第892回 2008-09 欧州カップ本戦開幕(3) ボルドーもマルセイユもイングランド勢相手に黒星スタート

■プレミアリーグ首位のチェルシーに挑むリーグ10位のボルドー

 7チームが欧州カップの本戦に進出したフランス勢であるが、その先陣を切って戦うのはチャンピオンズリーグへ出場するボルドーとマルセイユであり、イングランド勢が初戦の相手である。9月16日、ゴールデンタイムである20時45分にボルドーはチェルシーとのアウエーゲーム、マルセイユはリバプールとのホームゲームが同時にキックオフされた。
 欧州を代表するビッグクラブであるチェルシーは第1シード、今シーズンのプレミアリーグでの成績は3勝1分でリバプールと並んで首位を走っている。また本拠地スタンフォードブリッジでは滅法強く、現在まで71戦連続負けなし(そのうち51試合は勝利)という記録を継続中である。2006年2月のチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦でのバルセロナ(スペイン)を最後に、このスタンフォードブリッジでチェルシーを破ったチームは存在しない。
 一方のボルドーであるがリーグ開幕戦はホームでカーンに勝利したが、第2節のパリサンジェルマンとのアウエーの試合では敗れており、5節まで終わったところでホームで2勝1分、アウエーでは2敗であり、リーグ順位は10位である。リーグ戦の順位だけではなく、アウエー戦で連敗しているのが気にかかる。

■前後半とも2点を奪われ、ボルドー大敗

 4万人の満員の観衆の前で、チェルシーが優位に試合を進める。14分には今季ポルトから移籍してきたポルトガル代表ホセ・ボジングワが右からクロスを上げる。このクロスをフランク・ランパードがヘッドで合わせてチェルシーが先制点をあげる。チェルシーは今季からポルトガル代表を務めていたルイス・フェリペ・スコラーリ監督を迎え、ポルトガル代表のボジングワやデコを獲得しており、ポルトガルカラーのチーム作りが功を奏している。チェルシーはこの後も30分にCKからジョン・コールが追加点をあげる。ボルドーも代表チームで売り出し中のヨアン・グルクフなどが反撃を試みるが、前半は無得点で、2点のリードを許して折り返す。
 後半に入ってからもボルドーは何とか得点を奪おうとするが、かつてレンヌに所属していたチェコ代表のペトル・チェフの壁を破ることができない。逆に、余裕のチェルシーは、デコに代えてミハエル・バラックを投入し、実戦に復帰させる。そして82分にはフローラン・マルーダ、ロスタイムの92分にはニコラ・アネルカとこの日試合に出場していた2人のフランス人選手が1点ずつゴールを決めて、4-0とチェルシーが大勝したのである。

■昨季も同じグループリーグで戦ったマルセイユとリバプール

 マルセイユの相手のリバプールも第1シードである。マルセイユはリーグ開幕戦でレンヌと4-4という大味な試合をしたが、その後、守備陣は立ち直り、第2節のオセール戦、第3節のルアーブル戦と連続して完封勝ちを収め、第4節も勝利し3連勝で首位に立つ。リバプール戦直前の第5節ではボルドーと対戦し引き分けるが、上々のコンディションでリバプール戦に臨む。本連載第793回で紹介しているとおり、昨年のチャンピオンズリーグでも両チームは同じグループAとなり、同勝ち点で最終節を迎え、直接対決となった。ベロドロームにリバプールを迎えたマルセイユであったが、0-4と大敗し、マルセイユの欧州カップでのホーム最多得点差負けという不名誉な記録とともにマルセイユはチャンピオンズリーグから姿を消した。

■主将スティーブン・ジェラード、逆転の2ゴール

 試合はリバプール優勢で始まったが、因縁の相手に対し、燃えるマルセイユは24分に主将のロリック・カナが先制ゴールをあげ、今季負け知らずのベロドロームのボルテージは上がる。しかし、その熱狂はわずか3分で収まってしまった。リバプールの主将のスティーブン・ジェラードが遠い位置からシュートを放ち、これまで数々のスーパーセーブを見せてきたスティーブ・マンダンダも見送るしかなく、主将の一撃でリバプールは同点に追いつく。さらに32分、ライアン・バベルに対するロナルド・ズバルのファウルでリバプールにPKが与えられる。このPKは1回はやり直しになったがジェラードが決め手リバプールが勝ち越す。
 逆転されたマルセイユは前半から選手交代に踏み切り、昨季アウエーのアンフィールドで殊勲の決勝点を挙げたマチュー・バルブエナを投入し、果敢に攻めるが、リバプールとの力の差は明白であり、同点に追いつくことができず、初戦を落としてしまったのである。(続く)

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