ、そのままサムエル・カスティジェホの得点を許してしまう。一方のリールは65分にバンバが同点ゴールを決める。試合はこのまま1-1のドローとなり、リールはイタリアの名門相手に引き分けに持ち込み、首位をキープした。

■第5節で決勝トーナメント進出決定の可能性のあるリール

 また、リールがACミランと対戦した同日に行われたスパルタ・プラハ(チェコ)とセルチック・グラスゴー(スコットランド)の試合は2試合ともスパルタ・プラハが勝利した。
 第4節を終えた時点でグループHの順位は首位がリールで2勝2分(勝ち点8)、2位はACミランで2勝1分1敗(勝ち点7)、3位はスパルタ・プラハで2勝2敗(勝ち点6)となり、ここまでが決勝トーナメント進出の可能性が残っている。そして第1シードのセルチック・グラスゴーは4連敗で勝ち点0のままとなり、グループリーグ敗退が決定した。 リールの終盤戦であるが、第5節でスパルタ・プラハをホームに迎え、最終節はアウエーでセルチック・グラスゴーと対戦する。スパルタ・プラハ相手に勝利すれば、最終節を待たずして決勝トーナメント進出を決定することができるのである。そして敗れたとしても、最終戦の相手は意気消沈しているセルチック・グラスゴーなのである。(続く)

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