第314回 欧州4強への道(1) 準々決勝直前に国内リーグで首位交代劇

■平日に行われる欧州カップ

 初めてフランス勢2チームが準々決勝に進出したチャンピオンズリーグ、リヨンはポルト(ポルトガル)と、モナコはレアル・マドリッド(スペイン)と対戦することになった。両チームともアウエーで第1戦、ホームで第2戦を戦うことになった。
 欧州三大カップは伝統的に水曜日に一斉開催されていた。水曜日は学校も半日のところが多く、平日でも比較的試合を開催しやすい。日本のプロサッカーも水曜日に試合が行われることが多いようだが、おそらく塾などの休みが多いのであろう。その後チャンピオンズカップをメインの水曜日に行い、その前後の火曜日と木曜日にカップウィナーズカップ、UEFAカップを行った時期もある。欧州三大カップがチャンピオンズリーグとUEFAカップに統合され、すっかり定着した今季はチャンピオンズリーグを火曜と水曜に分散開催し、UEFAカップは水曜あるいは木曜に開催しているものの、開催する週をチャンピオンズリーグとずらしている。準々決勝第1戦は3月最終週に行われるが、火曜日にはリヨン、水曜日にはモナコが登場し、木曜日には本連載第309回で紹介したUEFAカップ4回戦の第2戦が行われている。

■リーグで独走するモナコを追うリヨン

 平日に試合が行われているとはいえ、週末にはリーグ戦が行われている。欧州の舞台であるチャンピオンズリーグに臨むリヨンとモナコのリーグ戦での戦いぶりも紹介しなくてはならない。実はリヨンとモナコが準々決勝第1戦を直前に控えた3月20日のリーグ戦ではドラマが生まれたのである。
 今季のフランスリーグの状況について、本連載でもしばしばお伝えしてきたが、ディディエ・デシャン率いるモナコが絶好調で首位をキープし続けていた。そして前年度のリーグチャンピオンであるリヨンは開幕戦の敗戦など序盤は不振だったが、地力を見せて上位に進出、11月からは2位を堅持、首位モナコを追走している。フランスリーグの1位、2位チームが欧州最高峰のトーナメントで勝ち残っているというのは順当な結果であろう。

■直接対決後に形勢が一転したモナコとリヨン

 本連載第279回で紹介したように年が明けて最初のリーグ戦であった第20節で首位モナコと2位リヨンは直接対決した。モナコが3-0と大勝して、勝ち点の差が10となり、これでモナコの優勝は確実かと思われた。ところが、首位を快走してきたモナコをついにリヨンが捕まえた。モナコで負けた後、リヨンは7勝1分1敗(未消化分の第16節を含む)で3月20日のニース戦を迎える。一方のモナコは3月20日にソショーと対戦するが、リヨンを一蹴した後、3勝5分1敗となり、リヨンと勝ち点の差はわずか2となってしまった。

■今季初の首位に立ったリヨン、6か月ぶりに首位から陥落したモナコ

 3月20日にホームにナントを迎えたリヨンはテレビ中継の関係でモナコよりも一足先の17時15分にキックオフ。3月9日のレアル・ソシエダとの戦いで負傷し、戦列を離れていたGKのグレゴリー・クーペもこの日から復活する。2月15日のオセール戦以来4勝1分と波に乗るリヨンはエウベルのゴールでナントを1-0と下す。暫定ながら勝ち点でモナコを上回り、首位に躍り出て、モナコの結果を待つことになる。
 モナコは通常通り20時にキックオフ。ホームでの戦いで、ソショー相手に苦戦しながらも57分にはフェルナンド・モリエンテスのPKによって先制する。この1点を守りきればリヨンの首位も3時間の命となると思われたが、ロスタイムにドラマは起こる。ロスタイムに入って2分目にソショーが同点ゴールを決める。そしてソショーのジェレミー・マテューが同点ゴールを決めた2分後に試合終了、この段階でモナコは首位陥落、3連覇を目指すリヨンが首位の座を確保したのである。逆にモナコは昨年9月21日から守ってきた首位から陥落する。今シーズン初めて首位に立ったリヨン、そして約半年守ってきた首位の座を奪われたモナコ、明暗の分かれた両チームはリーグ戦の結果に一喜一憂する間もなく、イベリア半島への旅に出発するのである。(続く)

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