第1007回 チャンピオンズリーグ本戦開幕(1) チャンピオンのいないチャンピオンズリーグ

■リーグチャンピオンは32チーム中18チーム

 フランス代表のルーマニア戦、セルビア戦での興奮も冷めやらぬまま、チャンピオンズリーグの本戦が始まった。本連載では第998回と第999回でプレーオフでリヨンが勝ち、フランスからボルドー、マルセイユ、リヨンの3チームが本戦に出場することを紹介した。
 プレーオフは8月26日に終わり、出場チームが出そろった翌日の27日にモナコで組み合わせ抽選会が行われた。本戦に出場する32チームのうち、国内チャンピオンは18チームと、現大会形式になったから最多の数となった。UEFA所属連盟数が53であることを考えると、それでもリーグチャンピオンの3分の2のチームは本大会に出場できないということ、チャンピオンズリーグと命名されながらほぼ半数のチームはチャンピオンではないこと、このような疑問もある。
 組み合わせ抽選は出場32チームを4つのシードに分けて行われた。このシード分けはUEFAのクラブランキングを決定するクラブランキングは過去複数年の成績をUEFAがポイント化したものである。したがって、前年度の成績が悪くても上位にシードされるチームが存在する。例えば、フランス勢の場合、昨年のリーグ順位はボルドー、マルセイユ、リヨンの順であるが、UEFAランキングでは全く逆のリヨン、マルセイユ、ボルドーの順になる。つまり、リーグチャンピオンが最も低く位置づけられている。上記の疑問と合わせるならば、チャンピオンズリーグというよりは欧州スーパーリーグという位置づけにあると言えるであろう。

■第1シード8チーム中チャンピオンは2チームだけ

 その第1シードの顔ぶれを紹介しよう。ランキング順にバルセロナ(スペイン)、チェルシー、リバプール、マンチェスター・ユナイテッド(以上イングランド)、ACミラン(イタリア)、アーセナル(イングランド)、セビリア(スペイン)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)の8チームである。欧州五大リーグと言われるが、フランス勢でトップにランクされるリヨンはランキング9位で第1シードに入ることができず、第1シードはイングランド4チーム、スペイン2チーム、イタリア、ドイツ各1チームという構成になった。そしてこの第1シード8チームのうちリーグチャンピオンとして出場するのはイングランドのマンチェスター・ユナイテッドとスペインのバルセロナの2チームだけである。
 そしてリヨンは第2シード、マルセイユとボルドーは第3シードとなった。ちなみに欧州の主要リーグの優勝チームのシード分けについては、イタリアのインテル・ミラノは第2シード、ドイツのボルフスグルグとフランスのボルドーは第3シードとなっている。強豪国のリーグチャンピオンと言えども、低い評価しか受けることができない。

■初出場8チームは軒並み低い評価

 今回は32チーム中8チームが本戦に初出場となったが、出場2回目のオランダのAZアルクマールが第3シードにランクされた以外は第4シードに甘んじた。逆に過去に本戦出場歴がありながら第4シードに入ってしまったのはイスラエルのマッカビ・ハイファである。
 このようにシード順を見てみると、1年くらいリーグ戦で良い成績を収めても、すんなりと評価されない。逆に1年だけ悪い成績であっても、それまでの蓄積が評価される。伝統を重んじる欧州社会を象徴しているようである。

■フランス勢の組み合わせと興味深い共通点

 フランス勢の組み合わせであるが、ボルドーはグループA、第1シードからはバイエルン・ミュンヘン、第2シードからユベントス(イタリア)、第4シードからマッカビ・ハイファとなった。マルセイユはグループC、第1シードからACミラン、第2シードからレアル・マドリッド(スペイン)、第4シードからFCチューリヒ(スイス)である。リヨンはグループE、第1シードはリバプール、第3シードはフィオレンチーナ(イタリア)、第4シードからデブレツェニ(ハンガリー)という組み合わせになった。
 フランス勢の組み合わせで興味深い共通点がある。まず、フランス勢よりも上位のシードチームが5チームがあるがいずれもチャンピオンズリーグ(チャンピオンズカップ)での優勝経験がある。しかしながらそれらのチームは昨季のリーグチャンピオンではない。これらのグループでリーグチャンピオンとして出場しているのは第4シードの3チームとリヨンだけなのである。(続く)

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