第2755回 2020-21チャンピオンズリーグ(10) ライバルとの直接対決を制し、初勝利をあげたマルセイユ

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■二強二弱のグループの中で3位を狙うレンヌとマルセイユ

 前々回、前回の本連載では第4節を終えた時点でレンヌとマルセイユがグループリーグで3位以下になり、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出できなくなったことを紹介した。しかし、レンヌの所属するグループE、マルセイユの所属するグループCはいずれも二強二弱という構図であり、ヨーロッパリーグ出場をかけて残り2試合を戦うことになる。
 第4節を終えた時点のグループCの順位は首位がマンチェスター・シティ(イングランド)が4戦全勝で首位、2位はポルトで3勝1敗、3位は1勝3敗のオリンピアコス(ギリシャ)、4位が4戦全敗のマルセイユである。勝ち点だけならば3位のオリンピアコスは2位のポルトに追いつく可能性があるが、直接対決で連敗しているため、3位以下となり、このグループからはマンチェスター・シティとポルトがチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出し、マルセイユはオリンピアコスを抜いて3位に入り、ヨーロッパリーグの決勝に進みたいところである。
 これはグループEのレンヌも同様であり、首位のチェルシー(イングランド)とセビリア(スペイン)が3勝1分、3位のクラスノダール(ロシア)と4位のレンヌが1分3敗となっており、上位2チームが確定した。レンヌは前半戦で引き分けたクラスノダールに競り勝って2年ぶりのヨーロッパリーグ決勝トーナメントに進みたい。

■今季5試合目でようやく初得点を決めたマルセイユ

 両チームともライバルチームとの対戦が第5節に残されており、注目の一戦となった。12月1日にマルセイユはオリンピアコスをベロドロームに迎える。ここまで13連敗という不名誉な記録を作ってしまった。フランス勢でこれに続く記録は4連敗(リール、モナコ、パリサンジェルマン、リヨン)である。また、前身のチャンピオンズカップまでさかのぼるとルクセンブルクのジュネス・エシュというチームが1973年から1987年にかけて残した16連敗という記録がある。
 無人のベロドロームであるがサポーターからのメッセージがスタンドに浮かび上がる。マルセイユは主力のディミトリ・パイエ、ダリオ・ベネディットなどを先発させる。マルセイユは試合を優勢に進めるが、33分に先制点を奪われ、1点を追う形で後半を迎える。
 51分にフローリアン・トーバンがペナルティエリア内で倒される。VARの結果、マルセイユにPKが与えられる。これをパイエが決める。マルセイユにとっては今季のチャンピオンズリーグ5試合目にして初の得点となった。マルセイユのチャンピオンズリーグでの得点は2013年12月以来7年ぶりとなった。

■ディミトリ・パイエの2つのPKで逆転勝利

 さらに74分にはオリンピアコスのラフィーナがペナルティエリア内でハンド、マルセイユにPKが与えられ、パイエが再び蹴る。今度はオリンピアコスのGKがパイエのシュートコースを読んだが、及ばず、マルセイユが逆転する。このままマルセイユが押し切り、2-1で勝利したのである。マルセイユは通算連敗記録を13でストップし、チャンピオンズリーグでは2012年2月のインテルミラノ戦以来8年10か月ぶりの勝利となったのである。そしてマルセイユは勝ち点3となり、オリンピアコスと並んだ。

■最終戦に持ち込まれたヨーロッパリーグへのチケットの行方

 マルセイユとオリンピアコスで争われるヨーロッパリーグのチケットの行方は最終戦に持ち込まれたが、両チームの直接対決は1勝1敗、第1節のピレウスでの試合はオリンピアコスが1-0で勝利しているため、得失点差では並ぶが、アウエーゴールの差でオリンピアコスの方が優位となる。マルセイユが3位になるためには、最終戦でマルセイユがオリンピアコスを上回る結果を残さなければならない。最終戦は12月9日、マルセイユは首位マンチェスター・シティとアウエーで、オリンピアコスは2位ポルトとホームでキックオフを迎えるのである。(続く)

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