第729回 グルジアに勝利して首位固め(1) オセールで2度目の代表試合

■後半戦に入った欧州選手権予選

 フランス代表史上最多の観衆が集まったスタッド・ド・フランスで勝ち点12で並ぶウクライナを2-0と下してフランスは単独首位に立った。
 そのフランスは今度は舞台をオセールに移してグルジアと対戦することになる。本連載第608回で紹介している通り、フランスはグルジアと今回の予選の第1戦で対戦している。すなわち予選の日程全体を見渡すとウクライナ戦と対戦して一通りの相手と対戦し、前半戦が終了、そしてこのグルジア戦から後半戦が始まることになる。
 前半戦の最後の試合が首位決戦となり、快勝して後半戦を迎えるわけである。前半戦と後半戦の間にインターバルがないのは不自然であるが、過密日程の欧州のサッカーシーンではやむを得ないであろう。
 6月2日から中3日のスケジュールで試合を行うため、代表チームは継続して活動することとなる。ウクライナ戦の翌日の3日には早速練習をクレールフォンテーヌで再開している。試合の前々日はクレールフォンテーヌで非公開の練習を行い、試合の前日の5日にオセールに移動する。

■予選では1勝5敗と不振のグルジア

 グルジアは今予選では初戦でフランスに0-3と敗れた後、ウクライナ、イタリアにも敗れ3連敗となる。しかし、11月にウルグアイ、年が明けて2月にトルコと親善試合で対戦し、連勝する。強豪相手に対する勝利で一気に注目を集めたが、3月に再開した予選ではスコットランドに敗れて4連敗、ようやくフェロー諸島戦で初勝利を上げる。そして6月のシリーズでは前半戦の最後の対戦としてリトアニアとアウエーで対戦したが、0-1と惜敗、前半戦を終わった時点での成績は1勝5敗の6位である。

■12年前のオセールでの試合では10-0と大勝したフランス

 さて、ウクライナ戦を無失点に抑えたGKのグレゴリー・クーペが負傷のため、ウクライナ戦の翌日には離脱してしまう。クーペを含め3人のGKを登録しておいたレイモン・ドメネク監督の読みが当たってしまう。したがって22人でオセール入りした。オセールでの代表の試合はこれが12年ぶり2回目のことである。これまで唯一オセールで行った試合は1995年9月6日の欧州選手権予選のアゼルバイジャン戦である。この予選でフランスは失点こそないものの、得点力不足に悩まされ、スコアレスドローか辛勝かという苦しい展開であった。その中でイングランド行きのきっかけとなったのがこの試合であり、フランスはゴールラッシュで10-0と言うフランス代表史上最多得点、最多得点差という記録を達成したのである。

■ベンチ入りを果たした3人の新人

 町中にサッカーグラウンドがあふれ、優れた育成機関を持つオセールからはこれまでに多くのフランス代表選手を輩出してきた。そして彼らのほとんどが代表デビュー時にオセールに所属し、その後、国内外のビッグクラブに移籍し、代表選手として活躍し続けている。今回オセール入りした22人代表選手のうち唯一のオセールの選手が今回初選出のバカリ・サーニャである。サーニャもすでに国内外のビッグクラブから注目される存在であり、そのためにもこの地元オセールの試合でデビューを果たしたいところである。
 レイモン・ドメネク監督はウクライナ戦の勝利で一息つきたいところであるが、先発メンバーはウクライナ戦で負傷したGKのクーペに代わりミカエル・ランドローを起用しただけでフィールドプレーヤーを変更しなかった。しかし、地元期待の新人サーニャは今回初選出のジミー・ブリアン、そして代表未経験のセバスチャン・フレイとともにベンチ入りを果たし、ベンチからのスタートとなる。12年前のオセールの試合では先発メンバーにオセールの選手はいなかったが、途中出場したクリストフ・コカールがロスタイムに10点目のゴールを入れている。この日も試合展開によっては新人たちに代表デビューのチャンスがあるであろう。所属チームの本拠地で途中交代して代表デビューというと、オセールのファンならずとも1994年夏のボルドーの試合でのジネディーヌ・ジダンを思い出さずにはいられないであろう。(続く)

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