第3004回 マルセイユ、準決勝で敗れる(2) PAOKテッサロニキに連勝し、準決勝進出

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ホームでの第1戦、完全に試合を支配し2点をあげたマルセイユ

 今季から開設されたヨーロッパカンファレンスリーグの準々決勝でギリシャのPAOKテッサロニキと対戦するマルセイユ、4月7日の第1戦はベロドロームでのホームゲームである。金網に囲まれた3000人のPAOKテッサロニキのファンを迎え、異様な雰囲気の中で試合はキックオフされる。
 マルセイユはリーグ戦でも好調であり、その勢いがこの試合にもそのまま表れた。キックオフ早々からマルセイユは攻め込み、PAOKテッサロニキのイレブンをゴール前にくぎ付けにする。先制点は時間の問題であった。13分にディミトリ・パイエがボールをペナルティエリア内に持ち込み、ジェルソンにパス、これをボレーで決めてマルセイユが1点を先取した。その後もマルセイユは個人技でも、チームプレーでもPAOKテッサロニキを圧倒する。マルセイユはチームのスローガンの「ゴールへ一直線」の通り、シュートを次々と放つ。
 試合は一方的な内容となったが、緊張が続いたのが、スタンドである。PAOKテッサロニキのファンは試合開始前後から発煙筒を投げ込む。試合が劣勢になればなるほど、それは怒りという形でエスカレートしていく。そのような場外での戦いの中でマルセイユのイレブンはゴールを目指す。この攻撃の起点となったのが左サイドのFWのパイエである。そのパイエは前半終了間際の45分には自らがゴールを決める。ジェンギス・ウンデルからのCKをパイエは右足でハーフボレー、ゴールネットを揺らした。PAOKテッサロニキの前半のシュートはわずか1本、マルセイユが圧倒してハーフタイムを迎えた。

■後半は1失点、終盤に警告が集中し、3人が第2戦の出場停止

 後半開始時点で両チームはメンバー交代を行う。PAOKテッサロニキの交代選手、モロッコ代表のオマル・エル・カドゥーリが出場して早々の48分にゴールを決めて、1点差に迫る。後半はPAOKテッサロニキが盛り返すが、マルセイユからゴールを奪ったのはこれだけであった。一方のマルセイユも攻め続けたが、後半は得点をあげることができず、結局2-1で勝利した。第2戦の行われるPAOKテッサロニキの本拠地トゥンバ競技場の熱狂を考えると、マルセイユは点差を広げておきたいところであったが、1点差の勝利にとどまった。
 そればかりかマルセイユは5回の警告を受けたが、これらすべては最後の15分間に集中し、選手の受けた4回の警告はいずれも第2戦に影響があった。2回の警告を受け退場となったジェルソン、累積警告に達したブバカル・カマラ、バンバ・ディアンの3人はずれも第2戦は出場停止となったのである。

■チーム最年長で主将のスティーブ・マンダンダが活躍

 2万8000人の満員の観衆の前で行われた第2戦、4月15日21時にキックオフされた。この時点でフランス勢はリヨンとマルセイユが勝ち残っていたが、ギリシャ勢はPAOKテッサロニキのみということもあり、ボルテージは上がる。マルセイユは3人の選手に加え、監督も出場停止となる。
 試合は予想通り、PAOKテッサロニキが攻める機会が多くなった。PAOKテッサロニキのシュートをセーブし続けたのがマンダンダであった。

■第1戦に続いて活躍したディミトリ・パイエが決勝点

 マンダンダの活躍に応えたのは第1戦でも活躍したパイエであった。34分にマルセイユのセドリック・バカンブが相手のボールを奪い、マテオ・ゲンドウジにつなぐ。ゲンドウジはクロスを入れ、ゴール前に走りこんできたパイエが右足でワンタッチ、これがゴールネットを揺らす。
 後半に入って59分、PAOKテッサロニキはあわやオウンゴールというシーンがあったが、ここは失点を防いだ。
 この試合でマルセイユで活躍したのがGKのスティーブ・マンダンダとMFバランタン・ロニエであった。チーム最年長のマンダンダは主将も務め、スーパーセーブを連発し、ロニエは出場停止のカマラに代わっての出場であった。
 結局、マルセイユが1-0と第1戦に続いて勝利し、準決勝に進出したのである。(続く)

このページのTOPへ