第1892回 国内よりも先に始まった欧州の戦い(2) フランス勢、3チームそろってプレーオフへ

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマンのフランスカップ優勝で予備戦への道が開けたボルドー

 前回の本連載では7月29日に行われたチャンピオンズリーグの予備戦でモナコがスイスのヤングボーイズにアウエーで3-1と勝利したことを紹介したが、その翌々日の30日、ヨーロッパリーグの予備戦にフランスの2チームが出場した。ヨーロッパリーグに関してはフランスからは3つの椅子(本戦1、予備戦2)が準備されている。フランスカップ優勝チームには本戦出場の権利があったが、パリサンジェルマンがフランスカップとフランスリーグを獲得したため、リーグ4位のマルセイユが本戦出場権を獲得した。また予備戦に関してはリーグ5位のサンテチエンヌと6位のボルドーが出場する。フランスカップ決勝でオセールがパリサンジェルマンに勝利していれば、オセールが本戦出場、予備戦にマルセイユとサンテチエンヌが出場することになっていたわけであり、マルセイユとボルドーのファンはライバルのパリサンジェルマンのタイトル獲得に感謝しなくてはならない。
 サンテチエンヌとボルドーは予備戦3回戦からの登場、予備戦3回戦とその次のプレーオフを勝ち抜けば本戦に出場できる。プレーオフは予備戦3回戦を勝ち抜いた29チームに加え、チャンピオンズリーグの予備戦3回戦で敗れた15チームが21の本戦出場の椅子をかけて争う。

■サンテチエンヌ、ボルドーとも第1戦で勝利

 サンテチエンヌはルーマニアのトゥルグ・ムレシュと対戦する。トゥルグ・ムレシュは昨季ルーマニアリーグ2位、第1戦はアウエーゲームである。サンテチエンヌは前半21分にイスマエル・ディオマンデが先制点、後半も終盤の75分と83分にロマン・アムーマが得点をあげ、3-0と快勝した。
 さて、フランス勢の中でフランス国内で初めて試合を行うのがボルドーである。ボルドーはキプロスのAEKラルナカを新競技場に迎える。来年の欧州選手権に向けて新設された新競技場は5月に完成、こけら落しの試合は昨季のリーグ最終戦のモンペリエ戦、そして9月にはセルビア代表を迎えてフランス代表が試合を行う。すなわちこのAEKラルナカ戦が初めての国際試合となる。新スタジアム効果もあり、ヨーロッパリーグの予備戦としては異例の3万人以上の観衆が集まった。前半は無得点であったが、後半に入り、3万観衆の期待に応える。アンドレ・ポコ、シェイク・ディアバテ、ニコラ・モーリス・ベライと立て続けにゴールをあげて3-0とボルドーが勝利、この勝利は今季フランス国内で初めての勝利となったのである。
 このようにチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの予備戦に出場したフランス勢3チームはシーズン前のコンディション作りの難しい中で第1戦は差をつけて勝利することができた。

■ホームの第2戦でゴールラッシュを見せたモナコ

 フランス勢はそろって予備戦3回戦を勝ち抜いた。最初にプレーオフへのチケットをつかんだのはモナコ、8月4日の第2戦ではルイ二世競技場でヤングボーイズ相手にゴールラッシュを見せる。54分にイバン・カバレイロが口火を切ると、64分にはレイバン・クルザワ、70分にはアントニー・マルシャル、77分位は新加入のステファン・エル・シャーラウィがゴールを重ね、4-0と大勝する。

■荒れた試合を制したボルドー、ホームで肝を冷やしたサンテチエンヌ

 そして8月6日にはヨーロッパリーグの予備戦3回戦の第2戦が行われた。ボルドーはイエローカード6枚、レッドカード1枚を受けるという荒れた試合ではあったが、29分にキエース・テランのあげたゴールを守って1-0で勝利する。
 ジェフロワ・ギシャール競技場にトゥルグ・ムレシュを迎えたサンテチエンヌは肝を冷やす展開となった。第1戦でアウエーで3-0と完勝したが、ホームの第2戦では前半に先制点を許し、62分に追加点を奪われる。残り30分弱であと1点奪われると振出しに戻る。今季最初の観戦となった2万8000人の緑のファンは真っ青になったが、彼らを安堵させたのは71分、トゥルグ・ムレシュの選手のオウンゴール。結局1-2で敗れたサンテチエンヌであるが2戦合計のスコアで4-2と上回り、プレーオフに進出したのである。(この項、終わり)

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