第3567回 パリサンジェルマン、ついに優勝 (6) 5回目の決勝を迎えるミュンヘン
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■国内外三冠を狙うパリサンジェルマン
5月31日のチャンピオンズリーグ決勝はパリサンジェルマンとインテル・ミラノ(イタリア)の顔合わせとなった。パリサンジェルマンはリバプール、アストン・ビラ、アーセナル(いずれもイングランド)というリーグフェーズ上位のイングランド勢を連破し、インテル・ミラノは準決勝でバルセロナ(スペイン)との点の取り合いを制し、決勝に進出した。
いずれも勢いという点では問題がないが、国内での戦いは少々異なる。パリサンジェルマンは早々にリーグ優勝を決め、決勝の前週にはフランスカップでも優勝し、国内外三冠を狙う。
■残された最後のタイトルがチャンピオンズリーグとなるインテル・ミラノ
インテル・ミラノは残された唯一のタイトルがこのチャンピオンズリーグである。インテル・ミラノはイタリアカップでは4月に行われた準決勝でACミランに敗れている。ACミランにはスーパーカップでも逆転負け、国内リーグでも勝つことができず、今季はライバルと5試合して1勝もすることができなかった(イタリアカップの準決勝はホームアンドアウエー方式)。
■国内リーグでは2位に終わったインテル・ミラノ
それでもリーグでは最終節まで優勝をナポリと争った。チャンピオンズリーグの決勝進出を決めた時点での国内リーグは首位ナポリと勝ち点3の差で残り3試合であった。
チャンピオンズリーグの準決勝の直後に行われた5月11日の第36節で、インテル・ミラノはトリノに勝利、ナポリはジェノバと引き分け、勝ち点1差に迫り、国内外で最も権威のある二大タイトルが見えてきた。ファンの期待は高まったが、第37節はインテル・ミラノもナポリも引き分け、勝ち点差は1のまま、最終節となる。
最終節は10試合すべてが同時刻ではなく、優勝のかかったナポリとインテル・ミラノの試合だけ金曜日の5月23日の同時刻にキックオフされた。首位ナポリはホームでカリアニ戦、追うインテル・ミラノはアウエーでコモ戦といずれも中位以下のチームとの対戦となる。ナポリが敗れ、インテル・ミラノが引き分けた場合のみ、勝ち点で並ぶが、その場合はインテル・ミラノが優勢である。先に得点をあげたのは前半20分のインテル・ミラノであったが、結局、両チームとも勝利、ナポリが逃げ切って優勝し、インテル・ミラノは勝ち点で1及ばず2位となり、最後かつ唯一のタイトル獲得を目指してチャンピオンズリーグ決勝の地、ドイツのミュンヘンに乗り込んだのである。
■これまでの4回のミュンヘン開催はいずれも初優勝チームが誕生
さて、ミュンヘンと言うとフランスのサッカーファンにとって忘れられないのが、本連載第3541回などで取り上げたチャンピオンズリーグとなって最初の決勝となったマルセイユとACミランの戦いであろう。ミュンヘンではこれまでに4回チャンピオンズリーグならびにその前身のチャンピオンズカップの決勝が行われている。最初は1979年のノッティンガム・フォレスト(イングランド)がマルメ(スウェーデン)を下した試合、この時は1972年のオリンピックと1974年のワールドカップのメイン会場であったオリンピック競技場であった。2回目が先述の1993年のマルセイユ-ACミラン戦、そして3回目は1997年にボルシア・ドルトムント(ドイツ)がユベントス(イタリア)を3-1で下した試合である。
4回目は会場がアリアンツアレーナに代わる。2006年のワールドカップのために2005年に開業したこのスタジアムで2012年の決勝が行われた。この時は地元のバイエルン・ミュンヘンが決勝に残ったが、チェルシー(イングランド)と延長、PK戦の末、敗れている。そしてそれ以来13年ぶりの決勝となったが、これまで唯一のフランス勢の優勝、1993年のマルセイユの優勝の地がこのミュンヘンであった。そしてその時の決勝の相手は今回と同じイタリア勢である。さらにこれまで4回のミュンヘンでの決勝、いずれも初優勝となるチームが勝利している。パリサンジェルマンは見事にこれまでの歴史を受け継いだのである。(続く)