第3565回 パリサンジェルマン、ついに優勝 (4) バルセロナとアウエーの第1戦で引き分けたインテル・ミラノ

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマン以外はリーグフェーズの上位チームが占めた準決勝

 決勝トーナメント1回戦でフェイエノールト(オランダ)、準々決勝でバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)を下したインテル・ミラノ(イタリア)の準決勝の相手はバルセロナ(スペイン)である。昨年のスペインリーグではレアル・マドリッドに優勝を譲り、リーグ2位として今季のチャンピオンズリーグに臨んだが、リーグフェーズでは6勝1分1敗で勝ち点19、インテル・ミラノと同勝ち点であったが、得失点差で2位になっている。準決勝を戦う4チームのリーグフェーズでの成績は勝ち点19で2位から4位までのバルセロナ、アーセナル(イングランド)、インテル・ミラノと勝ち点13で15位のパリサンジェルマンとなっている。すなわちリーグフェーズ首位のリバプール(イングランド)を倒したパリサンジェルマン以外は順当な結果ということになる。

■守備力を誇るインテル・ミラノ、攻撃力を誇るバルセロナ

 インテル・ミラノはリーグフェーズではわずか1失点、逆に総得点は11点であり、プレーオフ以上に出場した24チームの中では失点は最少、得点は4番目に少ない。バルセロナは対照的な数字である。得点は28でトップ、2位のボルシア・ドルトムントの22を大きく引き離している。逆に失点は13、これは4番目に多い。ただ、得失点差の+15は最も良い数字である。
 このように対照的な攻撃力と守備力を示す両チームの対決は注目を集めたが、試合前の予想ではバルセロナ有利、第1戦はバルセロナで行われた。リーグフェーズ第5節でバルセロナはブレストとホームで対戦したことは本連載第3469回で紹介したが、バルセロナは本来の本拠地カンプノウ競技場が工事中であるため、オリンピック競技場をこのインテル・ミラノ戦でも使用する。

■2点を先行したインテル・ミラノに対し、前半のうちに追いついたバルセロナ

 ロースコアで勝ち上がってきたインテル・ミラノとハイスコアの試合を制してきたバルセロナの顔合わせとなったが、バルセロナのホームゲームにふさわしい点の取り合いとなった。
 先手を取ったのは不利と予想されたアウエーのインテル・ミラノであった。開始早々、右サイドからダンフリースがクロスをあげ、これをバルセロナのジュール・クンデがクリアするが、ボールは再びデンゼル・ダンフリースへ、再びクロスを入れるとゴール前のマルクス・テュラムがヒールキックでゴールに流し込む。テュラムのゴールは前半30秒、チャンピオンズリーグの準決勝の歴史において最速のゴールとなった。さらに21分、左サイドのCKをフェデリコ・ディマルコが蹴り、ヘディングでつなぎ、ゴール前にいたダンフリースがアクロバティックなボレーシュートでインテル・ミラノが2点をリードする。予期せぬ展開になったバルセロナであったが、24分にはラミン・ヤマルが1人でボールをペナルティエリアに持ち込み、そのまま左足でファーサイドにシュート、ヤン・ゾマーも及ばず、1点を返す。その直後にもヤマルのシュートがクロスバーをたたく。そして37分にはペドリが右から入れたクロスを折り返したところでフェラン・トーレスがシュート、攻撃力のバルセロナの本領発揮、追いついて後半に入る。

■守勢のインテル・ミラノ、アウエーでドローに持ち込む

 後半も先手を取ったのはインテル・ミラノであり、63分にダンフリースがCKから勝ち越し点を奪うが、65分にバルセロナはCKからヤマルが後方に戻し、ペナルティエリアの外からラフィーニャが強烈なシュートを放ち、同点に追いつく。
 後半はバルセロナが終始優勢に試合を進め、インテル・ミラノはパスがつながらず、攻撃に出ることができなくなった。ここからが堅守を誇るイタリアの伝統を見せる。この日得点を記録しているFWのテュラムとMFのダンフリースをベンチに下げ、守備的な選手を投入する。アウエーゴールルールがなくなったとはいえ、アウエーの第1戦で引き分け、ホームの第2戦でロースコアで勝利すれば、決勝進出ができる、そのような目論見を持つインテル・ミラノは3-3のドローでバルセロナを後にしたのである。(続く)

このページのTOPへ