第3547回 リヨン、準々決勝で敗退 (7) 7分間で3点をあげたマンチェスター・ユナイテッドが逆転勝利
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■残り12分で2点をリードされたマンチェスター・ユナイテッド
ヨーロッパリーグ準々決勝、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)とアウエーで戦うリヨンは前半のうちに2点を奪われ、第1セントの通算スコアで2点のビハインド、準決勝進出は難しいかと思われたが、71分と78分に得点をあげて、タイスコアに持ち込み、15分ハーフの延長戦に突入した。リヨンは延長戦に入る前の89分にコランタン・トリッソが2枚目のイエローカードで退場、延長戦では苦戦すると思われたが、延長前半の105分にラヤン・シェルキが勝ち越し点、延長後半に入って108分にアレクサンドル・ラカゼットがPKを決めて2点を勝ち越した。残り時間はわずか12分、マンチェスター・ユナイテッドの本拠地オールド・トラフォードにはあきらめと悲しみが覆ったのである。
■VARの末、獲得したPKをブルーノ・フェルナンデスが決めて1点差
しかし、ここからまさかの大逆転ドラマが起こったのである。111分、マンチェスター・ユナイテッドのカゼミーロがペナルティエリア内でアルマダと接触して倒れこむ。カゼミーロはペナルティをアピールするが、主審はいったんはプレーを続行するが、試合が切れたところでVARのチェックを受け入れる。このVARでリヨンのファウルが認められ、マンチェスター・ユナイテッドにPKが与えられる。PKのキッカーは主将のブルーノ・フェルナンデス、右隅への低い弾道のキック、リヨンのGKのルーカス・ペリも正しい方向に反応するが、わずかに届かず、マンチェスター・ユナイテッドが1点差に迫る。3-4となった時、時計は114分を指していた。
■120分に同点ゴールをあげた地元出身のコビー・メイヌー
何とかして追いつきたいマンチェスター・ユナイテッド、118分にはブルーノ・フェルナンデスがボレーでゴールを狙うが、枠をとらえられない。時計の針はまもなく120分、マンチェスター・ユナイテッドは左サイドから攻撃を仕掛け、ゴール前でボールを受けたコビー・メイヌーが同点シュートを決める。地元出身の20歳、イングランド代表でもあるメイヌーはこの試合はベンチからのスタート、後半87分から投入された。第1戦でも終盤の83分から出場しているが、攻撃陣の控え選手としてはジョシュア・ザークツィーに続くポジションである。そのザークツィーはこの日は出場停止でベンチからも外れている。メイヌーはザークツィーがゴール後に行うパフォーマンスで喜びを表したのである。
■決勝点は巨漢ストッパーのハリー・マグワイア
しかし、マンチェスターが同点に追いつき、スタジアムが歓喜にあふれかえっているその中で、決勝点が生まれた。メイヌーの同点ゴールの40秒後、マンチェスター・ユナイテッドはまたも左サイドから攻めあがる。カゼミーロが今度は高いクロスボールをゴール前に供給する。リヨンの守備陣は完全に我を失い、ストッパーのムーサ・ニアカテは目測を誤る。ニアカテが触ることができなかったボールをヘディングでとらえたのはマンチェスター・ユナイテッドのストッパーであった。このプレーでなぜストッパーが最前線にいたのかはわからないが、イングランド代表の巨漢ストッパー、ハリー・マグワイアがヘディングで合わせたボールはゴールに一直線、マンチェスター・ユナイテッドが5-4と逆転、2試合通算スコアでも7-6となり、37分間で4点を奪ったリヨンは、7分間に3点を失ったのである。
試合はこのまま終了、マンチェスター・ユナイテッドは、欧州カップならびに欧州三大カップで120分を超えてから2得点を奪った初めてのチームとなった。
また、リヨンは欧州カップの延長戦で敗れたのはこれが最初であり、またフランスのチームが欧州カップで4-5というスコアで敗れたのも初めてである。ただ、マンチェスター・ユナイテッド相手にオールド・トラフォードで4点を奪ったのもリヨンが最初のチームであった。
両チームは2試合、特に第2戦で素晴らしい戦いを見せたが、この忘れられない試合となった第2戦の舞台の愛称は「夢の劇場」、オールド・トラフォードで120分間の素晴らしい夢の時間を勝敗に関係なく楽しむことができた。両チームの健闘に敬意を示したい。(この項、終わり)