第946回 チャンピオンズリーグ、フランス勢の低迷(1) 10年連続出場のリヨン

■3年連続して16強にとどまっているリヨン

 前回と前々回の本連載ではチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦でリヨンがバルセロナ(スペイン)に1分1敗、2試合通算で3-6と大敗したことを紹介した。相手が欧州を代表する強豪チームであるバルセロナということで敗戦やむなし、という考え方もあるであろう。しかし、国内で7連覇を達成し、無敵と言われるリヨンが、欧州の舞台では3年連続でベスト16にとどまっていることは重い事実である。
 リヨンのチャンピオンズリーグにおける戦績を振り返ってみよう。リヨンはリーグチャンピオンとして7年連続して出場しているが、その前の3年はリーグ上位チームとしてチャンピオンズリーグに出場しており、今年が10年目であった。

■リーグ上位の資格で出場した最初の3年間

 リヨンがチャンピオンズリーグに初登場したのは1999-2000シーズンのことである。1998-99シーズンのフランスリーグでボルドー、マルセイユに次ぐ3位に入ったリヨンは、チャンピオンズリーグの予備戦に出場する。予備戦の3回戦から参加したリヨンはマリボ(スロベニア)に勝てば本戦に出場することができたが、ホーム、アウエーとも連敗し、UEFAカップに転戦する。
 そしてこのシーズンもリーグ成績はモナコ、パリサンジェルマンに次ぐ3位となり、2000-01シーズンも予備戦3回戦からの参戦となる。この時はスロバキアのインテル・ブラスチラバと対戦し、ホーム、アウエーとも勝利して本戦に出場、グループリーグに進出する。この当時はグループリーグには1次リーグと2次リーグがあり、1次リーグは勝ち抜いたものの、2次リーグは3位にとどまり、上位2チームに入ることができず、実質的に欧州のベスト16どまりだったことになる。
 リーグ戦の順位が2年連続して3位だったリヨンは2000-01シーズンにはクラブ史上最高の成績となる2位になる。したがって、2001-02シーズンは本戦からの出場となる。ところがリヨンは1次リーグで3勝3敗で3位にとどまり、前年以下の成績となり、欧州32強にとどまってしまう。

■フランス勢の中で最高の成績を残した2000-01シーズン

 しかし、この年はリヨンのリーグ7連覇の最初の年になった。それまでの3年間はフランスからは2番手あるいは3番手として出場しており、チャンピオンズリーグの成績をフランスから出場した他のチームと比較してみよう。
 3番手として登場した初年度はボルドー、マルセイユの後塵を拝した。同じく3番手として出場した2年目はリーグチャンピオンとして出場しながら1次リーグで敗退したモナコを上回り、2次リーグで敗退という点では前年度リーグ2位のパリサンジェルマンと同レベルであるが、2次リーグで最下位になったパリサンジェルマンをかわしてフランス勢で最高の成績を残した。3年目はリーグチャンピオンとして出場したナントが2次リーグ進出、前年度2位リヨンと3位のリールはともに1次リーグ敗退であった。リーグチャンピオン以外の立場として出場した最初の3年間はフランス勢の中でもっとも良い成績を期待するのはリヨンのファンだけであっただろう。

■リーグチャンピオンとして出場した1年目は不本意な成績

 しかし、リーグチャンピオンとして出場するとなると、リヨンのファンからだけではなく、フランス国内全体から期待される。しかもリヨンのリーグ初優勝はランスとの最終節直接対決にまでもつれ込んでおり、リーグチャンピオンにふさわしい実力を見せるためにもランスやオセールよりも良い成績を残したいところである。ところが、1次グループでは前半戦で2勝1敗と勝ち越しながら、後半戦は2分1敗と勝ち星を上げることができず、グループ3位にとどまり、敗退している。国内のライバルであるランス、オセールも1次リーグで3位となる。この当時は、1次リーグ3位のチームはUEFAカップの3回戦(ベスト16決定戦)に転戦することになる。リーグチャンピオンとして出場するリヨンは、ランス、オセールよりもUEFAカップで良い成績を残したいところであった。しかし、リヨンはトルコのデニスリスポールに1分1敗で敗れてしまう。前年度のリーグ戦で僅差の差でリヨンに敗れたランスもこの大会で優勝することになるポルト(ポルトガル)に敗れる。ところがフランス勢で3番手として出場したオセールはスペインのベティスを下し、ベスト8決定戦に進出し、フランス勢の中で最高の成績を収めたのである。
 初めてリーグチャンピオンとして出場したリヨンはフランス全体の期待に応えることができず、不本意な結果となったのである。(続く)

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