第372回 2004-05チャンピオンズリーグ開幕(3) フランス勢に試練のスタート

■4年ぶりに出場するリーグ戦不振のパリサンジェルマン

 9月14日にチャンピオンズリーグの本戦が開幕した。グループEからグループHの8試合は14日、グループAからグループDの8試合は15日に行われ、フランス勢の先陣としてグループグループHのパリサンジェルマンがチェルシーをホームに迎えた。4年ぶり出場で第3シードのパリサンジェルマンに対してチェルシーは第2シード。グループリーグで上位2チームまでに入らないと決勝トーナメントに進出できないため、ホームのパリサンジェルマンは確実に勝っておきたい相手である。パルク・デ・プランスにはほぼ満員の4万4000人の観衆がつめかける。要職にリチャード・ドイルを迎え、新任早々のドイルに足立新体制の日本遠征を命ずるなど、意欲的なパリ財界の熱気も伝わってくる。相手のチェルシーはロンドンのフレンチタウンといわれる地域である。ロンドンのフレンチタウンからパリに乗り込んだチェルシーは世界有数のリッチなクラブであり、新監督にポルトでUEFAカップとチャンピオンズリーグを制覇したポルトガル人のジョゼ・モウリーニョを招聘する。一方のパリサンジェルマンもジェローム・ロテンなどの新戦力を補強し、不振なリーグ戦で巻き返しを図る機会としたい。

■ディディエ・ドログバ、昨年の宿敵相手に2ゴール

 ところが、パリジャンはロンドンのフレンチタウンからやってきたイレブンに完全に翻弄されてしまう。序盤はチェルシー選手の負傷退場、ポルトガル代表のパウレタのシュートなど、パリサンジェルマンに有利な試合展開であったが、29分にチェルシーの主将ジョン・テリーのヘディングゴールで試合の流れは変わった。前半ロスタイムにはチェルシーに追加点を奪われた。追加点をあげたのはディディエ・ドログバ、昨年は宿敵マルセイユに所属していたコートジボワール代表選手である。昨年のリーグ戦では18得点をあげるなど、国内外の試合で大活躍をしてマルセイユの復活に大きく貢献したドログバであるが、パリサンジェルマンとカップ戦も含めて3回対戦したものの、ノーゴールに終わっている。結局、昨年はパリサンジェルマンが3連勝している。そのドログバは76分にもゴールを上げ、パルク・デ・プランスの観客は「Allez l'OM(がんばれ、マルセイユ)」と歌い出す始末。パリサンジェルマンはホームで0-3という大敗を喫してしまい日本遠征中のドイルに朗報を届けることができなかったのである。

■昨年準優勝のモナコはリバプールで完敗

 翌日はリバプールに昨年度準優勝のモナコが乗り込む。モナコの野望は前半22分に崩れる。モナコのゴールネットを揺らしたのはジブリル・シセ、前夜のドログバ同様、この夏までフランスリーグに所属していた選手がフランスのクラブ相手にゴールを決める。終了6分前にもチェコ代表のミラン・バロシュが追加点をあげて、モナコは0-2と前年度準優勝チームらしからぬ成績で初戦を落としたのである。

■2点のリードも守りきれなかったリヨン

 そして昨年のリーグチャンピオンのリヨンはホームにマンチェスター・ユナイテッドを迎える。リヨンはチャンピオンズリーグでイングランド勢と対戦するのは4年前のアーセナル戦以来である。この時はアウエーで敗れ、ホームで引き分けている。今回の相手のマンチェスター・ユナイテッドも強敵であるが、ホームで勝ち点3が欲しいところである。4年前にアーセナルの一員としてリヨンを苦しめたフランス代表シルバン・ビルトールが今季からリヨンに移籍し、イングランドのクラブ相手に活躍する。前半35分には新戦力のピエール・アラン・フローが先制点、そして前半終了間際にクリスが追加点。2-0とリードしてハーフタイムを迎える。
 しかし、このジェルランは様々なドラマが起こる。後半に入り、マンチェスター・ユナイテッドのルート・ファン・ニステルローイが56分、61分と立て続けにゴール。満員のジェルランを沈黙させてしまう。試合のスコアはこのまま動かず、リヨンは大魚を逃し、勝ち点を1しか獲得できなかった。このようにフランス勢には試練のスタートとなったのである。(この項、終わり)

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