第2591回 新方式となったテニスのデビスカップ(4) セルビアに敗れ、苦い敗退

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、このたびの台風15号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■日本に完勝したセルビア

 フランスは新方式となったデビスカップの初戦で、日本に勝利したものの、思わぬ苦戦となった。前回の本連載で紹介した通り、2年前の対戦では文字通り一蹴しており、これまでデビスカップの際にフランスの青いユニフォームを後押ししてきた応援の不在が影響しているのであろうか。それとも新方式を金銭面で支え、テニスブームに乗る日本の勢いなのか。
 日本戦の翌日の11月20日はフランスは試合がなく、グループAは第2シードのセルビアと第3シードの日本の試合が行われた。しかし、この試合はセルビアが完勝し、最終戦でセルビアと戦うフランスに不安感を与える結果となった。セルビアと日本は初対決となる。第1試合はシングルスのナンバー2同士の対戦、日本は前日のフランス戦に続き世界ランキング81位の杉田祐一、セルビアは世界40位のフィリップ・クライノビッチが登場する。これまで両者は3回対戦しクライノビッチが3勝している。この日もクライノビッチは杉田を全く寄せ付けず、6-2、6-4とストレート勝ちする。ナンバーワン同士の第2試合はセルビアは世界2位のノバク・ジョコビッチ、日本は世界73位ながらフランス戦でガエル・モンフィス相手に勝利をあげた西岡良仁、初対決となる。成長著しい西岡であるが、ジョコビッチの壁は高く、第1セットはジョコビッチが6-1、第2セットも6-2と連取し、2勝目をあげる。2試合合わせてわずか2時間15分という短い時間で2人とも敗れた日本はこれでグループ最下位が確定し、敗退が決まった。また、第3試合のダブルスはセルビアのペアが2セットともタイブレークを制し、セルビアは3試合とも勝利した。

■セルビア戦のシングルスのナンバーワンにブノワ・ペールを起用

 グループ首位の行方はフランスとセルビアの直接対決となった。フランスは日本戦で敗れたモンフィスを外し、世界24位のブノワ・ペールを起用する。そしてこのペールをナンバーワンとしてジョコビッチと対戦させる。ダブルスに自信を持つフランスはシングルスの2試合のうちいずれかに勝利できれば、ダブルスで勝ち越すことができるという目論見であったのかもしれない。

■ジョー・ウィルフリード・ツォンガはフィリップ・クライノビッチに競り負ける

 第1試合は世界29位のジョー・ウィルフリード・ツォンガがクライノビッチと対戦する。杉田にストレートで勝利した同士の試合となったが、ツォンガはサーブが安定せず、サービスエースを多くとったものの、ダブルフォールトもあり、第1セットは最後にブレークされ、5-7で落とす。第2セットも競り合いとなり、タイブレークとなったが、これを落とし、第2セット6-7でストレート負けしてしまう。

■ブノワ・ペールもノバク・ジョコビッチに完敗、得失セット数で敗退決定

 いよいよ第2試合、ジョコビッチに一矢報いたいペールであるが、第1セットはジョコビッチはファーストサーブが安定しなかったものの、2ブレークして6-3と先取する。第2セットに入ると、今度はペールのサービスが決まらず、第3ゲームをジョコビッチがブレークして一気に調子をつかみ、第1セット同様2ブレークして6-3と連取する。シングルスで連勝したセルビアが決勝トーナメント進出を決める。
 グループAで2位に甘んじたフランスであるが、6グループの2位チームの中で成績の良い2チームになれば決勝トーナメントへの道がある。得失セット数、得失ゲーム数で決まるため、最終のダブルスは鉄壁ペアのピエール・ユーグ・エルベールとニコラ・マユが2セット連取でグループリーグ最終戦を終える。
 6グループとも2位チームは1勝1敗で並んだが、フランスは得失セット数が-1となり、これを上回るチームが3チーム存在し、ロシアとアルゼンチンが決勝トーナメントに進出した。
 新方式でのデビスカップ、フランスにとっては苦い経験となった。なお、優勝は開催国であり、新方式を推進したジェラール・ピケのいるスペインだったのである。(この項、終わり)

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