第1976回 8強が決まったフランスカップ (2) 1部勢同士の戦いを制したサンテチエンヌ、ナント

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■後半に目が覚めたロリアン、CFAのサールウニオンに大勝

 前回の本連載はフランスカップベスト8決定戦の初日の模様を紹介したが、今回は1部勢同士の3試合を含む2日目の模様を紹介しよう。
 2月10日には19時から3試合が同時にキックオフされ、残る1試合が21時過ぎにキックオフされた。
 19時キックオフの3試合であるがボルドー-ナント、トロワ-サンテチエンヌという1部勢同士の対戦に加え、CFAのサールウニオンがロリアンと対戦する。
 サールウニオンはアルザスにある人口3000人の小さな村である。サールウニオンはCFAのグループBで現在最下位であるが、フランスカップではベスト16決定戦では2部のニオールを下し、勝ち上がってきた。サールウニオンの主将はかつてプロとしてストラスブールでプレーしたことのあるヤン・シュネデール、このシュネデールを中心とする守備陣に対しロリアンは手こずる。前半は両チーム無得点であったが、ハーフタイムにロリアンのシルバン・リポル監督が喝を入れる。これでようやくロリアンのイレブンは遅い目覚めをし、後半は51分のバンジャマン・ジャンノのゴールを皮切りに4得点を奪い、4-0と大勝し、14年ぶりの優勝まであと3勝となったのである。

■ジャイアントキリングを狙うリーグ最下位のトロワ

 1部勢同士の戦い2試合は接戦となった。リーグ最下位のトロワは19位のトゥールーズとは勝ち点で10の差があり、残留圏内の17位のGFCアジャクシオとの勝ち点差は16もある。リーグ残留は絶望的であるが、今季の公式戦で3勝しかしていないうちの2勝がこのフランスカップである。ただしフランスカップでの勝利はナショナルリーグ以下のアマチュアチーム相手のものである。ロリアンが迎え撃つのはヨーロッパリーグの決勝トーナメントにも勝ち残っているリーグ4位のサンテチエンヌ、トロワが勝利すれば立派なジャイアントキリングである。3年前の2012-13シーズンもトロワは1部から2部に降格しているが、この時もフランスカップでは好調で準決勝に進出しており、地元ファンはかすかな期待をしている。

■サンテチエンヌ、3戦連続して延長戦にもつれ込んでの勝利

 トロワはこの冬の移籍市場でも大量の選手を放出し、戦力ダウンしているが、サンテチエンヌ相手に健闘し、前半は両チーム無得点で後半を迎える。先手を取ったのは優勢に試合を進めていたサンテチエンヌで62分に先制点を奪うが、トロワも78分にバンジャマン・ニベがFKを直接決めて試合を振り出しに戻す。試合は延長戦へ突入し、延長後半の107分にネアル・モパイが決勝点をあげる。サンテチエンヌはフランスカップで3勝目であるが、いずれも延長戦までもつれ込んでの決着となったのである。

■13戦連続無敗のナント、延長戦でボルドーとの激戦を制す

 ボルドー-ナント戦は大西洋岸のチーム同士の顔合わせとなった。ナントは昨年11月21日にモナコに敗れたのを最後にリーグ戦、フランスカップでは13試合連続で負けがない。一方のボルドーは選手に疲労がたまっており、ビリー・サニョル監督は試合のつどメンバーを入れ替えている。両チームは1月23日のリーグ戦第23節でもナントで対戦している。この時は2-2のドローであったが、アウエーのボルドーは引き分けたものの、最初のシュートが前半終了間際であった。
 1万に満たない観衆の前でキックオフした試合、先手を取ったのはナントであり、6分にヤシン・バムーのゴールで先制するが、ボルドーは前半の22分に追いつく。さらにボルドーは後半に入って51分にアンドレ・ポコが逆転ゴールをあげる。ナントも65分にアイスランドの欧州選手権出場の立役者であるコルベイン・シグソルトンのゴールで追いつき、2-2となる。90分を経過した時点で2週間前のリーグ戦と同じ2-2というスコアであったが、延長戦に突入する。延長戦で先行したのはボルドー、98分にマルコムのゴールでリードしたが、ナントは延長後半の114分にオーデルが同点ゴール、さらに118分に米国代表のアレハンドロ・ベドヤが決勝点を入れて、ナントが4-3と激戦を制し、ベスト8入りしたのである。(続く)

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