第3576回 クラブワールドカップのパリサンジェルマン (1) フランス勢として初出場
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■インターコンチネンタルカップから発展したクラブワールドカップ
今年のシーズンオフにはクラブワールドカップが開催される。クラブワールドカップはかつてはインターコンチネンタルカップということで欧州と南米のチームが対戦したものを拡大したものである。インターコンチネンタルカップは1980年代からは東京で開催されてきたが、21世紀になり、欧州と南米以外の大陸の代表も交えたクラブワールドカップへと発展していく。東京での開催経験が下地となっており、世界のサッカー界に対する日本の貢献は特筆すべきであろう。
その通り、2000年にクラブワールドカップが始まってからの主役はアジア勢、2005年大会から2013年大会まで9大会連続して四強入りしている。
■開催地、開催時期、参加チーム数に変更のあった今回のクラブワールドカップ
そして、クラブワールドカップとして21回目の今大会は大きな変更があった。まず、これまでのクラブワールドカップの開催地はアジア、アフリカであったが、今回初めて米国で開催されることになった。そしてインターコンチネンタルカップ時代から開催時期は12月であったが、この6月から7月へと変更となった。これらは来年のワールドカップを見据えていることもあるが、以下に照会する最大の変更に対応したものである。それは出場国が32に拡大することである。これまでは原則として各大陸から1チームしか出場していなかったが欧州(UEFA)から12チームが出場することになった。
■フランスから初めての出場となるパリサンジェルマン
前身のインターコンチネンタルカップの時代にさかのぼってもフランスのクラブが出場することがなかった。1993年にはチャンピオンズリーグでマルセイユが優勝した時であるが、この時は八百長事件で、マルセイユはインターコンチネンタルカップへの出場権を剥奪され、チャンピオンズリーグで準優勝となったイタリアのACミランが欧州代表として出場している。
今大会にパリサンジェルマンは12チーム出場する欧州代表のうちの1チームとして初出場するが、これはチャンピオンズリーグ優勝チームとして出場するのではない。欧州からの出場チームは2020-21シーズンから2023-24シーズンまでの4シーズンのチャンピオンズリーグ優勝チームに加え、この4シーズンの間のチャンピオンズリーグの成績をポイント化した上位チームが出場できる。パリサンジェルマンは該当4シーズンのポイントは4番目であり、1年以上前にこの大会に出場することは決定していたのである。
5月31日に決勝が行われた大会の結果で6月中旬から最長1月間にわたる大会の出場チームを決定するのは現実的ではなく、このような決定プロセスは妥当であろう。
■欧州から出場する12チーム
欧州から出場するチームは、チャンピオンズリーグ優勝チームとしては、2022-23シーズンのマンチェスター・シティ(イングランド)、2021-22シーズンと2023-24シーズンのレアル・マドリッド(スペイン)、2020-21シーズンのチェルシー(イングランド)、それ以外にランキング上位のバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、パリサンジェルマン、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)、インテル・ミラノ(イタリア)、ポルト(ポルトガル)、アトレチコ・マドリッド(スペイン)、ベンフィカ(ポルトガル)、ユベントス(イタリア)、ザルツブルク(オーストリア)の9チームを加えて、合計12チームとなる。リバプール(イングランド)、バルセロナ(スペイン)というチームの名前がないが、これは各国からの出場チームは2チームまで(ただし、当該4シーズンでチャンピオンズリーグに優勝したチームが同一リーグから3チーム以上存在する場合はこの限りではないが、今回はそれに該当するリーグはない)という規定によるものである。
これまでインターコンチネンタルカップ、クラブワールドカップに出場したことのなかったフランス勢として初出場となったパリサンジェルマンであるが、欧州チャンピオンとしての出場ではないことは若干のわだかまりがあるかもしれない。しかし、大会開幕の2週間前に欧州チャンピオンになったプライドを持って米国入りするのである。(続く)