第3569回 パリサンジェルマン、ついに優勝 (8) 黄色のサードユニフォームを選択したインテル・ミラノ
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■得点力のあるバルセロナに打ち勝ったインテル・ミラノ
前回の本連載では初優勝に向けて盛り上がるパリサンジェルマンとパリの街を紹介したが、今回は4回目の優勝を目指すインテル・ミラノを紹介しよう。
インテル・ミラノは準決勝でバルセロナに2試合通算得点で7-6と競り勝ったが、バルセロナは今季は公式戦全試合で174得点を記録している。堅守のインテル・ミラノであったが、結局は打ち合いを制してバルセロナを下している。パリサンジェルマンは今季の全大会で147点、これは欧州五大リーグではバルセロナに次ぐ得点力である。インテル・ミラノが堅守でパリサンジェルマンの攻撃をしのぐのか、あるいはバルセロナ戦のようにハイスコアの攻め合いを制すか、いずれかに勝機を見出したい。
■インテル・ミラノの先発メンバー
パリサンジェルマンの先発メンバーは前回の本連載で紹介したが、今回はインテル・ミラノの先発メンバーを紹介しよう。GKはヤン・ゾマー、DFは3バックで右からバンジャマン・パバール、フランチェスコ・アチェルビ、アレッサンドロ・バストーニ、MFは5人、右サイドにはデンゼル・ダンフリース、左サイドはフェデリコ・ディマルコ、この2人はウイングバック的な役割を果たす。中盤の底にはハカン・チャルハノール、中盤の高い位置には右にニコロ・バレッラ、左にヘンリック・ムヒタリアン、FWは2トップで右にマルクス・テュラム、左はラウタロ・マルティネスである。
■チャンピオンズリーグ決勝に照準を合わせた選手起用をしたリーグ最終戦
前々回の本連載でインテル・ミラノは最終節までもつれ込んだリーグ戦の優勝争いでわずかに及ばず、ナポリに勝ち点1及ばず、2位にとどまったことを紹介したが、リーグ最終戦は数字の上では逆転可能とはいえ、ナポリがホームで下位のカリアリに勝利すれば、インテル・ミラノは優勝に届かなかった。したがって、インザーギ監督はターゲットをこのチャンピオンズリーグ決勝に切り替え、リーグ戦の最終節はメンバーを大幅に入れ替える。結局、コモに勝利したが、この試合で先発したメンバーで、チャンピオンズリーグの決勝に先発したのはGKのゾマー、フィールドプレーヤーではチャルハノールとディマルコと合計わずか3人だったのである。
■黄色いサードユニフォームを着用
そしてミュンヘンのアリアンツアリーナのインテル・ミラノの先発メンバーが驚きを思って迎えられたのはそのメンバーそのものではなく、着用したユニフォームであった。今回の決勝はパリサンジェルマンがホーム扱いでユニフォーム選択の優先権はパリサンジェルマンにある。パリサンジェルマンは準決勝と同様、紺を基調とし、赤と白の縦のストライプの入ったファーストユニフォームを着用する。インテル・ミラノのファーストユニフォームは青と黒であり、これは使用できない。セカンドユニフォームは白であるが、インテル・ミラノは黄色のサードユニフォームを選択した。ここまでの戦いで唯一の黒星となったリーグフェーズ第6節のレバークーゼン(ドイツ)戦では白いセカンドユニフォームを着用していた。そして次の第7節のスパルタ・プラハ(チェコ)戦では初めて黄色いサードユニフォームを着用し、アウエーゲームであるにも関わらず、2-0と勝利した。そしてこのサードユニフォームを決勝トーナメント1回戦のフェイエノールト(オランダ)とのアウエーゲームでも着用し、2-0と勝利している。このように白いセカンドユニフォームを着用した試合では負け、黄色いサードユニフォームを着用した2試合では勝利したということで縁起を担いでサードユニフォームを着用することになった。
縁起を担いだユニフォームの選択については本連載第3550回でパリサンジェルマンがアーセナル(イングランド)との準決勝でジョーダンウィングスの着用を検討したことを紹介したが、結局は伝統のファーストユニフォームで勝利した。縁起を担いだインテル・ミラノが勝利すればサッカーの歴史は変わっていたのである。(続く)