第2385回 UEFAネーションズリーグが新設(5) ワールドカップとほぼ同じメンバーが先発

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■新シーズンになってから試合経験の少ない選手たち

 ロシアで行われたワールドカップで世界チャンピオンとなったフランス、史上最悪の成績に終わったドイツ、対照的な結果となった両国のワールドカップ後初めての試合はドイツのミュンヘン、で行われた。ワールドカップでの惨敗から立ち上がるドイツがライバルのフランスを迎えるとあって、チケットは前売りで完売した。
 前回の本連載ではドイツのメンバー、前々回の本連載ではフランスのメンバーを紹介したが、注目はフランスの先発メンバーである。ディディエ・デシャン監督はワールドカップのメンバーをほぼ機械的に選出(負傷したスティーブ・マンダンダのみ入れ替え)しているが、選手によっては新シーズンになってから試合にほとんど出ていないケースもある。例えば、コランタン・トリッソは所属するドイツのバイエルン・ミュンヘンではわずかに4分しか試合に出場していない。また国内組でもナビル・フェキルはリヨンで11分、ジブリル・シディベはモナコで13分しかフィールドに立っていない。このような選手をいきなり代表の公式戦で起用するのは難しいであろう。一方、本連載第2377回で紹介したようにエンゴロ・カンテやバンジャマン・マンディ、ウーゴ・ロリスなどはフル回転での活躍である。そしてデシャン監督はメンバーを発表した際に「ワールドカップ時とメンバーはほとんど同じであるが、目的は違う」と発言している通り、次の目標に向けて新メンバーもテストする必要もある。

■代表チームでも所属チームでも控えのGKアルフォンス・アレオラ

 このような中で注目を集めたのが第3GKのアルフォンス・アレオラである。代表チームではロリス、マンダンダに次ぐ存在であり、まだ代表の試合に出場したことはない。また所属クラブのパリサンジェルマンでも昨季まではケビン・トラップ、今季はジャンルイジ・ブッフォンの存在によって出場機会は限定されていた。しかし、今季から指揮を執るトマス・トゥヘル監督は第2GKとしてアレオラに経験を積ませるために、リーグ戦では第3節のアンジェ戦に起用し、移籍してきたブッフォンがチャンピオンズリーグに出場できないため、チャンピオンズリーグのグループリーグの前半戦はアレオラを出場させることを明言している。パリサンジェルマンのアジア太平洋地区担当のディレクターであるセバスチャン・バッゼルが訪日することからもわかるようにパリサンジェルマンはアジア戦略を強化しており、その一環としてフィリピン系のアレオラの起用であろう。

■アレオラ以外はワールドカップの固定メンバーが先発したフランス

 さて、67,785人の観衆の集まった満員のアリアンツ・アリーナ、フランスの先発メンバーはGKはアレオラ、DFは右からパバール、バラン、ウムティティ、エルナンデス、MFは守備的な位置に2人、右にカンテ、左にポグバ、攻撃的な位置に3人、右にキリアン・ムバッペ、左にブレーズ・マツイディ、中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、FWはオリビエ・ジルー、GKを除くとワールドカップで固定されていたメンバーであり、主将はバランが引き続き務める。

■ドイツも先発全員がワールドカップメンバー

 一方のドイツであるが、GKはマヌエル・ノイアー、DFは右からマティアス・ギンター、ジェローム・ボアテング、マッツ・フンメルス、アントニオ・ルディガー、MFは守備的な位置に2人、右にヨシュア・キミッヒ、左にトニ・クロース、攻撃的な位置に3人、右にトーマス・ミューラー、左にティモ・ベルナー、中央のトップ下にレオン・ゴレツカ、FWはマルコ・ロイスである。先発メンバー全員が今回のワールドカップに出場しており、悪夢の韓国戦に出場した選手は8人いる。メスト・エジルとサミ・ケディラが代表を離れたが、大きな世代交代を伴うものではない。逆に考えれば、ロシアでの惨敗はチームのマネジメント、コンディショニングの問題が大きく、全盛期を過ぎた選手の問題ではないととらえているのかもしれない。ワールドカップでは実現しなかったライバル同士の試合がキックオフされたのである。(続く)

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