第3501回 終盤戦のリーグフェーズ (7) リール、フェイエノールトに大勝
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■強豪を連破し、12位で最終節を迎えるリール
前々回と前回の本連載ではチャンピオンズリーグのリーグフェーズのパリサンジェルマンとモナコの最終節の戦いを紹介したが、続いてリールを紹介しよう。
リールはリーグフェーズでは第3シードと、フランス勢ではパリサンジェルマンに次ぐポジションであったが、昨季のリーグ戦では4位、予備戦3回戦、プレーオフを勝ち抜いて本戦であるリーグフェーズに進出した。リーグフェーズ初戦ではスポルティング(ポルトガル)に敗れたが、第2節でレアル・マドリッド、第3節でアトレチコ・マドリッドというスペインの強豪に連勝し、欧州中から注目を集めた。さらにユベントス(イタリア)とも引き分け、第7節では全勝のリバプール(イングランド)に敗れたが、4勝1分2敗という成績は立派であり、12位で最終節を迎えた。
■欧州カップで3度の優勝を誇る11位のフェイエノールト
最終節の相手はオランダのフェイエノールトである。リールと同じ第3シードであるが、リールと同じ勝ち点13、得失点差+2、総得点で上回り、リールの1つ上の11位である。フェイエノールトはチャンピオンズリーグの前身のチャンピオンズカップ1回、ヨーロッパリーグの前身のUEFAカップ2回の優勝経験がある。リールがリーグフェーズで対戦した8チームのうち、欧州カップの優勝経験がないのは第5節で対戦したボローニャ(イタリア)と第6節で対戦したシュトゥルム・グラーツ(オーストリア)だけである。
両チームともプレーオフ出場は確保しているが、勝利すれば、本戦ストレートインとなる8位以内を確定できる。フェイエノールトは第5節ではアウエーでマンチェスター・シティ(イングランド)と引き分け、直前の第7節ではバイエルン・ミュンヘンに勝利し、その勢いで決勝トーナメントに臨みたい。
■1点リードしてハーフタイムを迎えたリール
一方のリールのブルーノ・ジェネジオ監督はジョナサン・デイビッドとハコン・アルナル・ハラルドソンをベンチスタートさせる。驚きの采配であるが、リールは直前のリーグ戦のストラスブール戦で敗れており、その精神的なショックを切り替えるための選手起用である。
試合は立ち上がりからリールがペースをつかみ、一方的なスコアとなった。リールは1分のオサメ・サハラウイのシュートは枠をわずかに外れる。しかし、4分にDFの裏に飛び出たサハラウイはパスを受けて、先制シュートを決める。
フェイエノールトも反撃し、14分にサンティアゴ・ヒメネスのシュートで追いつく。フェイエノールトは3-0で勝利したバイエルン・ミュンヘン戦のボール保持率はわずか20%であった。リールはその轍を踏んではならない。フェイエノールトは同点ゴールを決めたヒメネスが28分に負傷交代となる。代わって入ってきたのは上田綺世である。さらに36分にはGKも負傷して交代となり、予定外の選手交代を前半のうちに2回余儀なくされる。
試合はこの辺りからリールのペースとなる38分にはリールはサハラウイとミッチェル・バッカーがパスをつなぎ、ゴール前にクロス、これをフェイエノールトの守備陣のゲルノト・トラウナーが誤ってオウンゴール、リールは思わぬ形で勝ち越し、リードして後半を迎える。
■後半から出場してきた攻撃陣が活躍、ゴールラッシュで最終節を飾ったリール
後半はリールが一方的にスコアする展開となった。57分にはアンヘル・ゴメスがCKからの攻撃で追加点を決め、リードを広げる。63分にはベンチに控えていたデイビッドとハラルドソンがピッチに入ってくる。最終節を迎える段階でリールと同じ勝ち点13は8位から13位までの6チームが並んでおり、得失点差の勝負となる可能性もあり、点差をつけておきたい。そのためにも試合の勝負がついたところで、得失点差を狙うためにデイビッドとハラルドソンを投入したのであろう。デイビッドはファンの声援に応え、74分に左足で4点目を決める。リールの勢いは止まらない。76分にはトラウナーのこの日2つ目のオウンゴールを誘い、80分にはレミ・カベラのゴールで6-1と突き放す。リールは大勝し、勝ち点を16に伸ばすとともに、得失点差も+7まで伸ばしたのである。(続く)