第3684回 アフリカネーションズカップ2025 (5) アフリカで活躍する外国人監督
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■2人しかいなかったフランス人監督
前回の本連載では今回もアフリカネーションズカップで多くのフランスのクラブに所属する選手が活躍したことを紹介した。
これまでのアフリカネーションズカップではフランス人をはじめとする外国人の監督が多数活躍し、本連載でも紹介してきたが、今大会についてはその傾向が大きく変わった。
まず、参加24か国のうち、フランス人監督はわずか2人であった。(日本とワールドカップで対戦するチュニジアの監督はフランス人のサブリ・ラムシであるが、アフリカネーションカップ時はチュニジア人のサミ・トラベルシであり、ベナンの監督のゲルノト・ロールはフランス国籍も有しているがドイツ人である)
■アンゴラのパトリス・ボーメルとコンゴ民主共和国のステファン・デザブル
その2人がフランス人のアンゴラのパトリス・ボーメルとコンゴ民主共和国のステファン・デザブルである。2人とも今回が初出場ではなく、フランスから独立した国の監督に就任していることに注目していただきたい。アンゴラはポルトガルから、コンゴ民主共和国はフランス語圏ではあるが、ベルギーから独立している。
ボーメルはエルベ・ルナールの愛弟子であり、アフリカのクラブと代表チームでキャリアを重ねている。コートジボワール代表を率いて2022年のアフリカネーションズカップに出場し、今大会が2回目のチャレンジである。
デザブルもまた指導者としてのキャリアの早期にアフリカに渡る。2019年大会にはウガンダを率いてアフリカネーションズカップに出場、2022年初めに現在のコンゴ民主共和国の代表監督となり、前回大会は準決勝で開催国のコートジボワールに敗れ、今回が3回目のアフリカネーションズカップである。アフリカで2大会連続して同じ国を率いることは容易なことではない。ボーメルは47歳、デザブルは49歳、2人はこれからアフリカサッカーの主役となっていくであろう。
■出場24か国中14か国はアフリカ人の監督
かつては旧宗主国がアフリカの国に監督を送っていたり、欧州でポストをつかむことのできなかった指導者が夢を求めてアフリカに渡ったりしていたが、今大会の24人の監督を見ると時代の変化を感じる。
まず、24か国のうち、外国人監督は13か国である。この内訳をみると欧州は8か国、北中米と南米が1か国ずつであるが、アフリカが3か国あることは注目したい。
3位になったナイジェリアの監督はマリ人のエリック・シェルである。シェルはマリ国籍であるが、フランス人の父親とマリ人の母親の間でコートジボワールで生まれ、フランスで育った。RCランスやバランシエンヌでプレーしている。指導者としては2023年のアフリカネーションズカップでマリを率いて準々決勝に進出している。2025年初めにワールドカップ予選で苦しむナイジェリアの監督となり、勝ち星を重ねたが、本大会には届かなかった。
ボツワナの監督は隣国の南アフリカのモレナ・ラモアボリ、スーダンはガーナ人のジェームズ・アッピアであり、24か国のうち14か国がアフリカ人の監督である。
■かつてのフランス人監督の系譜を感じさせる3人のベルギー人監督
欧州勢のうち、最多はベルギー人の3人であり、いずれもこれまでアフリカで活躍したフランス人監督と似たキャリアである。マリのトム・センフィエは指導者になってからはベルギー国内外で経験を重ね、アフリカではナミビア、ジンバブエ、エチオピア、マラウィ、トーゴの代表監督の経験がある。南アフリカの監督のウーゴ・ブロスは現役時代はベルギー代表、引退後はベルギー国内のクラブチームの監督を務めていたが、アルジェリアのクラブチームを皮切りにアフリカに渡り、カメルーンの代表監督も務めた。ウガンダのポール・プットもアフリカの経験が豊富である。ガンビア、ブルキナファソ、ケニア、ギニア、コンゴの代表監督の経験がある。
この3人のベルギー人監督の経歴を見ると、アフリカを渡り歩き、各国の代表監督の豊富な経験がある。かつてアフリカで活躍したフランス人監督のブルーノ・メス、エルベ・ルナールやアンリ・ミッシェルを思い出させるのである。(この項、終わり)
