第793回 リヨンはチャンピオンズリーグ、マルセイユはUEFAカップへ

■大混戦となったグループA

 前回は終盤を迎えたUEFAカップのグループリーグの模様を紹介したが、チャンピオンズリーグはそれよりも1週間前に最終節を迎える。フランスから出場しているリヨンとマルセイユはいずれも最終節で決勝トーナメント進出をかけて戦うことになった。
 第789回で紹介したとおり、マルセイユの所属するグループAは全チームに決勝トーナメント進出の可能性があるという大混戦となった。最終節はポルト(ポルトガル)-ベシクタシュ(トルコ)戦とマルセイユ-リバプール(イングランド)戦が12月11日に行われた。最終節を迎える段階で首位はポルトで勝ち点8、2位がマルセイユで勝ち点7、3位が同勝ち点のリバプール、4位のベシクタシュは勝ち点7である。

■勝利すればチャンピオンズリーグの決勝トーナメントへ

 マルセイユとリバプールは勝ち点で並んでいるが、大会規定により勝ち点で並んだ場合の順位は直接対決の結果によって決まるため、マルセイユが上位である。
 さて、サスペンスとなった決勝トーナメント進出の行方であるが、基本的にはいたって明白で、最終節で勝ったチームはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントへのチケットをつかみ、負けたチームはチケットを得ることができない。また、ポルトは引き分けても決勝トーナメント進出、ベシクタシュは引き分ければ敗退である。また、マルセイユが勝利し、ポルトが引き分け以下の場合はマルセイユがグループを首位で通過し、決勝トーナメントで有利な立場で臨むことができる。
 マルセイユとリバプールが引き分けた場合は少々複雑である。引き分けの場合は両チームとも勝ち点が8となる。もし、もう一方の試合でポルトが勝利すれば、マルセイユとリバプールの間で2位争いとなり、直接対決の成績でマルセイユが2位に滑り込む。ポルトとベシクタシュが引き分けると、ポルトが勝ち点を9に伸ばしで首位、マルセイユとリバプールが勝ち点8で続くが、直接対決の結果でマルセイユにチケットが与えられる。最も混戦となるのがベシクタシュが勝利した場合である。ベシクタシュは勝ち点9で首位になり、残り3チームが勝ち点8で並ぶ、この3チームの直接対決の結果となると、3チームとも1勝2分1敗で並び、3チーム間の得失点差の勝負となり、ポルト戦で大勝しているリバプールが2位となる。

■ファンの期待に応えられず、大敗を喫したマルセイユ

 混戦となったが、地元で試合を行うマルセイユは、自分たちの試合に専念すればよい。ベロドローム競技場には5万7000人のファンが集まった。イングランド勢との対決となったが、マルセイユのファンならずともフランスのスポーツファンであるならば忘れられないのが、10月のラグビーのワールドカップである。ウェールズのカーディフのニュージーランド戦で勝利したフランスはイングランドに準決勝で敗れてしまう。スタッド・ド・フランスでの敗戦をこのリバプール戦勝利で帳消しにしたいところであり、ファンの期待は高まる。
 しかしながら、そのファンの期待はものの見事に裏切られてしまう。開始わずか4分でリバプールのスティーブン・ジェラードに先制点を許し、その後は守備陣が壊滅して立て続けに失点、結局0-4と大敗してしまう。連勝スタートのマルセイユは後半は3連敗と沈み込む。唯一の救いは、もう1つの試合でベシクタシュが敗れたため、最下位を免れ、UEFAカップの決勝トーナメントへの切符をつかんだことである。

■直接対決を制したリヨン

 この悲劇的な大敗の翌日にグループEのリヨンが登場した。勝ち点7同士のリヨンとグラスゴーレンジャース(スコットランド)の最終節での直接対決はリシャール・ペランやエロイック・ペラーシュも注目する一戦となった。リヨンは、勝てばチャンピオンズリーグ、引き分けか負けならば、UEFAカップの決勝トーナメントが待っている。リヨンでの試合はアウエーのグラスゴーレンジャースが3-0と大勝したが、この日はそのお返しをリヨンがした形となり、グラスゴーレンジャースを一蹴した。16分にシドニー・ゴブーが先制点をあげ、終盤にカリム・ベンゼマが2得点をあげる。リヨンはバルセロナ(スペイン)に次いで2位になり、5年連続でチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに駒を進めたのである。(この項、終わり)

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