第1848回 フランス勢、準々決勝で沈む (5) モナコ、スコアレスドローで敗退

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■ホームの第2戦に希望を託すモナコ

 チャンピオンズリーグ準々決勝第2戦は4月21日と22日に行われたが、21日にパリサンジェルマンがバルセロナ(スペイン)に敗れ、フランス勢の希望はモナコだけとなった。また、同日に行われたもう1試合の準々決勝は、ポルト(ポルトガル)とのアウエーでの第1戦を1-3と落としたバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)が、ホームで6-1と大逆転勝利、準決勝に進んでいる。
 モナコもバイエルン・ミュンヘン同様アウエーの第1戦を落としてのホームでの第2戦となる。バイエルンの第1戦1-3というスコアに比べれば、モナコの第1戦0-1というスコアでの第2戦は希望が持てる。

■堅守を誇る両チーム

 第1845回の本連載で紹介した通り、モナコもユベントスも堅守を誇る。両チームのGKは準々決勝に残った8チームのGKの中でセーブ数の上位を占め、モナコのダニエル・スバシッチは28本、ユベントスのジャンルイジ・ブッフォンは24本セーブしている。したがって、派手な点の取り合いは想定できない。ロースコアでの勝負になるであろう。モナコが1-0で90分を終え、延長戦の30分で両チームにゴールが生まれなければ、PK戦が待っている。モナコはPK戦も想定し、PK戦の練習に時間を割き、4月22日にキックオフを迎えた。

■期待のかかるモナコ、雰囲気最高のスタンド

 モナコの布陣であるが、第1戦を負傷のため欠場したジェレミー・トゥーラランが復帰し、キャプテンマークを腕に巻く。そしてトゥーラランと守備的MFとしてコンビを組むジョフレイ・コンドグビアは出場が危ぶまれたが、先発メンバ0に名を連ねる。
 フランス勢として2009-10シーズンのリヨン以来5年ぶり、モナコ自身としては準優勝した2003-04シーズン以来のベスト4進出となる。モナコはこのところ人気が高まってきたとはいえ、スタジアムが満員になることはそう多くはない。しかし、この日は満員になっただけではなく、スタジアムの雰囲気も最高であり、ほぼ90年のクラブの歴史の中でも屈指のボルテージの高い中での試合となった。さらに、スタンドには現代表監督であるディディエ・デシャン、かつて在籍したダビッド・トレゼゲ、ユーリ・ジョルカエフ、ルドビック・ジュリー、現在ベルギー代表監督を務めるマルク・ビルモッツというモナコの誇るレジェンドが顔を並べる。そしてこの日は負傷のため無念の欠場となったユベントスのフランス代表選手ポール・ポグバもスタンドからの観戦である。
 さらに、モナコは多くの高額所得者が住むことで知られており、テニス選手のノバク・ジョコビッチ、トマシュ・ベルディハも熱心に観戦する。

■第1戦に次ぎ、シュート数で上回るがノーゴールのモナコ

 モナコはグレース・ケリーがデザインした赤と白のユニフォーム、ユベントスはモナコがトリノでの試合に着用していたのと同じ青のユニフォームである。
 何としても得点の欲しいモナコは1トップにアントニー・マルティアルを起用、19歳という若さであるが、17歳でプロにデビューし、同じく19歳の時に大活躍したティエリー・アンリの再来と言われている。
 試合は大観衆の声援を受けたモナコがボールの支配率でユベントスを圧倒する。堅守というチームカラーのモナコが55%を超えるボール支配率を記録するのは今季のチャンピオンズリーグで初めてのことである。そして次から次へと積極的にシュートを放つが、得点に至らず前半を終える。ハーフタイムには主将のトゥーラランに代えてディミトリ・ベルバトフを投入し、攻勢を強める。しかし、モナコの放った12本のシュートのうち、枠に飛んだのはわずか1本であった。一方のユベントスもシュート数はわずかに4本、そのうち枠に飛んだには1本だけであり、試合はスコアレスドローに終わる。
 モナコもパリサンジェルマンに次いで準々決勝敗退、フランスはこれで5年連続でベスト4にチームを送ることができなかった。もっとも、今年を含めて5年間のベスト4に進出したチームは、スペイン10回、ドイツ6回、イングランド3回、イタリア1回であり、この準々決勝の壁を破ることがフランスサッカー界の課題であろう。(この項、終わり)

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