第1235回 ベスト4が出そろったフランスカップ (3) アンジェ、ニース、パリサンジェルマン、リールが4強

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ジャイアントキラー同士の対戦となったシャンベリー-アンジェ戦

 5部に相当するCFA2部のシャンベリーが、モナコ、ブレスト、ソショーと立て続けに1部勢を破るという史上初のできごとがフランス中のサッカーファンを驚かせた今年のフランスカップ、準々決勝は3月1日と2日に行われた。
 ベスト32決定戦では下部リーグのジャイアントキリングが話題になり、ベスト16決定戦とベスト8決定戦ではシャンベリーが話題を独占したが、ベスト8の半数の4チームは1部勢である。
 準々決勝は、3月1日にランス(Reims)-ニース戦、3月2日にシャンベリー-アンジェ戦、パリサンジェルマン-ルマン戦、リール-ロリアン戦が時間をずらして行われる。ベスト8決定戦では1部勢同士の対戦はなかったが、準々決勝ではリールとロリアンが対戦する。逆に1部勢がかかわらないカードは1試合、注目のシャンベリーと2部のアンジェの対戦である。
 シャンベリーはベスト32決定戦から連続3試合1部のチームと対戦しており、今年に入って初めて2部以下のチームとの対戦となる。一方のアンジェは直前のベスト8決定戦は格下のナショナルリーグのストラスブールと対戦しているが、それまでの戦いで1部勢を2たび破っている。ベスト32決定戦ではバランシエンヌを2-1で下し、ベスト16決定戦ではボルドーを1-0と下している。フランスカップの下部チーム同士の戦いで両チームの倒した1部のチームの合計が5ということは長いフランスカップの歴史でもそれほどないことであろう。

■グルノーブルの戦いはアンジェが完勝

 他方、かつてナントで活躍したジャン・ルイ・ガルシアが監督として率いるアンジェは2007年に1部から陥落しており、現在2部で11位、1部昇格の可能性は高くなく、この準々決勝で上位勢との対戦を回避できたことから、フランスカップを獲得するチャンスであると考えている。
 ジャイアントキラー同士の対戦はシャンベリーのホームゲームであったが、1部勢3チームを沈めたシャンベリーの市営競技場は3500人しか収容できないため、グルノーブルのアルプス競技場に舞台を移して行われた。1万5000人のファンが集まった。グルノーブルは現在2部で最下位、来季はアマチュアの集まるナショナルリーグで戦うことになるであろう。当然このような大観衆が集まることはしばらくないであろう。当分ないであろう大観衆の見守る中行われた試合、黄色いユニフォームのシャンベリーは前半終了間際に先制点を奪われる。さらに後半に入っても2点を奪われ、終わってみれば0-3の完敗であったが、1部勢3チームを立て続けに破った偉業は忘れられることはないであろう。

■古豪対決を制したニース

 このジャイアントキラー同士の対戦以外の3試合はいずれも1部勢の戦いが登場し、延長戦となった。
 古豪同士の戦いとなったランス-ニース戦、ニースは1997年以来の4回目の優勝を狙う。ランスはそれほどカップ戦が得意ではないようで、これまでに1950年と1958年の2回しか優勝経験がない。しかし近年はリーグ戦は下位リーグでもしばしばフランスカップでは年明け以降に活躍している。とは言っても準々決勝進出は10年ぶりのことである。この古豪同士の試合は両チームの意地がぶつかり、点の取り合いとなって延長戦に突入する。結局は延長後半にニースが決勝点を奪い、優勝した1997年以来の準決勝に進出する。

■若手の活躍したパリサンジェルマン、2試合連続PK戦勝利のリール

 カップ戦のスペシャリストのパリサンジェルマンはヨーロッパリーグのベスト16決定戦を勝ち抜き、5週連続で週の半ばに国内外のカップ戦を戦うという過密日程になる。この3週目にあたるルマン戦に若手選手を多数起用したが、苦戦を余儀なくされる。90分が終わったところで両チーム無得点。しかしこの苦境を救ったのはベテラン選手ではなく、若手選手であった。延長戦で17歳のジャン・クリストフ・バーベックと19歳のニースケンス・ケバノが得点し2-0と勝利する。
 1部勢対決となったリール-ロリアン戦は、リーグ首位のリールが優位と思われたが、ロリアン相手に苦戦し、90分、120分戦っても両チーム無得点。ベスト8決定戦に続くPK戦となったが、ここでも元フランス代表GKのミカエル・ランドローが活躍し、PK戦を制したリールは1985年以来26年ぶりの準決勝進出を決めたのである。(この項、終わり)

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