第2158回 リーグカップ、パリサンジェルマンが4連覇 (2) 初めてパリを離れ、リヨンで行われる決勝

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■リヨンのジェルラン競技場とパルク・オランピック・リヨネ

 リーグ首位のモナコと2位のパリサンジェルマンの顔合わせとなったリーグカップ決勝、23回目にして初めて決勝戦はパリを離れ、リヨンでの開催となった。日本の皆様にとってリヨンと言えば1998年のワールドカップの日本-ジャマイカ戦で中山雅史が初ゴールをあげたことをご記憶されていらっしゃるであろう。サッカーの決勝戦となると1986年のカップウィナーズカップでソ連のディナモ・キエフとスペインのアトレチコ・マドリッドの戦いが行われ、ディナモ・キエフが勝利している。またラグビーでは現在のTOP14の先祖と言えるフランス選手権の決勝を1950年代から60年代にかけて4回行っている。そしてこれらはジェルラン競技場で行われた。
 今回の決勝で使用されるパルク・オランピック・リヨネは2016年に完成し、2016年5月にはサッカーのチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグに相当するラグビーの欧州チャンピオンズカップ、チャレンジカップの決勝が行われている。また、来季はヨーロッパリーグの決勝が予定されている。

■米国を破り、59年ぶりに優勝を果たしたデビスカップ

 リヨンで行われたスポーツイベントで今なおフランス国民の胸に刻み込まれているのは1991年のテニスのデビスカップ決勝であろう。フランスはリヨンのスポーツパレスで米国と対戦、ヤニック・ノア監督が率い、ギ・フォルジュ、アンリ・ルコントを中心に編成したフランスはピート・サンプラス、アンドレ・アガシを擁する米国に3-1で勝利、実に59年ぶりの優勝を果たしたのである。

■リーグ戦での戦績はモナコの1勝1分

 そして今回のリーグカップ決勝はフランス国内の大会であり、しかも第三のタイトルでありながら、これまでリヨンで行われた国際大会の決勝以上に注目を集めている理由は冒頭に記した通り、フランスサッカーのナンバーワンとナンバーツーのチームが戦うからである。
 さて、この両チーム、今季のリーグ戦では2試合とも対戦し終わっている。8月27日の第3節ではモナコでの試合となり、モナコがジョアン・モウチーニョ、ファビーニョらのゴールで3-1と勝利している。パリでの試合は1月27日に行われた。パリサンジェルマンは81分にエディンソン・カバーニがゴールをあげてこれで勝利かと思われたが、アディショナルタイムの92分にモナコはベルナウド・シウバのゴールで追いつく。リーグ戦での成績はモナコの1勝1分であり、この勝ち点3の差がそのまま両チームの現時点でのリーグ戦における勝ち点の差となっている。

■3チームを下して決勝に進出した両チーム

 これまでの本連載でも紹介してきたが、両チームのここまでの道のりを紹介すると、両チームともチャンピオンズリーグに出場しているため、12月中旬に行われたベスト8決定戦から参戦している。モナコはベスト8決定戦でレンヌに7-0と大勝、1月中旬の準々決勝ではソショーとアウエーで対戦し、PK戦で勝利、そして1月24日に行われた準決勝ではナンシーに1-0と勝利している。
 一方のパリサンジェルマンであるが、ベスト8決定戦はホームでリールに2-0、準々決勝もホームでメッスに2-0と勝利、準決勝はアウエーでボルドーと戦い、4-1と勝利している。
 リヨンはパリとモナコの中間に位置する。従来であれば、スタッド・ド・フランスはパリの本拠地と化すが、今年は中立地での試合となる。主催者は両チームに1万2000枚のチケットを割り当て、パリサンジェルマンは1万2000人のファンが駆けつけたが、モナコからは6000枚しかチケットの要求がなく、6000人のファンがリヨンに移動した。
 8万人収容のスタッド・ド・フランスから5万8000人収容のパルク・オランピック・リヨネに決勝の舞台が移るが、来年はボルドー、再来年はリールで決勝が行われる。その意味でも今年の決勝が素晴らしいゲームになることを期待したい。(続く)

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