第2032回 スイスとドロー、首位通過(2) スコアレスドローで首位を確定

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■国際大会のグループリーグ第3戦で白星から遠ざかっているフランス

 4-3-3システムに回帰し、首位突破を目指すフランス、対戦相手のスイスとは2年前のワールドカップ以来の対戦である。この時の模様は本連載第1717回から第1719回で紹介したとおりであるが、グループリーグの第1戦でフランスはホンジュラスに、スイスはエクアドルにそれぞれ勝利し、第2戦で対戦した。今回同様グループリーグの上位争いであり、フランスはオリビエ・ジルーのヘディングシュートで先制し、5-2と大勝している。
 このところの国際大会でフランスはグループリーグンの第3戦では思うような結果を残していない。2014年ワールドカップのエクアドル戦は最大のライバルであるスイスに勝利した後の対戦で0-0のスコアレスドローでもおつりが来たが、2012年の欧州選手権ではスウェーデンにまさかの0-2の敗戦、2010年ワールドカップはチームが空中分解状況にあったとはいえ、南アフリカに1-2と敗れている。2008年の欧州選手権もイタリアに0-2と敗れている。第3戦の勝利は2006年ワールドカップのトーゴ戦までさかのぼらなくてはならない。

■2年前のテニスのデビスカップ決勝でスイスに敗れたフランス

 会場となったリールのピエール・モーロワ競技場は本連載でもしばしば紹介しているが、2014年のテニスのデビスカップの決勝の舞台となった。その時に記録した27,432人の観客数はテニスの世界における最多観客数である。しかしながらフランスは決勝で敗れ、13年ぶりの世界チャンピオンには届かなかった。その時の決勝の相手がスイスであり、雪辱を果たしたいところである。

■故郷に錦を飾りたいヨアン・カバイエとアディル・ラミ

 フランス代表の選手のほとんどは国外のクラブに所属しているが、その多くはかつてはフランスのクラブに所属していたことがある。なかにはリールに所属していたことのある選手も少なくはない。この日の先発メンバーのヨアン・カバイエとアディル・ラミはリールの選手という感覚を持つフランスのファンは少なくないであろう。また本大会のラッキーボーイといえるディミトリ・パイエもリールに所属した経験があり、まだ本大会は出場経験のないルカ・ディーニュと合わせて4人がリールのOBである。この数字はパリサンジェルマン(現役のブレーズ・マツイディに加え、ディーニュ、クリストフ・ジャレ、キングスレー・コマン)の5人に次ぐ数字である。

■ショートパスを捨てたフランス、決め手を欠き、最後はスコアレスドロー

 試合開始前から心配されたのがピエール・モーロワ競技場の芝の状態である。屋根の存在もあり、芝が根付かない。今大会では5試合が予定されているが、フランス-スイス戦の前に2試合が行われており、ピッチのコンディションに悩まされている。
 このピッチコンディションを熟知しているのか、フランスはショートパスをつなぐのではなく、ドリブルやロングパスで試合を組み立てる。ロングパスが中心となるのでパスの成功率も低くなる。一方のスイスはボール支配率でもフランスを上回る。それでもフランスは11分にアンドレ・ピエール・ジニャックがポール・ポグバにパスをつなぎ、ポグバがシュートを放つが、バーに当たってゴールならず。さらにポグバは17分にもシュートがバーに嫌われる。前半はフランスは少ないチャンスをシュートまでつなげたが、両チームともゴールネットを揺るがすことはなく、ハーフタイムを迎える。ピッチも荒れていたが、特筆すべきはスイスのユニフォームが次々と破れるアクシデントもあり、盛り上がりに欠ける展開となった。
 両チームともこの状態から抜け出すために積極的に手を打つのではなく、選手交代も遅めのタイミングで行われた。終盤になると、引き分け以上で首位通過となるフランスのペースにスイスも付き合う形となり、結局0-0でタイムアップの笛が鳴り響いた。
 フランスは首位を確定、決勝トーナメント1回戦は6月25日にリヨンで迎えることになったのである。(続く)

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