第3635回 ワールドカップ出場決定にあと一歩(3) アゼルバイジャンに勝利、予選突破に前進

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■6年ぶりにフランスリーグ所属選手のいない先発メンバー

 前回の本連載ではフランスとアゼルバイジャンがこれまでに唯一対戦した1996年欧州選手権予選の2試合について紹介した。それぞれの試合が転換点となり、フランスは欧州選手権予選突破、本大会での準決勝進出、さらには1998年のワールドカップ優勝につながったことを紹介した。 今回の対戦はフランスにとっては早期にワールドカップ出場を決めるかどうかがかかっている。9月に引き続き、パルク・デ・プランスでのホームゲームとなるフランス、上から下まで青一色のユニフォームで臨む。GKはマイク・メニャン、DFは右からマロ・グスト、ウィリアム・サリバ、ダヨ・ウパメカノ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にケフラン・テュラムとアドリアン・ラビオ、右サイドにミカエル・オリーズ、左にキングスレー・コマン、FWは2トップ、右にキリアン・ムバッペ、左ウーゴ・エキティケという布陣である。フランスリーグ所属の選手が1人もおらず、これは2019年以来6年ぶりのことである。主将を務めるのはムバッペである。

■代表初先発となる好調のウーゴ・エキティケ

 この中で注目はエキティケである。9月の連戦時はラヤン・シェルキの負傷離脱を埋める形で代表に追加招集、9月5日のウクライナ戦ではウスマン・デンベレが負傷し、デンベレに代わって81分に出場、代表デビューとなった。9日のアイスランド戦では後半アディショナルタイムに入ってからオリーズに代わって出場した。エキティケの実際の出場時間はウクライナ戦は12分、アイスランド戦は5分と短く、その真価を発揮するには短すぎたが、今回は先発、活躍の時間は十分にある。エキティケは、昨季はドイツのフランクフルトでリーグ戦で15得点をあげ、今季移籍したイングランドのリバプールでもここまで3得点を記録している。エキティケはかつてパリサンジェルマンにも所属しており、その得点力をパルク・デ・プランスのファンに見せるよい機会である。

■現役引退したワールドカップ優勝メンバーのサミュエル・ウムティティ

 キックオフの前には9月に現役を引退した元代表選手のサミュエル・ウムティティの引退セレモニーが行われた。2016年の欧州選手権の本大会直前にジェレミー・マチューが負傷したため、代表に追加招集、そして代表デビューは準々決勝のアイスランド戦であった。欧州選手権に初出場し、フランスの地で旋風を起こしているアイスランドと負けたらおしまいのノックアウト方式の準々決勝が代表初の試合というのもしびれる経験であろう。この時のチームメイトで今回の代表に入っているのがコマンとルカ・ディーニュである。ウムティティは2018年のワールドカップ優勝メンバーでもある。ウムティティはまだ31歳、2年前の膝の負傷による早すぎる引退をパルク・デ・プランスの観衆は惜しんだのである。

■キリアン・ムバッペが先制、6年ぶり出場のフローリアン・トーバンが追加点

 試合はこれまでの対戦結果、両国のFIFAランキング、両国の9月の戦績、これらを象徴するようにフランスの一方的な試合となった。立ち上がりから攻め込み、アゼルバイジャンのゴール前で試合を進める。アゼルバイジャンは全員がペナルティエリア内に釘付けとなり、フランスはブロックを組むアゼルバイジャンの守備陣をかいくぐってシュートを放つ。攻めても攻めても、シュートを放っても放ってもなかなか得点をあげることができなかったフランスであったが、均衡を破ったのは主将でエースのムバッペであった。前半アディショナルタイムの47分、相手にユニフォームをつかまれながらも、急にスピードアップして相手を交わしてシュートを決める。これが代表53得点目となった。
 ところが、そのムバッペは81分に負傷してピッチを去る。代わりに入ってきたのはブラッドリー・バルコラの負傷離脱によって追加招集となったフローリアン・トーバン、32歳は6年ぶりの代表戦となった。そして出場して2分、トーバンはゴールを決める。
 フランスはアゼルバイジャンを2-0で倒し、予選突破に近づいたのである。(続く)

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