第1545回 サンテチエンヌ、32年ぶりのタイトル (2) 欧州組対決を制したモンペリエとパリサンジェルマン

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州組でシードから漏れたボルドーとマルセイユ

 欧州カップに出場している6チームがリーグカップに参戦し、フルメンバーとなる初戦のベスト8決定戦。欧州組6チームは昨年度のリーグ戦で4位までのチームがシード扱いとなり、リーグ戦で5位以下だったマルセイユとボルドーは奇しくもシード4チームと対戦することになってしまった。ボルドーは昨季王者のモンペリエ、マルセイユは昨季2位のパリサンジェルマンとの対戦となったが、今季の成績を見れば、ボルドーはくじ運に恵まれたと言えるであろう。逆にマルセイユにとっては非常に厳しい相手となった。そしてこれはパリサンジェルマンにとっても同様であり、今季のマルセイユは国内外で好調である。

■10月に入って失速したボルドー、リーグ戦で低迷するモンペリエに敗れる

 昨季のリーグチャンピオンのモンペリエは国内外で苦戦している。チャンピオンズリーグでは前半戦を終えた時点で1分2敗と勝ち星がなく、早くも黄信号がともっている。国内リーグでも負けが先行し、2桁順位である。一方、今季のボルドーは国内外で序盤戦は好調であったが、10月に入ってブレーキがかかる。ヨーロッパリーグのグループリーグでニューカッスルユナイテッド(イングランド)に月初に敗れると、ポルトガルのマリティモにも引き分け、開幕以来3勝4分と負けなしだったリーグ戦でも今度は勝ち星から遠ざかり、ブレストとリールに引き分けた後、バランシエンヌ相手の今季初めての黒星を喫する。10月に入ってからの成績が3分2敗という中で迎えた10月31日の試合がモンペリエ戦である。モンペリエのラモッソン競技場で行われたこの試合、前半はボルドーのペースであったが得点を奪うことができず、劣勢のモンペリエは61分にジョナタン・ティナンが得点をあげる。ボルドーはモンペリエのゴールを脅かすことができず、0-1で敗れ、月間成績は3分3敗と暗黒の10月になってしまったのである。

■直前にマルセイユから首位を奪還したパリサンジェルマン

 さて、ファンの注目はパリサンジェルマン-マルセイユ戦である。マルセイユはリーグ開幕以降6節まで負けなしで首位キープ、第7節で初めて黒星を記録したが、首位のままで第8節では2位パリサンジェルマンと対戦。ベロドロームでの対戦は2-2の引き分けに終わり、マルセイユは首位を死守したが、次の第9節でマルセイユはトロワに敗れ、パリサンジェルマンはスタッド・ド・ランスに勝利し、ついに首位の座が交代し、首位パリサンジェルマン、2位マルセイユとなる。この首位交代の直後にリーグカップとはいえ両チームが対戦するというのは両チームのライバル関係の強さが引き寄せた偶然であると言えよう。

■両チームの勢いの差が出て、パリサンジェルマンがライバル対決を制す

 マルセイユはトロワ戦の後は、ヨーロッパリーグではドイツのボルシア・メンヘングランドバッハにも敗れ、リーグ戦のリヨン戦は天候不順により延期となる。パリサンジェルマンは首位を奪った後、チャンピオンズリーグでアウエーながらディナモ・ザグレブ(クロアチア)に勝利、リーグ戦ではニースにも勝利する。このチームの勢いがそのままパルク・デ・プランスでの両雄の対戦に表れた。
 満員のパルク・デ・プランス、27分にマルセイユのストッパーのロッド・ファンニがパリサンジェルマンのギヨーム・オラオに対しペナルティエリア内で後方からタックル。ペナルティスポットを指差してからレッドカードが差し出された。チアゴ・シウバが慎重に決めてパリサンジェルマンが先制する。残り1時間以上10人での戦いを強いられたマルセイユは前半の終盤にパリサンジェルマンを押し込んだものの、後半に入ってからはチャンスは少なくなった。パリサンジェルマンは後半立ち上がりの50分にジェレミー・メネスが追加点をあげ、2-0と勝利。ライバル相手に勝利し、準々決勝に進出したのである。(続く)

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