第271回 欧州チャンピオンズリーグ・グループリーグ(5) 第5節で明暗分かれたモナコとリヨン

■フェルナンド・モリエンテスの先制点

 グループリーグの第4節終了時でトップに立ったリヨンとモナコ、両者はフランスリーグでも首位を争っており、第5節で早々と決勝トーナメント進出のチャンスがある。その中で一足先に決勝トーナメントに駒を進めたのはリーグでも首位に立つモナコであった。
 モナコは11月25日の第5節でホームにPSVアイントホーヘンを迎えた。モナコにとって最後のホームゲームであるが、これまで2つのホームゲームで合計12得点と爆発的な得点力を誇るモナコは引き分け以上ならば決勝トーナメント進出を確定できる。ホームゲームでもファンが集まらず、ホームアドバンテージが存在しないと言われていたのが嘘のような1万7000人観衆が見守る中でキックオフ。モナコの攻撃陣は2トップにフェルナンド・モリエンテスとダド・プルソ、攻撃的MFは左にジェローム・ロタン、右にルドビック・ジウイとフランス代表コンビである。この攻撃力が爆発的な得点力を支えており、この夜もゴールネットを揺らしたのは赤と白のユニフォームだった。34分にモリエンテスが右サイドのジュリアン・ロドリゲスからのセンタリングをヘッドであわせて先制点。

■荒れ模様の終盤に追いつかれるも、モナコ決勝トーナメント進出

 しかし、連敗スタートから連勝して望みをつないだPSVアイントホーヘンも16年ぶりの東京行きを目指して首の皮一枚である。モナコに敗れると決勝とイーナメント進出は遠くなる。決勝トーナメント進出を目前にしたモナコとなんとかサバイバルしようとするPSVアイントホーヘンの試合は熱い試合となった。前半だけでPSVアイントホーヘンに3枚のイエローカードが示される。後半開始早々の50分には両チームの選手にイエローカードが出され、PSVアイントホーヘンのテオ・ルシウスは2回目の警告で退場処分。83分にはモナコのギリシャ人MFバシリス・ジーコスが2枚目のイエローカードを受けて退場、両チーム10人ずつとなる。その直後、PSVアイントホーヘンが希望をつなぐ同点ゴールをあげる。その後も試合は荒れ模様が続き、88分にはジウイがレッドカードを受けて、モナコは9人になり、ピンチを迎えるが、タイスコアのまま試合終了、勝ち点1を上積みしたモナコはレアル・マドリッド、ユベントスと言うビッグクラブについで決勝トーナメント進出を決めたのである。

■首位リヨン、最下位アンデルレヒトに惜敗

 昨年のリーグチャンピオンで今季リーグ2位につけているリヨンは混戦模様のグループAの第5節で最下位のアンデルレヒトとブリュッセルで対戦した。ベルギーの名門アンデルレヒトはこれまで1勝1分2敗で最下位とは言え、首位リヨンとの勝ち点の差はわずかに3、地元最終戦となるリヨン戦の結果次第ではトップに躍り出ることもあり得る。リヨンは正GKのグレゴリー・クーペを欠く布陣。アンデルレヒトは攻めながらもリヨンの控えGKニコラ・ピュイドボワからゴールを奪うことができない。一方のリヨンも第4節で勝利を呼び込んだエウベルが大ブレーキ、得点を奪うことができない。地元ファンが引き分けを予感した71分、この試合唯一のゴールが生まれる。第4節で絶妙な選手交代を行ったリヨンのポール・ルグアン監督はエリック・カリエールなどを投入したが、ゴールネットを揺らすことはできず、アンデルレヒトが1点を守りきり、リヨンは決勝トーナメント進出を決めることはできなかった。

■大混戦のグループA

 そしてグラスゴーで行われたセルチック-バイエルン・ミュンヘン戦はスコアレスドローとなり、両チームは勝ち点1を上積みする。混戦のグループAにおいて勝ち点1は貴重である。結局、第5節で勝ち点をあげることができなかったのは首位のリヨン、最下位のアンデルレヒトが勝ち点3をあげ、2位と3位のセルチックとバイエルン・ミュンヘンが勝ち点1をあげるという混戦に拍車をかける結果となった。この結果勝ち点7でセルチック、アンデルレヒト、リヨンが並び、バイエルン・ミュンヘンが勝ち点6で追う展開となった。勝ち点7の3チームは得失点差+2のセルチックが首位、アンデルレヒトとリヨンは得失点差-2で並んだが、大会規定により直接対決の成績で上回るアンデルレヒトが2位になり、リヨンは3位に転落し、すべては12月10日の最終節の結果に委ねられることになったのである。(続く)

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