第684回 4強が決定したフランスカップ(3) CFAのモンソーレミン、ボルドーを下し8強入り

■1部勢同士の戦いを制したソショー、パリサンジェルマン

 1月末に行われたフランスカップのベスト8決定戦でマルセイユがリヨンに逆転勝利したことを紹介したが、それ以外にも興味深いカードがいくつかあった。まず、1部リーグ勢同士の戦いとしてはモナコ-ソショー、パリサンジェルマン-バランシエンヌ、ナント-リールの3試合があった。
 ソショーはリーグ戦の前半戦を終了した時点で3位、チャンピオンズリーグ出場圏内にあったが、1月末の段階で6位まで順位を落としている。一方のモナコは1999-2000シーズンは圧倒的な強さでリーグ優勝を果たしたが、今世紀になってからは2003年のリーグカップを制覇しただけで、リーグ戦、フランスカップでは栄冠を手にしていない。今季も下位を低迷し、一時は最下位に陥落、この時点で14位と苦しいシーズンを送っている。12月16日にはリーグ戦の第18節で両チームは今回のベスト8決定戦と同じモナコで対戦しているが、モナコが3-0と勝利している。地元モナコで勝利してフランスカップ獲得だけではなくリーグ戦でも上位進出を狙いたいモナコであったが、試合はソショーが勝利した。前後半1点ずつゴールをあげたソショーが2-0で勝利し、2年ぶりの準々決勝進出を決めた。
 パリサンジェルマンとバランシエンヌはいずれもリーグ戦で下位に低迷している。パリサンジェルマンはリーグ再開後、サポーター死傷事件のため延期されていた試合も含めて4試合行ったが、勝ち星がなく、16位で1月末を迎えた。一方のバランシエンヌはパリサンジェルマンより1つ順位が上の15位である。パルク・デ・プランスでは1月13日にリーグ後半戦の最初の試合で戦い、バランシエンヌが2-1と勝利している。昨年11月のサポーター死傷事件以来パルク・デ・プランスでは客足が遠のき、この日も閑散としたスタジアムであったが、パリサンジェルマンが熱心なファンの期待に応えて1-0と勝利し、2年連続優勝に向けてベスト8入りした。

■ファビアン・バルテスの加入したナント

 1月末の時点でリーグ戦の順位がリヨンに次ぐ2位のチームがチャンピオンズリーグの決勝トーナメントにも残ったリールである。対するナントは今年も厳しい戦いが続き、2部降格圏内の18位である。ナントのGKはフランス代表のGKとして昨年のワールドカップまで活躍してきたファビアン・バルテスである。ワールドカップ以降、所属クラブが決まらなかったが、ようやく昨年暮れにナントに落ち着く。バルテスはデビュー戦こそ勝利したが、その後連敗、危険水域からの脱出は難しい。フランスカップについて言えば、ナントは1999年と2000年の勝者となり、最後の連覇チームである。バルテス自身もマルセイユの選手として出場した昨年の決勝戦で敗れており、その悔しさは忘れていないであろう。試合はバルテスの好セーブも光り、両チーム無得点、延長戦に入ってもゴールネットを揺らすことなく、PK戦かと思われた120分にナントのクラウディウ・ケスルのゴールが決まり、8強入りしたのである。

■順当に勝利したスダン、ランス

 それ以外の4試合は所属リーグの違うチームの対戦となった。うち2試合は上位リーグのチームが順当に勝ちあがった。1部のスダンは2部のリブルン・サンスーランを2-1と下し、ランスはナショナルリーグのクレルモンを4-1と下している。

■グーニョンへ大応援団を送り込んだモンソーレミン

 下部リーグのチームが上位リーグのチームを倒したのがそれ以外の2試合である。ナショナルリーグのバンブは2部リーグのモンペリエをアウエーで下している。
 そして最大の驚きは4部に相当するCFA(アマチュア選手権)に所属するモンソーレミンが1部のボルドーに勝利したことであろう。ブルゴーニュ地方にあるモンソーレミンはボルドーを迎えることとなったが、本拠地の競技場の収容人員はフランスカップの規定に満たないため、他のクラブの競技場を使う。候補としてはディジョンの市営競技場、リヨンのジェルラン競技場などが考えられたが、モンソーレミンはグーニョンのジャン・ラビル競技場を選んだ。グーニョンはモンソーレミンから30キロしか離れていないからである。試合当日は往復3ユーロのバスで8000人のファンを輸送し、最高の雰囲気となった。その結果、試合は後半ロスタイムにモンソーレミンが追いつき、延長でもいったんはリードを許すが再度追いつき、PK戦で元代表GKのウルリッヒ・ラメを擁するボルドーを破ったのである。(続く)

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