第2966回 グランドスラムを目指すフランス(2) 初戦のイタリア戦はニュージーランド戦とほぼ同じメンバー

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■6か国対抗独特の大会形式

 6か国対抗には独特のレギュレーションがある。それはホームアンドアウエー形式ではなく、どちらかの国で1試合のみ行うということ、そして各国のリーグを中断するのではなく、シーズン中に試合を行うということである。前者については南半球で行われているラグビーチャンピオンシップはホームアンドアウエーで行われ、後者については夏と秋に行われるテストマッチはウインドウマンスと呼ばれる期間に行われる。
 各クラブがシーズンを行っている期間に試合が行われることから、前回の本連載で紹介した通り、選手を事前に発表し、各クラブが6か国対抗期間中のチーム編成をやりやすくしている。そして、ホームまたはアウエーで1回だけ試合をするという点では、試合順とその開催地が優勝に向けた重要なファクターとなってくる。

■優勝へのライバルのアイルランドとは第2節でホームで対戦

 今年のフランスの試合順は次の通りである。第1節は2月6日にホームでイタリア戦、第2節は2月12日にホームでアイルランド戦、第3節は1週空いて2月26日にアウエーのスコットランド戦、第4節も1週空けて3月11日にアウエーでウェールズ戦、最終の第5節は3月19日にホームでイングランド戦となっている。昨秋のテストマッチで3戦全勝したのはフランス、アイルランド、イングランドの3チームである。その中でもアイルランドとフランスはニュージーランドに勝利しており、優勝候補の双頭と言えよう。そのフランスとアイルランドは序盤の第2節で対戦する。

■イタリア戦に臨むフランスの先発フィフティーン

 一方、フランスの初戦の相手のイタリアは6か国対抗で現在32連敗中、力が劣ると目されている。フランスのプランとしては初戦のイタリア戦でチーム状態をあげて、その勢いでアイルランドを迎えて、天王山に勝利したい。
 イタリア戦に臨むフランスの先発メンバーであるが、FW第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、ウイニ・アトニオ、第二列はカメロン・ボキとポール・ウィレムス、フランカーはアントニー・ジェロンチとディラン・クレタン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはロマン・エンタマック、スリークォータバックは左からガバン・ビリエール、ジョナタン・ダンティ、ガエル・フィクー、ダミアン・プヌー、フルバックはメリバン・ジャミネと直近のニュージーランド戦とは2人が入れ替わっただけとなった。ニュージーランド戦でメンバー入りした23人のうち、負傷したマチュー・ジャリベール以外の22人は今回の42人に入っている。どのように新人が入り込むかが注目であったが、比較的新人を起用しやすいイタリア戦でも23人のベンチ入り選手に新人の名前はなかった。そしてファビアン・ガルチエ監督は新型コロナウイルスの陽性反応が出たため、会場入りができなかった。

■新人2人を含む若いメンバーを引っ張る23歳の主将ミッシェル・ラマロ

 一方のイタリアも連敗が続いており、苦しい時代を支えたベテランのセルジオ・パリッセなどが引退した。また監督も昨夏よりニュージーランド人のキーラン・クルーリーが就任した。カナダ代表の監督として日本代表ともラグビーワールドカップなどで対戦したことがあり、日本の皆様はよくご存じであろう。メンバーも大幅に若返り、33人招集したメンバーのうち6人が代表未経験者となった。このうち2人が先発メンバーに名を連ねた。最多キャップ数はフランカーのセバスチャン・ネグリの36に過ぎず、若いフィフティーンとなった。
 主将のミッシェル・ラマロは23歳、代表入りしたのは2020年11月28日のオータムネーションズカップのフランス戦であり、昨年秋に主将に任命されたばかりである。キャップ数はわずか10であるが、若きフランカーにイタリアの再生を託した覚悟の表れと言えよう。そしてスタンドオフのパオロ・ガルビジはモンペリエに所属する21歳、そのガルビジのキックオフで試合が始まったのである。(続く)

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