第2176回 リヨンも準決勝敗退(2) 守備の乱れで、大差で第1戦を落としたリヨン

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスを代表する育成機関を持つリヨン

 準々決勝を劇的な展開で勝利してきたリヨンとオランダのアヤックス・アムステルダム、両チームの共通点はもう1つある。それは育成機関が充実していることである。
 リヨンはサッカーが盛んな地域であることに加え、大都市圏であることから多くの若いタレントが集まってくる。また、若手の育成は先行投資であるが、その投資が確実に回収できるわけではない。したがってビッグクラブは育成機関を充実させることができるが、ビッグネームの獲得に資金を使い切ってしまうクラブも多い。そういう中でリヨンはジャン・ミッシェル・オラス会長が育成に力を入れることを明言し、この育成機関から生まれてきたのがマキシム・ゴナロン、ナビル・フェキル、コランタン・トリッソ、アントニー・ロペス、ムクタル・ディアカビ、というこの日の先発メンバーである。控えに回ったアレクサンドル・ラカゼット、ジョルダン・フェリ、ラシッド・ゲゼルもユース育ちである。そしてリヨンの育成機関を巣立って国内外のチームで活躍している選手も多く、その数40人である。

■欧州を代表する育成機関を有するアヤックス・アムステルダム

 そしてリヨンを上回る育成機関を有しているのがアヤックス・アムステルダムである。ヨハン・クライフ以来多くの選手を育ててきたオランダの名門、前回紹介した通りチャンピオンズリーグの決勝トーナメントからは長らくご無沙汰しているが、国内リーグでは常に優勝争いに絡み、欧州カップの常連である。これを支えているのが育成機関育ちの若い選手である。さらにアヤックス・アムステルダムは国内だけではなく国外にもスカウト網を張り、外国人選手も多数育成機関に所属している。実にアヤックス・アムステルダムの育成機関出身で欧州の1部リーグに所属する選手の数は63人である。
 リヨンも若い選手が少なくないが、アヤックス・アムステルダムの先発メンバーの平均年齢は22歳、ストッパーのマタイス・デリフトは17歳である。

■守備のミスの目立つリヨン、次々と失点

 5月3日、アムステルダムのアレーナでの第1戦、序盤は互角の戦いであったが、リヨンの守備が崩壊状態となる。25分にCKからベルトラン・トラオレがヘディングでアントニー・ロペスの守るゴールを破る。この1点を皮切りにアヤックス・アムステルダムはゴールネットを次々と揺らす。リヨンは最終ラインのチェックが甘く、アヤックス・アムステルダムに簡単にシュートを打たせてしまう。
 34分にはリヨンのGKアントニー・ロペスのクリアボールをトラオレがヘディングで前方にフィード、これをカスパー・ドルベルグが右足でシュート、2-0となる。ディアカビがトラオレにプレッシャーをかけていれば防げた失点であった。
 後半に入ってもアヤックスの勢いは止まらず、49分にはハキム・ツィエクからのパスを受けたアミン・ユネスがシュート、このシュートがリヨンのルカ・トゥサールの足に当たり、コースが変わってゴールに入ってしまう。

■シュートの精度が劣るリヨン、1ゴールのみで大敗

 リヨンも守勢一方というわけではなかった。66分にはマチュー・バルブエナが反撃の1点をあげる。特にリードを広げられた後半は積極的にゴールを狙う。しかし、いかんせんシュートの精度が悪く、なかなかゴールの枠内にシュートを放つことができなかった。また、切り札として投入したラファエウやラカゼットも十分に機能できなかった。
 一方のアヤックス・アムステルダムはシュートが枠内に飛び、枠内シュート数は16であり、リヨンの倍の本数であった。71分にもツィエクのパスを受けたトラオレが追加点を入れて4-1と突き放す。これもマキシム・ゴナロンがボールウォッチャーとなってしまったが故の失点であった。
 ボールの保持率は互角でありながら、リヨンの守備の乱れ、そしてアヤックス・アムステルダムのシュートの精度により、4-1という大差になってしまったのである。(続く)

 
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