第2848回 ブダペストでハンガリーとドロー(2) シュートの精度を欠き、決勝トーナメント進出を決定できず

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■グループリーグで最多の観衆となったハンガリー-フランス戦

 ハンガリーにとっては第1戦のポルトガル戦に続いてフランス戦もホームのブダペストでの試合となる。この試合にはポルトガル戦の55,662人を上回る55,998人の観衆が集まり、グループリーグ36試合の中では最多の観客の前で試合が行われた。また、午後3時のキックオフで気温も33度、熱いスタジアム、暑いピッチという環境の中でハンガリーのキックオフで試合が始まった。会場の1割のチケットはフランスに割り当てられ、5,700人のファンのボルテージはキックオフから最高潮である。フランス代表がこれだけ多くのフランス人の前で試合をするのも久しぶりである。

■負傷のルカ・エルナンデス以外はドイツ戦と同じ先発メンバーのフランス

 白いユニフォームとストッキング、紺のショーツといういでたちのフランス、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からバンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、プレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、MFは3人、中央の低い位置にエンゴロ・カンテ、右にはポール・ポグバ、左にはアドリアン・ラビオ、FWは中央にカリム・ベンゼマ、右アントワン・グリエズマン、左にキリアン・ムバッペというメンバーである。第1戦と入れ替わっているのは左のサイドDFのルカ・エルナンデスが負傷で外れ、ディーニュが加わった。
 一方のハンガリー、赤いシャツ、白いショーツ、緑のストッキングという国旗の色のユニフォーム、3バックでMF5人、2トップという布陣である。

■数少ないチャンスを活かしたハンガリーが前半アディショナルタイムに先制点

 勝利すれば決勝トーナメント進出の決定するフランスはフランスは序盤からボールを支配し、パスをつないで試合する。
 フランスは14分にはムバッペ、ベンゼマ、グリエズマンが立て続けにゴールを襲うが、ハンガリーのGKのペテル・グラーチの好守とオフサイドに阻まれ、先制のチャンスを逃す。劣勢のハンガリーにはアクシデントが起こる。主将を務めるアダム・シャライが負傷のため25分に試合続行が困難となり、キャプテンマークをGKのグラーチに託して、ピッチを離れる。代わって入ってきたネマニャ・ニコリッチは入ってきていきなりカウンターアタックからフランスゴールを襲う。カウンターアタックのリズムをつかんだハンガリーは、前半のアディショナルタイムにサイドDFのアッティラ・フィオラがワンツーパスをかわして、最後はグラウンダーでシュートを決める。フランスはまさかの失点を前半終了間際に許してしまった。フランスは決定機を次々とつかむものの、シュートの精度が悪く、ことごとく枠外に外してきた前半、ハンガリーはほぼ唯一のチャンスを得点に結びつけ、今大会初ゴールとなった。

■シュートを放つも精度を欠き、アントワン・グリエズマンの同点ゴールのみ

 後半に入り、追いついて、逆転したいフランスは、ディディエ・デシャン監督が先に交代カードを切ってきた。MFのラビオに代え、FWのウスマン・ダンベレを投入、そのダンベレはいきなりポスト直撃のシュートを放つ。66分にフランスはGKのロリスからフィードされたボールをムバッペがゴール前にクロス、これをハンガリーの守備陣を振り切ったグリエズマンが左足でシュートを決める。フランスにとっても今大会オウンゴール以外での初の得点となり、試合は残り25分、ようやく振出しに戻った。
 その後も試合は攻めるフランス、守るハンガリーという構図は変わらないが、フランスは勝ち越し点を奪うことができない。ベンゼマに代えてオリビエ・ジルー、ポグバに代えてコランタン・トリッソと大胆な選手交代を行うが、得点には結びつかない。
 後半のアディショナルタイムは5分与えられ、この間もフランスはハンガリーのゴール前でプレーする。95分には前線に上がっていたバランが好位置でヘディングシュート、この試合でフランスの16本目のシュートとなる。しかし、ボールは枠の外、フランスは16本のシュートのうち4本しか枠をとらえておらず、試合は1-1のまま終了する。勝ち点1しか獲得できなかったフランスは、決勝トーナメント進出をきめることができなかったのである。(この項、終わり)

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