第863回 オランダに歴史的大敗(3) 守備陣壊滅、本大会では50年ぶりの3点差負け

■先制点を許し、前半を終了

 ティエリー・アンリ復帰という追い風を受けて第2戦のオランダ戦の勝利を目指したフランスであるが、思わぬ結果となった。先にチャンスをつかんだのはフランスであり、5分にはフローラン・マルーダのクロスをフランク・リベリーがシュートするが、枠から外れる。リベリーを攻撃の軸としてサイドから中央にポジションを代えた策が的中したかに思えた。しかし、先制点はオランダであった。オランダは右サイドからのCKをラファエル・ファンデルファートが蹴り、これをダーク・カイトが、ヘディングでゴールを決める。カイトにはマルーダがマークについていたが、競り合わずに易々と得点を与えてしまった。立ち上がりに攻撃の起点となったマルーダが守備で基本的なミスを犯し、フランスにとっては重い先制点となった。レイモン・ドメネク監督は20分過ぎには早くも攻撃陣の控え選手にウォーミングアップを命じる。ボール支配はオランダが上回り、フランスの選手のプレスに不十分な部分が見受けられる。フランスは前半にシドニー・ゴブーやアンリがシュートを放ったが、同点に追いつくことができないままに前半を終える。

■アンリのゴールもむなしく、大差で敗れる

 後半に入って、同点に追いつき、勝ち越したいフランスであるが、後半開始の段階では選手を交代させない。49分にはアンリの放ったシュートがペナルティエリア内でオランダの選手の手にあたり、PKをアピールしたが認められず、同点のチャンスを逃す。そして59分にはオランダに追加点を許してしまう。オランダは左サイドをアリエン・ロッペンがドリブルで突進し、センタリングする。ビリー・サニョルとリリアン・テュラムはルート・ファンニステルローイに釘付けとなり、ファーポストに控えていたロビン・ファンペルシがボレーで鮮やかな得点を決める。1点目が右サイドからの攻撃、そしてこの2点目は逆の左サイドからの攻撃が起点となっており、オランダ伝統のウイングからの攻撃に対してフランスが対応できていないところが露呈してしまった。
 2点を先行されたフランスであるが、この直後に前半半ばからウォーミングアップをしていたマルーダに代えてバフェタンビ・ゴミスを投入する。今大会に入って160分間無得点であるフランスもメンバー変更によってリズムを代えたいところである。そして71分、サニョルがグラウンダーでアンリにパスし、アンリがオランダの名手エドウィン・ファンデルサールの守るゴールを突き破るシュートを放つ。残り20分弱で1点差にフランスは詰め寄った。
 しかし1点差に詰め寄ったその直後の72分、今度は左サイドのウェスレイ・スナイデルが後半から出場したロッペンにパスをつなぎ、2点差となるゴールを決める。この失点も右サイドを守るサニョル、そして中央を守るテュラムのミスである。さすがにこのタイミングでの2点差は辛い。そして意気消沈したフランスにオランダは攻撃の手を緩めず、ロスタイムに入った93分にはファンペルシからのパスをスナイデルが決めて4-1と大差がつく。このまま試合終了となり、フランスは大敗を喫したのである。

■肝心なところで守備陣にミスが重なる

 振り返ってみれば、ボール支配率ではフランスはオランダに譲ったが、シュート数だけ見ればフランス25本(うち枠内7本)、オランダ16本(9本)と優勢であった。しかしながら、フランスは肝心なところでの守備陣のミスが続き、失点を重ねてしまった。例えば、右サイドのサニョルは相手に7本もセンタリングを上げられてしまっている。そして主将であり、守備の中心であるテュラムは一対一の競り合いで1度しか勝っておらず、失点の原因となっている。また、テュラムとセンターバックを務めるウィリアム・ギャラスは一対一の競り合いで勝ったのは半分以下であった。このように肝心なところで守備陣が破綻したのである。

■4失点は26年ぶり、本大会ではペレ以来の3点差負け

 フランスが4失点したのは1982年のポーランドとの親善試合以来26年ぶりのことである。またワールドカップや欧州選手権の本大会での3点差の敗戦は1958年以来のことである。ちなみにこの3点差の敗北は、スウェーデンでのワールドカップの準決勝で、ブラジルに敗れた試合であり、ペレはこの試合で一躍注目された。オランダ戦の大敗は50年前の神様ペレの出現と同じくらい大きな衝撃を与えたのである。(この項、終わり)

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