第3561回 2024-25フランスサッカー、フィナーレ (9) ストラスブールがカンファレンスリーグ出場、スタッド・ド・ランスは2部降格
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■6位リヨンがヨーロッパリーグに出場
フランスカップ決勝は、パリサンジェルマンが試合を支配し、3-0というスコアでスタッド・ド・ランスに快勝、16回目の戴冠となった。 さて、フランスカップ決勝が終わり、来季の欧州カップへの出場チームが確定した。フランスカップ優勝チームはヨーロッパリーグへの出場権が与えられるが、すでにパリサンジェルマンはヨーロッパリーグよりも上位のチャンピオンズリーグの出場権を獲得しているため、リーグ戦で上位のチームにヨーロッパリーグの出場権が与えられる。リーグ戦5位のリールに加え、6位のリヨンに出場権が割り当てられた。
■20年ぶりの欧州カップ本戦を目指すストラスブール
そして最後の椅子となるカンファレンスリーグの出場権は6位のリヨンから7位のストラスブールに移る。最終節を6位で迎えたストラスブールは1部残留を目指すルアーブルと対戦する。しかし、後半アディショナルタイムの99分にPKを決められて、敗れてしまう。同時刻にアンジェに勝利したリヨンと勝ち点で並ばれ、得失点差により7位に陥落し、いったんは欧州カップ出場の可能性が消えたが、パリサンジェルマンの勝利によって欧州への道が復活した。ストラスブールは2019-20シーズンのヨーロッパリーグは、予備戦2回戦から参戦したが、予備戦2回戦と3回戦は勝ちぬいたものの、プレーオフでドイツのフランクフルトに敗れ、本戦出場はならなかった。カンファレンスリーグはプレーオフからの参戦となるが、ストラスブールはプレーオフで勝利すれば、20年ぶりの欧州カップ本戦出場となる。
■78分の初めてのシュートが同点ゴールとなったメッス
フランスカップの決勝を戦った両チームであるが、パリサンジェルマンは1週間後にドイツのミュンヘンでチャンピオンズリーグの決勝、インテル・ミラノ(イタリア)戦が控えている。
一方、敗れたスタッド・ド・ランスは入替戦の第2戦が待っている。第1戦は本連載第3558回で紹介した通り、メッスで5月21日に行われ、1-1の引き分けであった。第2戦は本来であれば5月25日に行われるはずであったが、スタッド・ド・ランスは24日にフランスカップの決勝を戦うため、日程が変更となり、29日にランスで行われる。
スタッド・ド・ランスの本拠地オーギュスト・ドローン競技場は2万人を超える観衆が集まり、チケットは前売りで完売である。この中にはかつてのテニス界のスター、ヤニック・ノアの姿も見える。スタッド・ド・ランスを応援する観衆には5日前のスタッド・ド・フランスでの敗戦に立ち会ったファンも少なくなかったであろうが、またしても残念な結果に終わった。
試合開始から主導権を握ったのはメッスであった。しかし、メッスはシュートまで結びつけない。スタッド・ド・ランスは少ないチャンスをシュートに結びつけるが、メッスのGKシが防ぐ。昇格降格のかかる試合とあって激しいプレーが多く、ファウルも相次ぎ、グラウンドに倒れこむ選手の姿も多い中で、前半は両チーム無得点で折り返す。
後半の立ち上がりに両チームがゴール前に迫るが、得点は生まれない。先にゴールネットを揺らしたのはホームのスタッド・ド・ランスであった。59分にアンジュ・ティアのシュートが決まるが、オフサイドではないかとVARになり、長い審議の末、ゴールが認められた。メッスは依然としてこの試合シュートを放つことができなかったが、78分のこの試合最初のシュートが得点になった。第1戦に続き、主将のマチュー・ウドルがゴールを決めた。
■延長後半で2得点を失ったスタッド・ド・ランスが2部降格
試合はこのまま前後半が終了、大会規定により、延長戦に突入する。追いついたメッスが試合を支配し、延長前半は両チーム無得点で折り返す。
延長後半に入り、リードしたのはメッスであった。スタッド・ド・ランスの中村敬斗のシュートが外れ、メッスに攻撃権が移り、アルファ・トゥーレが110分に勝ち越し点を決める。さらにゴーチエ・アインが114分に追加点、メッスが3-1と勝利し、1部に昇格する。昨年はプレーオフでサンテチエンヌに敗れて2部に降格したメッスは2002年以降、8回2部に降格し、今回は8回目の昇格となる、ヨーヨークラブである。
一方、日本人選手を3人抱えたスタッド・ド・ランスは8年ぶりに2部降格となった。(この項、終わり)