第1162回 ルーマニア、ルクセンブルクと連戦 (3) 序盤で白星を逃したルーマニア

■2010年ワールドカップ予選では5位に沈んだルーマニア

 23人のメンバーで戦うルーマニア、ルクセンブルクとの連戦、フランスにとってはホームゲームということもあり、連勝したいところである。ルクセンブルクは第6シードであり、侮ってはならないが勝利は確実、ルーマニアとの対戦がカギになる。
 さて、第2シードのルーマニアであるが、第1シードのフランス同様、今回の予選では調子が出ない。2008年欧州選手権では本大会で優勝経験のあるフランス、イタリア、オランダとともに同じグループCに入り、当初は3強1弱の1弱とみられていたが、初戦でフランスとスコアレスドロー、続くイタリア戦も1-1とドロー、2006年のワールドカップのファイナリストたちを予選落ちの瀬戸際まで追い詰める。結局第3戦のオランダ戦を0-2と落とし、最終的にはグループリーグ3位にとどまったが、その健闘ぶりは印象的であった。そして2010年ワールドカップ予選ではフランスと同じグループ7に入る。フランスの好敵手と目されたが、初戦をリトアニアとのホームゲームで0-3と落としてしまう。フランスとは2試合とも引き分けであり、フランスとは互角という印象が強いが、セルビアにはホーム、アウエーとも完敗しているほか、オーストリアにも敗れている。最終的な成績は3勝3分4敗というものであり、6チーム中5位に沈んでしまう。

■アルバニア、ベラルーシと引き分けてしまったルーマニア

 国際大会の戦績は思うほどではなく、第1回大会に参加したことのあるワールドカップは2002年の韓日大会以来3大会連続で本大会出場を逃している。また欧州選手権も2000年大会のベスト8が最高であり、2004年大会は予選で敗退している。
 フランスと近年の成績が互角に見えるルーマニアであるが、それ以外のところで取りこぼしが多いのがこの国が国際舞台で好成績を残すことができない理由であろう。
 今回の予選でもルーマニアは、フランスがホームでベラルーシに敗れた以上の取りこぼしをしている。まず9月3日の初戦で第5シードのアルバニアと1-1の引き分け、そして7日の第2戦ではアウエーでベラルーシと引き分けてしまい、2試合消化した時点で勝ち点はわずか2にとどまっている。初戦でベラルーシに敗れたフランスは第2戦でボスニア・ヘルツェゴビナに勝利しており、この時点で勝ち点3であり、ルーマニアよりも上の順位である。

■グループDの首位はアルバニア、2位はベラルーシ

 2試合消化した時点のグループDの順位は1位がアルバニア(勝ち点4、1勝1分、得失点差+1、得点2、失点1)、2位がベラルーシ(勝ち点4、1勝1分、得失点差+1、得点1、失点0)、3位がフランス(勝ち点3、1勝1敗、得失点差+1、得点2、失点1)、4位がボスニア・ヘルツェゴビナ(勝ち点3、1勝1敗、得失点差+1、得点3、失点2)となっており(順位決定は勝ち点の次に直接対決の結果が重視されるため、ボスニア・ヘルツェゴビナにアウエーで勝利しているフランスが上位となる)、2戦2分で勝ち点2のルーマニアは5位にとどまっている。また、ルクセンブルクはボスニア・ヘルツェゴビナ、アルバニア相手に連敗しているため、勝ち点0で最下位である。
 すなわち、フランスは10月の連戦は6チーム中5位と6位のチームと戦うことになるわけである。

■1990年代以降、タイトルマッチでの対戦の多い両国

 これまでのフランスとルーマニアの対戦は13回、直近の3試合は上記のとおり、欧州選手権本大会、ワールドカップ予選というタイトルマッチでの戦いであり、3試合連続の引き分けである。そしてその前の対戦は2002年2月のスタッド・ド・フランスでの親善試合であり、本連載第32回と第33回で紹介したとおり、フランスが勝利している。この連載の中でも紹介しているが、1990年代の両国の対戦は3回、1996年欧州選手権の予選と本大会であり、予選ではフランスが1勝1分、本大会でもフランスが勝利している。実はこれが両国にとって初めてのタイトルマッチでの対戦であり、それ以前は5回親善試合で戦っており、フランスの2勝3敗である。ルーマニアにとって最後のフランス戦勝利は1972年のことであり、ルーマニアは38年ぶりの勝利とタイトルマッチでの初勝利を狙っているのである。(続く)

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