第3203回 終盤を迎えたフランスリーグ(6) 優勝をほぼ手中にしたパリサンジェルマン

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■11年ぶりのオセールとの対戦

 フランスリーグは第36節までは各試合が別々の時間にキックオフされる。第36節でパリサンジェルマンが優勝を決めるかどうかが注目を集めたが、パリサンジェルマンに先立って試合を行ったRCランスが勝利し、この説でのパリサンジェルマンの優勝はなくなった。
 ただ、パリサンジェルマンは前節に引き続き、RCランスに勝ち点3差に迫られた。アウエーの試合とは言え、勝利して次節での優勝の可能性を高めたい。フランスリーグの評価が高かった1990年代は1部の上位争いをしたオセールも2012年に2部に陥落して、久しぶりに復帰、アベ・デシャン競技場がパリサンジェルマンを迎えるのは11年ぶりとなる。すなわち、オセールはカタール資本となってからのパリサンジェルマンとは今年が初めての対戦となる。前半戦ではワールドカップ中断前の11月にパリで対戦したが、0-5と大敗した。しかし、その時の勢いは現在のパリサンジェルマンにはない。また、17位のナントは前日にモンペリエに敗れており、オセールがパリサンジェルマンに勝利すれば、勝ち点の差を4に広げることができる。

■開始早々のキリアン・ムバッペの2ゴールでRCランスと勝ち点6差に

 地元オセールのファンは期待したが、その期待を早々に打ち破ったのがキリアン・ムバッペであった。開始早々の6分と8分に立て続けにゴールを決め、1万6000人の観衆を沈黙させた。その後もパリサンジェルマンがボールを支配した。劣勢のオセールは少ないチャンスからシュートを放ったが、51分に1点を返しただけで、パリサンジェルマンが2-1と勝利した。
 第36節を終え、残り2試合となったところで首位のパリサンジェルマンと2位のRCランスの勝ち点差は6、すなわちパリサンジェルマンが残り2試合に連敗し、RCランスが連勝した場合に勝ち点で並び、得失点等の勝負となる。両チームの得失点差は、パリサンジェルマンは+50、RCランスは+16であり、34ポイントの差がある。ほぼパリサンジェルマンがリーグチャンピオンの座を確定したといってよいであろう。

■チャンピオンズリーグ出場3チームは確定

 優勝争い以外の第36節の模様であるが、上位の欧州カップ出場権争いは順位こそ変動がなかったが、勝ち点や得失点差には変動があった。第36節で最も注目を集めたカードは3位のマルセイユと5位のリールの対戦であろう。3位はチャンピオンズリーグの予備戦出場、4位はヨーロッパリーグ出場、5位はヨーロッパカンファレンスリーグ出場となる。5月20日の土曜日にリールで行われたこの試合、マルセイユのジョナタン・クロースが先制点を上げるが、後半に入ってリールはジョナサン・デイビッドのPKで追いつく。両者互角の展開であったが、勝ち越し点は72分、リールのジョナタン・バンバが決める。3人の得点者の名前はいずれもJonathanであったが、チャンピオンズリーグの本戦出場を目指すマルセイユは痛い黒星となり、5連勝した2位のRCランスとの勝ち点の差は5となり、残り2試合での逆転は厳しくなった。
 そのもたつくマルセイユを追う4位のモナコは7位のリヨンとアウエーで対戦するが、1-3と敗れてしまう。4位モナコと3位マルセイユとの勝ち点差は8のままであり、チャンピオンズリーグに出場する上位3チーム(パリサンジェルマン、RCランス、マルセイユ)が確定し、モナコは4位以下が確定した。

■4位を争うモナコとリール、5位以内を狙うレンヌ、リヨン

 マルセイユに勝利した5位のリールは勝ち点を63に伸ばし、4位モナコとの勝ち点差は2に迫った。
 そして6位のレンヌ、7位のリヨンも5位以内を虎視眈々と狙う。6位レンヌはアウエーながらACアジャクシオを5-0と一蹴する。レンヌの勝ち点はリールとは1差の62、そしてACアジャクシオ戦の大勝で得失点差は+27と5位のリールの+20を大きく上回り、得失点差の勝負に持ち込めれば優位である。
 さらに忘れてはならないのがリヨンである。3位のモナコに勝利し、勝ち点59、欧州カップ出場圏内の5位とは勝ち点4差で残り2試合を迎えるのである。(この項、終わり)

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