第691回 チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦(4) リヨン、ホームで敗戦、姿を消す

■ライバル・サンテエチエンヌに快勝して迎える第2戦

 2月21日にローマでの第1戦をスコアレスドローで乗り切ったリヨンであるが、第2戦との間に国内のリーグ戦が待ち受けている。ローマでの戦いの3日後の24日にはホームのソショーを迎え、終了5分前まで1-3とリードを許しながらロスタイムに2点をあげて3-3のドローに追いついている。そしてその翌週の3月3日にはアウエーでサンテエチエンヌとの対戦である。サンテエチエンヌとリヨンの戦いはサッカーが盛んなローヌアルプ地方の両雄の戦いであり、まさにフランスを代表するダービーマッチである。リーグ戦で独走し、その直後にチャンピオンズリーグの試合が控えていると言っても負けられない一戦である。この試合、リヨンは立て続けに3点を奪い、サンテエチエンヌの反撃を1点に抑え、3-1というスコアで完勝している。
 このようにリーグ戦は一時期の低迷を脱したかのような戦いを続け、3月3日にホームのジェルラン競技場にASローマを迎えることになったのである。チャンピオンズリーグでこれまでベスト8が最高というリヨンであるが、ホームゲームでは強く、過去4年間負けたことがない。また、アウエーの第1戦をスコアレスドローでしのいだチームはこれまでの統計では7割がた勝ち抜いている。過去の数字で有利な条件になるリヨンは勝てばベスト8というこの試合、サンテエチエンヌ戦では温存したジュニーニョも復帰させ、万全の体制で向かう。

■ASローマが試合を支配、前半に2ゴール

 ローマでの試合はリヨンが押し気味であったが、リヨンの試合では逆にASローマが試合の主導権を握る。6分、ASローマの選手のヘディングシュートがゴールネットを揺らすが、フランチェスコ・トッティにプッシングの反則があったと言うことでノーゴール、しかしASローマの攻勢は変わらなかった。22分には左サイドからのクロスを自らの反則で先制点を逃すことになったトッティが主将の意地を見せて今度はヘディングで決める。ASローマに先制点が生まれた。この瞬間、リヨンは残りの時間で少なくとも2点が必要となった。ところがリヨンはジュニーニョのFKも得点にはならず、逆にASローマの逆襲を前半終了直前に浴びる。44分にマンシーニがドリブルでレベイエールを抜き去り、そのままドリブルで持ち込んでシュート、決定的な2点目をあげてハーフタイムを迎える。

■チャンピオンズリーグのホームゲームで5年ぶりの敗戦

 無得点で前半を終えたリヨンは残り45分で3点が必要となったが、フランス代表でASローマのフィリップ・メクセスを中心とするASローマの守備は安定しており、シュートしてもGKのドニに阻まれて、無得点のまま90分を終える。0-2とまさかの敗戦を喫したリヨンにとって、チャンピオンズリーグのホームゲームの敗戦は2002年10月のアヤックス(オランダ)戦以来のことである。
 この結果、リヨンは3年連続で戦ってきた準々決勝にも進出できず、不本意な結果で今年も欧州の舞台から去ったのである。そして本連載第688回と第689回で紹介しているとおり、リールも敗れ、フランス勢は今年もチャンピオンズリーグで優勝することができなかった。
 フランス勢はこれまで3年連続して準々決勝に進出してきたが、今季は4年ぶりにベスト8に残ることができなかったのである。

■次々と準々決勝で姿を消した国内リーグ首位のチーム

 ベスト8はASローマ、ACミラン(以上イタリア)、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、リバプール(以上イングランド)、バレンシア(スペイン)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、PSVアイントホーヘン(オランダ)となった。準々決勝ではリヨン以外にスコットランドのセルティック・グラスゴー、イタリアのインテルミラノなどのリーグ首位チームが不覚を取っている。結局ベスト8に残ったチームのうち、リーグ戦で首位をキープしているのはマンチェスター・ユナイテッドとPSVアイントホーヘンだけであり、この段階に来ると国内リーグとの両立が難しいことを物語っている。そして欧州の5大リーグの中でフランスリーグだけがベスト8にチームを送り込むことができなかったのである。(この項、終わり)

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