第1801回 秋の王者のマルセイユが消えたフランスカップ(3) PK戦でグルノーブルに敗れたマルセイユ

 このたびパリ並びにパリ近郊で起こった銃撃事件の犠牲者の方々のご冥福を祈るとともに、サッカー界での人種差別についてしばしば取り上げている本連載に対する読者の皆様からのご支援に感謝いたします。

■モンサンミッシェルの見える町でアブランシュに敗れたロリアン

 1部勢12チームが2部以下の下位リーグのチームの挑戦を受けて立つ今年のフランスカップのベスト32決定戦、前回の本連載で紹介した通り、最初に登場したスタッド・ド・ランス、エビアン、ナントの3チームは危なげなく勝利したが、4番目に登場したニースはバランシエンヌに敗れた。ニースと同じ18時キックオフを迎えたのがロリアンである。ロリアンは世界遺産モンサンミッシェルを見下ろす町、アブランシュへ遠征する。アブランシュはナショナルリーグのクラブであるが近年フランスカップではコンスタントに年越しをしている。しかし、上位のクラブに勝利はしておらず、昨年は2部のRCランスにベスト32決定戦で敗れている。
 約5000人のファンの集まる中、アブランシュは前半を無失点で乗り切り、後半の59分に先制点、退場者が出て1人足りなくなったが、虎の子の1点を守りきり、2つ上のカテゴリーのクラブを破ったのである。

■メッス、サンテチエンヌ、モナコ、ギャンガン、レンヌは順当勝ち

 初日の1月3日の1部勢の下位のリーグのチームとの対戦は3勝2敗と辛うじて勝ち越したが、2日目の4日は残りの7チームが登場した。この日も前日同様、昼から夜にかけてキックオフの時間はまちまちである。この段階の対戦では照明設備の整っていない競技場で試合が行われること、真冬の試合であり夜間は気温が下がること、そしてテレビ中継の関係で昼間から試合が行われる。
 この日登場した1部勢のトップは前半戦17位のメッス、ナショナルリーグのエピナルとの試合であるが、先制を許したものの、2-1と逆転勝ちする。
 また、サンテチエンヌはホームに2部のナンシーを迎える。キックオフ後から強い雨が降る試合、サンテチエンヌが試合を支配するが、なかなか得点をあげることができず、延長戦に突入、ようやくサンテチエンヌは95分にフランク・タバヌーが得点をあげ、ナンシーを下した。
 モナコも2部勢との対戦、ニームでの試合である。2部から降格圏内にあるニームに対し、モナコは立ち上がりは苦戦する。しかし33分にベルナルド・シウバが先制点をあげる。その後もニームの反撃に苦戦するが後半ロスタイムの95分にバレリー・ジェルマンが追加点をあげて、2-0と1部の面目を保った。
 そして忘れてはならないのがディフェンディングチャンピオンのギャンガンである。初戦の相手はCFA2部のディナン・レオン、ギャンガンとは同じコート・ダルモール県にあるチームである。ディナン・レオンのホームゲームであるが、ギャンガンの本拠地のルドールー競技場で9000人近い観衆を集めて行われた。前半こそ無失点で切り抜けたディナン・レオンであるが、公判はギャンガンが3得点を連取し、3-0とギャンガンが連覇に向けてスタートした。
 またレンヌもアウエーでナショナルリーグのダンケルクに2-1と勝利し、この4日はここまで1部勢が5連勝と順調であったが、残り2試合で異変が起こった。

■延長戦で2部2位のディジョンに敗れた1部最下位のカーン

 17時45分キックオフのカーンと2部のディジョンの試合、1部最下位のカーン、ディジョンは現在2部で2位、来季はお互いがリーグを代わり対戦がないかもしれない。ほぼベストメンバーのカーンは2度リードするが2度とも追いつかれ延長戦となる。延長前半のロスタイムにディジョンはフローラン・モレが決勝点をあげて、ディジョンが勝利する。

■延長後半に追いつかれ、PK戦で敗れたマルセイユ

 そして最大の驚きはこの日20時45分に満員のグルノーブルのアルプス競技場で行われたCFAのグルノーブルとマルセイユの試合である。両チーム5年ぶりの対戦となる。マルセイユはベストメンバー、6分にアンドレ・ピエール・ジニャックが先制点、しかしグルノーブルは10分に追いつく。33分にジニャックが勝ち越し点を決めて前半を折り返す。後半立ち上がりの48分にグルノーブルが追い付き、マルセイユは得点機を逃し続け、延長戦となる。
 延長前半の98分にアンドレ・アユーがゴール、これが決勝点になるかと思われたが、グルノーブルは延長後半の120分にセリム・バングリバが同点ゴール、PK戦となる。
 PK戦で先蹴のマルセイユは4人目のフローリアン・トーバンが失敗、5人全員が決めたグルノーブルが勝利し、リーグ戦の秋の王者マルセイユはフランスカップから姿を消したのである。(この項、終わり)

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