第651回 UEFAカップ決勝トーナメントへの道(1) 5チーム中4チームが1回戦突破

■フランス勢が2勝2分1敗と好発進した1回戦の第1戦

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグのグループリーグ最終節を紹介したが、もう1つの欧州での戦いであるUEFAカップのグループリーグ最終節が年内に行われる最後の国際試合であり、12月12日に行われた。UEFAカップはチャンピオンズリーグよりも下位に位置する大会であるが、フランス勢がグループリーグを戦った段階である意味ではチャンピオンズリーグよりも注目を集めることとなった。
 フランスからは昨季のリーグ4位のランス、フランスカップ勝者のパリサンジェルマン、リーグカップ勝者のナンシーの3チームは本戦から出場する。さらにインタートトカップを勝ち抜いたリーグ5位のマルセイユと6位のオセールの2チームは予備戦から出場して勝ち抜き、合計5チームが本戦に出場している。
 本戦はまずホームアンドアウエーの1回戦が9月に行われ、9月14日に行われた第1戦の模様は本連載第617回で紹介したとおりであるが、5試合中アウエーが4試合と言う条件の中でフランス勢は2勝2分1敗と言うまずまずの成績で発進している。

■強敵シャルケ04に見事に勝った初出場のナンシー

 このフランス勢の中で最も苦戦を予想されたのが第1戦で唯一敗戦を喫したナンシーである。相手はドイツのシャルケ04、大会前のランキングでは最上位にあり、優勝候補である。ゲルゼンキルヘンのアウエーの試合では守勢一方となり、スコアレスドローでしのぐかに思われたが終了4分前に失点し、0-1と最小失点での敗戦となる。
 しかし、9月28日のホームでの戦いで奇跡は起きた。初めてのUEFAカップ参戦となるナンシーを応援しようとナンシーのホーム、マルセル・ピコは満員になり、スタジアムの雰囲気は2週間前のゲルゼンキルヘンのアウフシャルケ競技場に勝るとも劣らない。試合はナンシーが10分に先制、その後も得点を重ね、18分、70分に追加点を上げリードを広げる。これに対してシャルケ04は78分に1点を返す。シャルケがもう1点あげればアウエーゴール2倍ルールにより、ナンシーは敗退してしまうところであった。ナンシーは終盤は時間稼ぎをして退場処分を受ける選手も出しながら、この2点差を守りきり、強敵を下してグループリーグへと駒を進めた。

■ランス、パリサンジェルマン、オセールもホームで勝利

 第1戦をアウエーでスコアレスドローで終えたランスとパリサンジェルマンはいずれもホームで第2戦を迎えた。まず、夕方の18時にランスがフェリックス・ボラール競技場にキプロスのアクナスを迎える。昨年もこのフェリックス・ボラールで欧州カップが行われているが、それは本拠地が改修中で利用できないリールがチャンピオンズリーグに出場したためであり、チャンピオンズリーグの規定により大規模な競技場で試合をしなくてはならず、フランス北東部の他の競技場ということでこのフェリックス・ボラール競技場でリールが試合を行っている。今年は本来の主のランスが登場、地元ファンがこの日を待っていた。その赤と黄色のファンの期待に応えて、ランスはアクナスを圧倒する。11分にセンタリングからダンダン・アルーナが先制点をあげ、後半にはイッサム・ジェマ、ダニエル・クーザンがゴールネットを揺らし、アクナスの反撃を1点に抑えて、ランスは1回戦を突破する。
 ランスの勝利の歓声が止んだ頃、パリサンジェルマンがアイルランドのデリーシティと対戦する。パルク・デ・プランスには約2万5000人の観衆が集まったがそのうち7000人はアイルランドからのサポーターである。敵の大声援に負けず、パリサンジェルマンは開始早々にエドゥアール・シセが先制点、前半終了間際にもパウレタが追加点、後半は両チーム無得点でパリサンジェルマンが2-0の勝利、グループリーグ進出を決めたのである。
 第1戦をアウエーで勝利したオセールはディナモ・ザグレブ(クロアチア)をホームに迎え、3-1と危なげなく連勝する。

■ロスタイムに決勝点を奪われたマルセイユ

 唯一フランス勢で不覚を取ったのがアウエーで戦ったマルセイユである。ホームの第1戦でムラダー・ボレスラフ(チェコ)に対し1-0と勝利し、このアウエーの第2戦でも14分にトワフィル・マルーダのゴールで先制する。34分に追いつかれるが、後半に入ってタヤ・タイオのゴールで56分に再びリードする。62分、82分と連続してゴールを決められ逆転を喫す。しかし、アウエーゴール2倍ルールで勝ち抜きを手中にしていたかに見えたが、ロスタイムに痛恨の失点、2-4で敗れてしまい、得失点差でグループリーグ進出を逃してしまい、フランス勢5チームの中で唯一1回戦で姿を消したのである。(続く)

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