第3570回 パリサンジェルマン、ついに優勝 (9) パリサンジェルマン、大勝で欧州の頂点に立つ
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■開始直後から一方的に攻めたパリサンジェルマンが先制
5月31日21時、初優勝を目指すパリサンジェルマンと15年ぶり4回目の優勝を目指すインテル・ミラノ(イタリア)の試合は紺に赤と白のストライプの入ったユニフォームのパリサンジェルマンのキックオフで始まった。
試合は序盤からパリサンジェルマンのペースで展開する。3分にデジレ・ドゥエが攻め込むが、ハカン・チャルハノールがファウルで止める。またパリサンジェルマンは高い位置からのディフェンスを仕掛け、インテル・ミラノの攻撃を早期に止める。スター中心の時代にはなかったチーム全員の守備意識の高まりである。パリサンジェルマンは攻撃に関しては右サイドを中心に仕掛け、その起点はアクラフ・ハキミであった。12分にパリサンジェルマンは先制点を奪う。左サイドでボールを保持したビティーニャがニアサイドにクロスを供給、これをドゥエが中央に流す。ここにいたのがハキミである。ハキミは右足のサイドキックでヤン・ゾマーとゴールポストの間に柔らかなパスを通すがごとく、シュートを決めた。今季のチャンピオンズリーグでインテル・ミラノはほとんどリードされておらず、決勝に進出するまでリードされた時間帯は2%に満たない。精神的に動揺したのか、反撃しようにもパスがつながらず、ボール保持率は30%台にとどまる。
■自陣ゴールライン上の守備から奪った2点目
動きの悪いインテル・ミラノに対し、パリサンジェルマンは20分に今季のチームを象徴するようなプレーから追加点奪った。攻め込まれていたパリサンジェルマンであるが、ウィリアン・パチョが自陣のゴールライン上のボールを相手のCKにするのではなく、ボールをキープし、下がっていたクバラツヘリアにパスをする。クバラツヘリアは前方のウスマン・デンベレへパスし、ハーフウエーラインを越える。デンベレはそのまま前進し、最後にゴール前にボールを供給、これをドゥエがシュート、シュートがフェデリコ・ディマルコに当たってコースが変わってゴールイン、2-0とする。試合が始まってわずか20分、ドゥエはチャンピオンズリーグ決勝でゴールとアシストを決めた6人目の選手となった。
その後もパリサンジェルマンは一方的に攻める。インテル・ミラノは攻撃をほとんど仕掛けることができず、CKにマルクス・テュラムがヘディングシュートをするが、枠の外、前半は2本しかシュートを放つことができず、枠内にはシュートを記録できなかった。一方のパリサンジェルマンは前半だけで11本のシュート、精度も悪くなく、5本が枠内に飛んだ。
■波に乗るデジレ・ドゥエ、2得点1アシストの活躍
後半に入り、インテル・ミラノは先手を打って選手交代を仕掛けたが、交代出場したヤン・ビセックが出場わずか6分で負傷して交代するなど、好転しない。
ますます勢いに乗るパリサンジェルマンを象徴するようなゴールが生まれたのは63分であった。センターサークル付近でデンベレがビティーニャにヒールパス、ビティーニャはそのままドリブルで駆け上がる。ラストパスをドゥエに出し、ドゥエがシュートを決めパリサンジェルマンの速攻が3点目を決めた。殊勲のドゥエはこの得点の直後に歓喜のあまりユニフォームを脱ぎ捨ててしまい、警告を受ける。カードを受けたドゥエをルイス・エンリケ監督はベンチに下げ、ブラッドリー・バルコラをピッチに送る。
■クビチャ・クバラツヘリア、セニー・マユルもゴールし、大差で優勝
パリサンジェルマンの勢いは止まらない。73分にはデンベレのスルーパスに反応して抜け出したクバラツヘリアがボールを獲得し、ゴールへ一直線、GKと一対一になり、4点目をあげる。
その2分後にインテル・ミラノはテュラムがシュートするが、ジャンルイジ・ドンナルンマがこの試合で唯一のセーブで止める。
パリサンジェルマンは86分にはバルコラからのパスをセニー・マユルが角度のないところで受けながらも、シュートし、交代選手のコンビが5点目を演出した。
5-0というスコアでパリサンジェルマンがチャンピオンズリーグで優勝を果たしたのである。(続く)