第3563回 パリサンジェルマン、ついに優勝 (2) 決勝トーナメントで実現しなかったミラノダービー
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■1960年代のグランデ・インテル、2010年に国内外三冠
パリサンジェルマンとチャンピオンズリーグ決勝で対戦するインテル・ミラノ(イタリア)は、2010年に国内外三冠を達成したが、チャンピオンズカップ時代には1964年と1965年に優勝を果たし、グランデ・インテル(偉大なるインテル)と呼ばれた。しかし、1960年代終盤にこの黄金期を支えた会長が交代し、その後は並みの強豪チームとしての位置づけとなり、ミラノのサッカーチームというとチームカラーが赤と黒のACミランが主役となった。
青と黒をチームカラーとするインテル・ミラノが復活したのが2000年代中盤のことであった。2006年に17年ぶりにリーグ優勝を果たし、連覇を重ねる中で、名将ジョゼ・モウリーニョを監督に招聘し、そして2010年には45年ぶりに欧州の頂点に立った。これはチャンピオンズリーグ(チャンピオンズカップ)にとって最も長いブランを経ての復活劇であった。しかし、モウリーニョが去るとともに、また栄光から遠ざかってしまう。
■ACミランに勝利し、3年ぶりにリーグ制覇、チャンピオンズリーグに出場
2019年にアントニオ・コンテが監督に就任、2シーズン目の2020-21シーズンにリーグ優勝、この時の優勝の立役者がアクラフ・ハキミである。ハキミはリーグ優勝直後にパリサンジェルマンに移籍することになる。2020年代はリーグ戦では常に優勝争いに加わり、上位チームに与えられるチャンピオンズリーグも連続出場し、決勝トーナメントの常連となり、2023年には決勝に進出し、マンチェスター・シティ(イングランド)に敗れている。
そして2023-24シーズン、選手が大幅に入れ替わったが、新主将のラウタロ・マルティネスを中心に快進撃を続ける。そしてライバルのACミランとの試合で勝利して3年ぶりのリーグ優勝を決めた。
■リーグフェーズでは全体4位と好成績
リーグチャンピオンとして臨んだ2024-25シーズンのチャンピオンズリーグ、第1シードとしてリーグフェーズを戦う。第1節は2季前の決勝で敗れたマンチェスター・シティとのアウエーの試合である。マンチェスター・シティは第1シードで出場36チーム中最高のUEFA係数を誇る。いきなりの好カードとなったが、インテル・ミラノはスコアレスドローで乗り切る。第2節以降はレッドスター・ベオグラード(セルビア)、ヤングボーイズ(スイス)に連勝する。第4節で好調なアーセナル(イングランド)、第5節で第1シードのRBライプチヒ(ドイツ)をそれぞれ下す。4勝1分で迎えた第6節ではバイエル・レバークーゼン(ドイツ)に0-1と敗れ、初失点ならびに初黒星を喫した。しかし、終盤はスパルタ・プラハ(チェコ)とモナコに連勝、リーグフェーズは6勝1分1敗で終えた。リーグフェーズの首位は7勝1敗のリバプール(イングランド)で勝ち点21、インテル・ミラノはバルセロナ(スペイン)、アーセナルと並ぶ勝ち点19であったが、得失点差で4位、しかし、8試合でわずか1失点と言う堅守で決勝トーナメントに戦いの舞台を移した。
■ACミラン、プレーオフでフェイエノールトに敗れ、ミラノダービー実現せず
インテル・ミラノの決勝トーナメント1回戦の相手はプレーオフのACミランとフェイエノールト(オランダ)との勝者である。ミラノダービーが実現すれば、欧州カップで4回目のことになる。今季はリーグ戦では振るわないACミランは、インテル・ミラノとのミラノダービーは今季が始まるまでは6連敗中であったが、今季はアウエーのリーグ戦、イタリアスーパーカップ、ホームのリーグ戦で2勝1分と負けなしである。ACミランのファンにとっては是非ともインテル・ミラノと対戦し、2年前のチャンピオンズリーグ準決勝(2試合ともACミラノは完封負け)の借りを返したいところである。
しかし、ACミランはリーグフェーズでは下位のフェイエノールトにアウエーの第1戦で0-1と敗れ、ホームの第1戦も開始1分に先制したものの、終盤に追いつかれ、1分1敗で敗退、ミラノダービーは実現しなかったのである。(続く)